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第五話 失敗

アーマーが帰ってすぐにパンプキンとトマトが帰ってきた。

 「おかえりー!!」

 そう言ってパンプキンに抱きつく。

 「なんだ?今日はご機嫌だなー。」

 「そりゃ今からパン焼くんだもん!ワクワクするよ〜。」

 「実は俺もめっちゃ楽しみにしてた。」

 「トマトもおかえり!職業体験お疲れ様!」

 「ただいま。ハァ。やっぱり孤児院が一番安心するよ…孤児院で働きたい…。」

 「アハハ!!シスタートマトって想像できなーい!」

 「じゃあパプリカも呼んで早速キッチン行こうぜ!」

 パンプキンが言う。私達はみんなでパプリカのいる子供部屋へ行き呼びに行った。その後、四人でキッチンへ向かい昨日の発酵したパンを見に行く。パンはちゃんと発酵していて、膨らんでいた。

 「すご〜い!美味しそう!!」

 パプリカが言う。

 「早く焼こうよ!」

 私がパンを釜に入れて焼いた。オーブンで焼いた事はあるけど、釜で焼くのは初めてだから緊張する…

 釜の様子を見るとパンが膨らんできて上手に焼けている様子を見てホッとした。パンから目を離さないようにしてパンプキンと雑談をする。

 「今日は職業体験どこに行ったの?」

 「いちごの収穫だったよ。」

 「いちごめっちゃいいじゃん!」

 「最後は分けてくれたから今日の晩御飯のデザートはいちごだぞ。」

 「最高すぎる!」

 「今日こっちはどうだったんだよ?例の男の子は。」

 「絶対内緒にしてよ。実は街に抜け出して遊んで来たんだよ。」

 「ハァ!?その男とか!?」

 「うん!」

 「なんでそんな無茶を…まだ六歳なんだから危なすぎるぞ。」

 「まぁ無事戻ってこれたし!」

 「随分仲良くなったんだな。」

 「まぁね。最後は別れたくない〜って泣かれちゃったよ。」

 「そうなんだ。じゃあまた遊びにくるかな?今度は俺も一緒に遊びたいなー。」

 「なんか家では英才教育されてるらしいから遊ぶ時間とかはほとんどなさそうだったよ。」

 「はー貴族の坊ちゃんも大変なんだなぁ。」

 「ね。」

 そんな話をしている間に丁度よくパンが焼けた。しかもめちゃくちゃ美味しそうに。出来立てあつあつのパンをみんなでせーので被りついた。

 「美味しい!すっごくふわふわ!こんなに美味しいパン初めて食べた!!」

 パプリカが言う。

 「俺らパン焼く天才なんじゃね?パン職人になろうかな!」

 パンプキンが言う

 「初めてでこんなに美味しくできるなんて…作ってみてよかった…」

 トマトが言う

 「今日は本当に最高の一日だよー!!」

 私が言う。街でたくさん遊んだ後にみんなで作ったパンを焼いて食べて、この後の夕飯のデザートはいちご!!最高すぎる!!

 できたパンは他の孤児院の子供達にも分けてあげた。一人一個とかは量がなかったからちぎってあげたぐらいだけどみんな喜んで食べてくれた。その後にみんなで夕飯を食べて、デザートはいちごだった。

 今日は職業体験があったからあったかいお湯のお風呂が用意されていた。こんなに充実した一日ってあるんだなぁと思った。あったかいお風呂にも入って気分良く寝ようとした時

 「ルナ。ちょっとこっちに来なさい。」

 シスターに呼ばれた。

 「は、はい!」

 やばい。お昼抜け出したことバレたかな…シスターの説教めっちゃ怖いよ…。シスターに連れて行かれた場所はシスターの部屋だった。めっちゃ怒ってそう…。

 「今日はアーマーと仲良く遊んだみたいね。」

 「はい…」

 「貴方のことを気に入ったみたいよ。王族の養子としてアーマーの妹になることになったわ。」

 「………………は?」

 「アーマーは実は王族の子供なの。貴方は明日から王族として生きることになったわ。」

 「………………え?ちょっと誰の話ですか?」

 「ルナよ。貴方は王族に引き取られることになったの。」

 「ちょっと意味がわかりません…」

 「よかったね。幸せに暮らして…」

 「全然ちっともよくないです!私のお家は孤児院だし、私のお母さんはシスターだよ?絶対に行きたくない!!」

 「ここの暮らしは貧しいし、子供に無理をさせることも多いから裕福なお家に引き取られる方がいいのよ。」

 「勝手に決めないで下さい!私絶対に行きません!断って下さい!他に行きたい子供なんてたくさんいるでしょ!?」

 「アーマー君は貴方を指名したの。これは決定事項よ。私達に拒否権はないわ。」

 そう言って抱きしめられた。ポロポロと涙が溢れる。また繰り返すの?今度は自由に生きようって思ってたのに。権力なんて大嫌い。今度は王族に飼われる人生になるの?。抱きしめられた温もりからシスターの優しさが伝わる。

