第54話 大事にされたくない
私がタイムリープしたかもしれないと考えなかったわけじゃない
でも…平々凡々な私にそんな力があるなんてにわかに信じがたかった
誰の子かわからないから
私がタイムリープした説か
あくまでホリーの推測でしかないけれど
私はホリーとナイルの部屋を出て、バレないようにもう一度アーマーの部屋に帰る
アーマーの寝ているベッドに入って
私は眠りについた
翌朝、起きるとアーマーは先に起きていた
「おはよう。ルナ。」
「おはよう。アーマー。」
「昨日どこに行ってたの?」
「え…?」
「俺が寝ている間に何処に行ってたの?」
威圧してアーマーが言う
なぜバレてるんだ
「ずっと部屋にいたよ?」
「嘘をつくな。ルナから酒の匂いがする。」
「…。」
ナイルのバカ。呑みすぎなんだよ。
「ナイルとホリーの部屋に行っただけだよ。」
「単独行動を許可していないが?俺が寝ている間を狙って勝手な行動をするなんて…」
「少し相談しただけよ。」
「1人で行くな。誰かと話す時、俺を連れて行け。」
「うるさーーーーーい!!!もう限界!!アーマーが眠れないからちゃんと帰ってきて一緒に寝たのに!!私が何をしようと私の勝手でしょう!?」
「死にたいのか!!」
「こんな雁字搦めの毎日を過ごすなら死んだ方がマシだから!!」
「ルナ!!死ぬなんて二度と言うなと言ったはずだ!!」
「私は本気だから。」
アーマーに負けずに私は気迫に満ちた表情で言う
「ルナが大事なんだ。」
「大事になんてされたくない。大事に育てて貰うならあの家を出る理由なんてないはずよ。私は自由になりたいから旅に出たの。やりたいことやって死ねるなら本望だから。」
「俺はルナに怪我をして欲しくないだけなんだ…!!」
「怪我するぐらい当たり前だよ!!もういい!!私1人で出掛けるからついてこないで!!」
「ルナ!!!」
「ついてきたらグリード家に帰って貰うから!!」
私はそう言って走って部屋から飛び出した
わかってる
私のこと大事にしてくれてるんだって
でも…
大事にされることが
自由を奪われることが
大嫌いなの
1度目の人生で
私を監禁したスミスは
私を大事に大事に
監禁したのだから
私は外をポロポロと涙を流して歩く
もうやだ
どうせアース音楽団のみんなだって
アーマーの味方なんだから
ジャッカルのいいつけを破って1人で行動しちゃったし
私が悪いって責めるに決まってる
だって辛いんだもん
辛い
…辛いよ
「大丈夫ですか?」
そう声を掛けてくれたのはカリン様だった
「あ…」
「そんな悲しい気分の時こそお花はいかがですか?」
「あ…すみません…私部屋から飛び出してきちゃってお財布持ってないんです。」
「えぇ?お金ないならいいや。あーあ!弱ってる人間ならカモり易いと思ったのになぁ!!」
「………え?」
な…何?聞き間違い?
カリン様がなんか…口が悪かったような…
「冷やかしはやめてよね。商店街に来ておきながら財布ないなんて非常識。早く財布持って来なさいよ。」
聞き間違いじゃなかった
カリン様が暴言を吐いている
「すみません…」
私はその場を去ろうとすると
カリン様が私のほっぺを片手で掴む
「アハハハ!!泣き顔ぶっさいく〜!!」
本当に誰だこの人…




