第85話 1人前
アース音楽団はサーラン街で初ライブをいよいよ開催する
「サーラン街の皆さんこんにちは!アース音楽団です!」
「前座を担当のルナです!よろしくお願い致します!」
「サーラン街はまだ滞在して1週間程なんですけれども。」
「とてもとても大好きな街になりました!」
「サーラン街で私はとても素敵な出逢いがあって。」
「共に生きていきたいと思える存在に初めて出逢えて。」
「人生観が変わったといいますか。」
「生き急ぐのではなくこの人と一緒にゆっくり歳をとりたいなって。」
「今まででは考えられない思考回路にさせられまして。」
「愛ってやつですかね。知っちゃいました。」
「うふふ。こんなこと言ってるけど彼氏じゃないんです。」
「彼氏は別の人。」
「浮気するな?アハハ!!たしかに彼氏が今の話聞いたら怒られそう!!」
「ここだけの内緒の話にしよう。ね!」
「子供のくせにませてる?今時の13歳はこんなもんだよ!」
「男の影をちらつかせると萎えるからやめろって?」
「アハハ!!なにそれ!!私と彼女になるわけじゃないのに気になるの?」
「ステージの歌う女に男は清廉潔白の幻想を抱くもの?」
「そんなのはじめて聞いたよぉ。知らなかったじゃん。ごめんね?夢壊して。」
「聞かなかったことにしよっか。」
「ルナちゃんは清廉潔白の女の子です。」
「彼氏なんていないし。」
「キスなんてしたことないし。」
「恋なんて知らない純粋無垢な女の子です。」
「フフッ。今更遅い?アハハハ!!」
「そんなことはどうでもいいの!!」
「歌を歌う人間の清廉潔白を求めてどうするの?」
「私が男と遊んでいる女だとして。」
「それに私の曲ななんの関係があるの?」
「私の曲の価値が下がる?」
「ありえない。」
「安心してね。私は人間性が破綻してるどうしようもない女だけど。」
「私の曲だけは全人類夢中にさせるから。」
「私の人間性なんて関係ないぐらい。」
「虜にさせてあげるよ。」
「ハードル上げすぎ?」
「ライブ前に盛り下がるようなこと言うやつの曲なんて聞きたくないでしょ?」
「私の曲が最強だ。」
「私の曲で全人類虜にしてやる。」
「これぐらい言わないと気分上がらないでしょう?」
「私も。みんなも。」
「最高のライブにしようよ。」
「私も。みんなも。」
「さあ。伝説のステージの幕開けだ。」
私は合図をして演奏を開始する
私が書いたピアノの譜面をアーマーが演奏している
今回のライブからピアノも入っている
自分の曲がこんなにも激しく響くのを聞くと
心が脳が揺れていく
気分が高揚する
観客が湧き上がる様子を見て
私の声もさらによく伸びていく
届け
届け
私の声が
私の曲が
観客全員を虜にさせてやる
ここでいつもは私の出番は終了するのだが
今回からは違う
リリーがステージに上がり
私はピアノへと移動する
ずっと憧れていた
リリーが歌うステージで
一緒に演奏することを
リリーの歌声は特別だ
圧倒的な声量に
豊かな表現力
このアース音楽団はリリーが支えている
リリーの歌声は
文句なしで世界一の歌い手だ
この歌声と一緒にステージに立てている事実が
とても嬉しい
やっとみんなと一緒に演奏することが出来た
ようやくアース音楽団の一員になれた気がした




