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第79話 ジャッカルの苦悩

ルナが予想外の行動するのは今に始まったことじゃない

毎日振り回されてばかりだ

こんなに無茶苦茶なやつすぐにでも解雇してしまえばいいのに

それが出来ないのは

俺がルナの音楽に陶酔してしまっているからだ

ルナの作る音が

歌詞が

俺の心臓を抉る

脳に響く

麻薬のような中毒にさせられる

この世界の理不尽を嘆く叫びと

それでもこの世界を愛したいと叫ぶ

ルナの作る音楽の全てが俺に刺さった

だから当然ルナは音楽を1番に愛していて

音楽を捨てるようなことはしないと

そう思っていた

それなのに…

ルナはあっさりと言う

“グレイと一緒じゃなければアース音楽団を抜ける”と

運命だかなんだか知らないが

俺達より出会って初日の少年の方が大事だと言われて

ショックだった

ルナは俺とは違って

音楽がなくても生きていけるし

グレイと一緒に過ごすことの方が大事で

俺が勝手にルナが俺達と音楽を1番大事にしているなんて幻想を抱いていただけで

ただそれだけ


明日のライブの練習の為、今日は俺の部屋で練習だ

「あいつ頭おかしいと思ってたけど、本当にイカれてるな。」

カイが俺に言う

「無茶苦茶だな…」

「13歳のくせに私がお母様よ!!とか言ってるのマジでヤバくね?」

「常人では理解出来ないね。」

「しかもさっき会った子供に感情移入しすぎだろ。ヤバくね?」

「ヤバいね。」

「自由に生きるとか言ってるけど自由人すぎるだろ。」

「監禁された反動じゃないか?」

「ルナにトラウマがなければこんなことにはならなかっただろうに…監禁したやつ許さねえ…」

「まともなルナなんて想像出来ないけどな…」

「たしかに…」



ガチャと扉が空いた

「お。もうカイもいるの珍しいじゃん。」

ルナが俺の部屋に入ってきた

「お前の悪口言いたいから早く来たんだよ。」

「アハハ!!盛り上がった?」

「全然。呆れただけだよ。」

「えー。人の悪口言っといて盛り上がりもしないなんて損した気分だなぁ。」

「笑えないほどとち狂ってるからだろうが。」

「狂ってるのは私じゃなくて世の中だから。」

「ぜってぇおめぇだよバカ。」

「カイだって人のこと言えないじゃん。女性差別の犯罪者予備軍のくせに常識人ぶって説教しないでくれる?」

「誰が犯罪者予備軍だよ!お前なんか誘拐犯の立派な犯罪者じゃねえか!!」

「えー?私は人助けだよ?ジャッカルもリリー拾ってるし同罪だよね?」

「…もういいから早く練習しろ。」

俺は投げやりにルナに言う

「やだなぁ。私がアース音楽団抜けるなんて言ったからってそんなに不機嫌にならないでよね。大人気ないなぁ。」

その言葉に俺はピリつく

カイも同様にだった

空気が凍る

「音楽よりもグレイが大事なんだな。」

「そうよ。」

「ハッ!そんな簡単に俺らは捨てられる存在だったんだな。俺はルナを守る為に振り回されながら翻弄しているのにさ!!」

「だって…私の音楽が好きだからでしょう?」

俺はルナを睨む

そうだけど

だからこそ

ルナだって1番に音楽を愛して欲しかった

「お前俺がなんでも言うこと聞くと思うなよ?」

「そんなこと思ってないよ。移動スクロールだってちゃんと渡したし私だって譲歩してるんですよ?これでも。」

「正直ショックだったよ。ルナが俺達よりグレイを選んだことがね。」

「フフッ。意外と愛されてたんだなぁ。」

「…。」

「まぁまぁ。結局私達また一緒に音楽出来るんですし、機嫌直して下さいよ。仲直りしましょう?ね?」

「音楽なんて簡単に捨てるお前がどんな音を出せんのかな。」

俺は八つ当たり気味にルナへ言う

「やだなぁ。簡単に捨てる気なんてあるわけないじゃないですか。一大決心でしたよ!」

「どうだか。」

「そっちこそ。音楽しかやってなくてプライベート充実してなかったり、マンネリになってるんじゃないですか?日常に刺激がないと音が単調になりますよ?」

「あぁ??」

「私は今最高に気分がいいんです。人生で1番楽しいんですよ。今ね。」

「それだけやりたい放題してりゃそりゃそうだろうな。」

「最高にいい音鳴らせそうなんですよねぇ〜。」

「やってみろよ。」

「もちろん。じゃあ始めますか。」

ルナが合図をして演奏を開始する

…本当に全然違う

今まで苦しそうに辛そうに足掻いて歌っていたのに

楽しそうに嬉しそうに世界が輝いて見えるかのように

音が鳴る

声が通る

あぁ…だから俺は

ルナの音楽に陶酔してしまっているんだ

同じ曲なのに

今までとはまるで違う

こんな体験したことない

こんな常識外れなこと

他の誰ともきっと味わえない

ルナだけ

この世にたった1人ルナだけが

俺にいつも衝撃と感動を与えてくれる

演奏を終えてルナが俺の方に振り向いて言う

「どうですか?天下取れますか?」

楽しげに満足気にルナは満面の笑顔で言う

「アホか。気分乗りすぎてリズム早くなりすぎだろ。こっちの音を無視するな。合わせる気あんのかバカ。」





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