 「ごめんね。ここは孤児院だから新しい家族が出来ることを喜んでお祝いしないといけないのに…やっぱり寂しい気持ちがいつも勝ってしまうわ…。ここで暮らすより幸せになれるのにね。」

 「シスターー!私幸せになんてなりたくない!ここにいたい!」

 ボロボロと涙を溢す。わかってる。シスターが王族の命令に逆らうことなんてできない。

 「ルナの幸せを毎日祈ってる。愛してるわ。離れても元気でね。」

 そんなこと言わないで!離れたくない!やだ!こんなことになるなんて…私が考えなしにアーマーと遊びに行ったから…

 「ルナの服や靴は向こうで用意してくれるからここでの思い出の物だけ荷物に入れなさい。明日の朝王家へ行くのよ。」

 「みんなにお別れも言えないの…?」

 「孤児院から王家へ養子に行くことは極秘事項なの。だから明日ひっそりと出なくてはいけないのよ。」

 …………逃げよう。シスターは罰則を受けるかもしれないけど、今後の人生王家に飼われるのは嫌だ。明日の朝には王家の迎えが来るからそれまでに逃げればいい。

 「………わかりました。シスター今までありがとうございました。このご恩は忘れません。私もシスターの幸せを毎日祈っています。」

 フラフラと部屋へ戻る。パプリカ達はもう寝ていた。私にあるものは僅かなお金しかないけど、このお金を持って街で暫く隠れるしかない。こわい。でもここで逃げなければ私の人生また同じように生きることになる。それだけはダメ。せっかくサテライト様が戻してくれたんだ。ありったけの勇気を振り絞り私は僅かなお金を持って孤児院を逃げ出した。

 「すみません。お嬢様。」

 そう声をかけられて首を落とされて気絶してしまった。あぁ。王家の使用人に捕まったんだ…。もう本当…最悪…。

 

 

 

 目を覚ましたら次の日になっていた。大きなお屋敷にもう既に着いていて、私はフカフカの大きなベッドで寝かされていた。

 「おはようございます。ルナお嬢様。」

 ここのメイドだろうか。私に声をかけてきた。

 「……やめて下さい。私は孤児院の卑しい血筋の人間です。」

 「いいえ。貴方は今日からグリード・ルナ。ここの王家の娘です。」

 夢なら覚めてほしい。サテライト様もう一度時間を巻き戻して欲しい。頭が痛い。吐き気がする。

 もういいどうにでもなれ。

 私はベッドからばっと起き上がり大きな窓を開けてベランダへと飛びだした。

 「ルナお嬢様!?」

 ベランダの柵を乗り上げて叫ぶ

 「今すぐに孤児院に返してくれなかったらここから飛び降りるから!!」

 ここは二階だった。これなら飛び降りて大怪我はするが、死ぬ事はないだろう。王家で私が賭けれるものはこの身ひとつしかない。ここで賭けないとやり直しのこの人生絶対後悔することになる。もう一度死んだように生きることだけは嫌だ。使用人の人達がバタバタと慌てて人を呼びに言っている。騎士のような人が部屋に入ってきて私に近づこうとした。

 「近づかないで!近づいても飛び降りるから!!」

 「お嬢様やめてください!死ぬつもりですか!?」

 「私はお嬢様なんかじゃない!私を孤児院に帰すって約束して!」

 「ルナ様落ち着いて下さい!旦那様がもうすぐ参ります!一度落ち着いて話し合いをしましょう!」

 「嫌よ!どうせ孤児院育ちの子供の帰りたいなんて言葉普通に言っても聞いてくれるわけないんだから!」

 「旦那様はお優しい方です!きっと耳を傾けて頂けますからこちらに来てください!」

 「絶対に嫌!今ここで約束して!!」

 騎士と会話をしているとこの屋敷の主人であり、この国の王様グリード・ルーターが部屋に入ってくる。

 「ルナ。急に連れてきて申し訳ない。今日から私が君の父親のグリード・ルーターだ。不自由のない幸せな暮らしを約束する。だからこちらへ来てくれないだろうか。」

 「嫌よ!私の家族は孤児院のみんなだけなんだから!」

 「ここでの暮らしは孤児院よりも豊かで幸せに…」

 「豊かな暮らしも幸せな生活もいらないって言ってるの!!早く孤児院に帰して!!」

 私が王様と話していた隙に騎士が私に向かって走り出し、近づいてきた。

 「近づいても飛び降りるって言ったよね!?」

 そう言って……私は飛び降りた。

 死なないように着地しないといけないのに、高所恐怖症の私に出来るわけがなかった。走馬灯が見える。二度目人生短かったけど、やりたいようにできたから後悔はないかな。せっかく二回目のチャンスをくれたのに…サテライト様に会ってお礼言いたかったな。そこで私の意識はなくなり…二階から落ちた。

 

 

 

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