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第八話 自分の力で

私はこの屋敷でこれから約六年間グリード・ルナとして生きていくことになった。

 私がグリード家に来た日は飛び降り事件があったから一日中休むように言われたので、用意されていた自室から出られなかった。保護魔法のお陰で無傷だったのにずっと寝てるなんて暇すぎた。また飛び降りないようにする為か見張りの騎士もずっと一緒だった。夜の夕食はリビングでアーマーと一緒に過ごした。王家の食事は全部美味しくて感動した。ここのシェフに弟子入りしようかな。夕食の後にお風呂に入る時に事件が起こった。

 「身体を綺麗にさせて頂きます。」

 そう言って王家のメイドが三名一緒にお風呂に入ろうとしてくる。

 「一人で洗えるので…。」

 「ルナ様は今日から王族なのです。お世話されることに慣れて貰わないと。」

 「自分のことは自分でやりたい性格なので…」

 「きちんとお世話をしないと私達が旦那様に怒られてしまいます。」

 「そんなことで怒るような人には見えなかったですか…」

 「貴方は高貴な人間になったのです。人に洗われると髪は特に綺麗に仕上がるのですよ。」

 「恥ずかしいから!一人で入りたいんです!」

 「六歳の女の子はまだ恥じらう体ではないですよ。」

 「いやだもん!一人で入りたいのにーー」

 そう叫んで部屋を飛び出して脱走した。見張りの騎士にすぐに捕まりそうになったから近くの部屋に入って籠城した。

 「ルナ様〜!開けてください〜」

 騎士がドアをドンドンと叩いて言っている。

 「お風呂一人で入らせてくれるって約束して!!」

 「恥ずかしいのはわかりますが、慣れれば大丈夫ですから〜」

 「別に慣れたくないもん!毎日一人で入れるんだから!!」

 「ルナ。ダメじゃないか。また逃げ出したの?」

 冷淡な声。アーマーだ。

 「だって…一人でお風呂入らせてくれないんだもん。」

 「ここの屋敷の使用人はみんな丁寧に扱ってくれているから無理矢理入れようとはしなかったでしょ?」

 「そうだけど…」

 「まずドアを開けようか。みんな話を聞いてくれるから大丈夫だよ。」

 そう言われて私は扉のドアを開ける。目の前のアーマーはにっこりと微笑んで抱きしめてくれた。

 「心配ばかりかけて…」

 「ごめんなさい…」

 「今日会ったメイドと入るのが恥ずかしいのか?」

 「うん…」

 「じゃあ俺と一緒に入ろう」

 「…え?」

 「家族と一緒なら恥ずかしくないだろう?」

 「いや…あの…恥ずかしいです…」

 「どうして?六歳と九歳の兄妹がお風呂に一緒に入るなんて当たり前のことだろ?」

 「あ、あの、今日兄妹になったばかりだし…」

 「兄妹には変わりないじゃないか。俺は本当の兄妹のように仲良くしたいのに。ルナは違うの?」

 「私も本当の兄妹のように仲良くしたいけど…」

 「じゃあ問題ないよね。」

 「お風呂一緒に入るのは関係ないんじゃないかな!?」

 「あるよ。だって本当の兄妹なら何も問題ないんだろ?本当の兄妹のようになりたいなら一緒に入ろうよ。」

 「……今日はやっぱりメイドさんに洗って貰おうかな…」

 「そう?」

 じゃあ部屋に帰ろうね。と手を引かれて自室へと戻された。

 部屋に戻ってメイド三人に洗われた。一人でやる!自分で出来るのにー!!と暴れたけど大人三人に敵うはずもなく隅々まで洗われてしまった。

 涙目になりながら

 「もうやだ〜一人で出来るって言ってるのに〜」

 と言って自室に帰るとまだアーマーが私の部屋に居た。

 「そのうち慣れるから大丈夫だよ」

 とアーマーに言われた。

 「俺が髪を乾かしてあげるよ。兄妹のスキンシップは大事にしないといけないだろ?」

 「……自分でやる。」

 「ルナが自分で上手に出来ることはわかっているよ?でもこれは家族になる為のスキンシップだからね?」

 なんだか凄く腹が立ってきた。何が私の話を聞いてくれるだよ。聞いてるだけで私の主張なんて通らないじゃないか。このままアーマーのペースに乗って暮らしていたらアーマーの言いなりになってしまう気がする。私と仲良くなりたいなら私の言うこと聞いてくれてもいいじゃん!!口では敵わない。アーマーは言葉巧みに丸めこようとしてくるから。だから行動で示さないと!!

 そう思い、部屋の隅にある鋏を手に取る。

 「おい!!何をする気だ!!」

 

 ジャキン!!

 

 アーマーが叫ぶと同時に私は肩から下の髪を全て鋏で切り落とした。ロング髪だった髪がショートボブになった。

 「乾かす髪がなくなったので、お世話される必要はもうないですよね?」

 私がそう言うと部屋に居たメイド達、騎士達、アーマーもみんな固まって動かなくなってしまった。

 「じゃあ私はもう寝るから早くみんな部屋から出て行って……」

 「キャーーーーーー」

 「早く!!執事のポールさんを呼べ!!美容師の手配を!!」

 メイド達が叫び、騎士達は大慌て、アーマーは泣いていて、部屋の中が急に修羅場になった。

 「髪切っただけでそんな大袈裟な…」

 「ルナ。ごめん…俺のせいでルナの髪が…」

 アーマーはボロボロと涙を流して謝罪をやめない。

 「あの、気にしないで?よくある兄妹喧嘩だよ!スキンシップ!スキンシップだから!!髪なんてすぐ伸びるから〜。」

 その後は執事のポールに状況を説明して、本当に美容師が派遣されてすぐにやってきた。アーマーはポールに連れて行かれてアーマーの部屋に戻った。派遣された美容師に髪を整えて貰い、私はやっと眠りにつくことが出来た。その後、私の部屋からは鋏等の凶器になるものは全て撤去された。

 

 

 

 

 

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