第64話 真相
私達は逃げるようにカリン様の家から出て行った
「俺のお陰で新事実を知ることが出来て良かったね。」
「全然良くないよ…こんなこと知りたくなかった…」
「気になっていたことは全部知れたじゃないか。俺凄くない?」
「度胸だけは凄いよ…」
「えへへ!」
ホリーはちょっと妄想癖が強い普通の男の子だと思っていたが、アース音楽団で1番常人離れしている人なのかもしれないと今回思い知った
まさかカリン様の治療魔法の秘密を暴露して事実を聞き出そうとするなんて…
頭に思い浮かんでも普通実行するか?
とんでもない行動力だ
ホリーという人を侮っていた
あんな目にあったのに何事もなかったかのように
ケロリとしているところも恐ろしい
私は震えて涙目になっているのに
「ううう…!!!もうやだ!!ケーキ!!ケーキ食べなきゃやっていけない!!」
「またぁ?何かあるたびにケーキばっかり食べていたらデブになるよ?」
「今日は絶対食べなきゃやってらんない!!」
「それ毎回言ってる…」
私達はケーキ屋に行ってフルーツケーキをホール買いした
「まさか1人で食べる気…?」
「なによ。文句あるの?」
「文句というか…ルナって頭イカてるなって…」
「どこが!!私よりホリーのほうが絶対イカれ野郎だからね!!」
「えぇ…?俺はどこにでもいる普通の人だよ?」
「聖女に啖呵切ったやつが何言ってんだ!!心臓止まるかと思ったわ!!」
「ちょっとかっこつけてみたくなっちゃっただけだよ。」
「お前の秘密を知っているなんて言って?」
「そう。人生で一度は言ってみたいセリフだよね。」
「そんな理由で聖女に喧嘩売るんだからイカれてるんだよ!!」
「まぁまぁお陰で真相を知ることが出来たんだし、この街を去ったらもうカリン様に会える機会なんてないから今回知れてよかったじゃないか。五体満足で帰って来れたし結果は万々歳さ。」
「私の頬は腫れたけどね。」
「あ!そうじゃん!やばいなぁ…アーマーにルナの頬がビンタされて腫れていると知られたら俺が五体満足ではいられないよ!!」
「そんなに腫れてる?バレるかな?」
「アーマーはルナの指が逆剥けしただけで気づく男だぞ。俺のせいでビンタされたなんて知られたら俺の命はない。」
「そんな大袈裟な…」
「大袈裟じゃない。ルナはアーマーのこと何もわかってない。」
「6年間一緒に暮らしたんだけどな…」
「化粧して誤魔化せ!」
「化粧道具なんて持ってないよ。」
「じゃあ買いに行くぞ!」
早く帰ってケーキを食べたかったが化粧道具を買いに行く羽目になった
白粉を買ってホリーが私の頬をメイクして隠した
「完璧だ。」
「じゃあ宿に帰ろう。」
私達はやっと宿に帰る
「おかえり。」
アーマーがいつも通り出迎えをしてくれた
「ただいま。アーマー。」
「束縛はしないけど。浮気したら殺すから。」
ホリーと2人きりで出かけたことを怒っているようだ
「やだなぁ。浮気なんてするわけないじゃん。私が愛しているのはアーマーだけだよ?」
「化粧しているルナは初めて見たけど。」
「え?あぁ…たまにはいいかなって…」
「…まぁいいや。ホリーもルナのこと好きじゃないし。仲良くなんてならないよね。」
「俺とルナはビジネス関係でしかないよ。プライベートででなんて関わりたくないね。」
本人の目の前で堂々と宣言しないでほしい
普通に傷つく
「それならいいんだ。またケーキ買わされただけだろう?じゃあ部屋でケーキ食べよう。ルナ。」
「うん。」
私とアーマーは私の自室に戻りホリーとは別れた
「今日はホール買いしてるじゃないか。何か嫌なことがあったのか?」
「青天の霹靂のような出来事があったのよ。」
「何があった?」
「国家反逆の片棒を担がされそうになった。」
「ブッ!!何だそれ!!」
「断ったけど気分は最悪よ。」
「加担すればよかったじゃないか。そしたら怯えて逃げながら旅することもなくなるし。」
「怯えて旅してるのはアーマーだけでしょう?私は見つかっても問題ないわよ。」
「アハハ!!勿体ねえな!!俺ならのったのに。」
「…お父様とお母様を失脚させるのに?」
「自由になる為に犠牲はつきものだからな。」
「お父様とお母様が大事じゃないの?」
「ハッ!!あいつらだって俺よりも国の安泰を選ぶんだ!!俺だって親よりも自由を選んだっていいだろう?」
…なんとなく1度目の人生の真相が見えてきた
カリン様とアーマーは2人で国家反逆をしようとしていたのかもしれない
でも…アーマーが裏切ってカリン様を刺したんだ
何故かはわからないけれど
1度目の人生ではカリン様がアーマーに自由を与えていたのかもしれない
だから2人は恋人だったんだ




