第四十五話 仲直りの方法
様々な噂が飛び交い混沌と化したこの街で
最後のライブを開催する
「ルナあああああああああああ!!!」
「アーマーは危険な男だああああああああ!!!」
「アーマーと別れろおおおおおおおおお!!!」
「アーマーと一緒にいたら殴られるぞ!!!」
「アーマーは脅迫もしてくるぞ!!!」
「ルナを幸せに出来るのは俺だあああああああ!!!」
「俺もだああああああああああ!!」
アーマーが私に石をぶつけた犯人を脅迫して追い込んだことも
私とアーマーが殴り合いの喧嘩をしていることも
観客のみんなはばっちり予習して知っているようだ
この街の噂の速度には驚きを隠せない
一人が知れば街全体が全員知っている
特に悪評は恐ろしいほど早く浸透するようだ
ライブよりも噂の盛り上がりの方がこの街ではみんなを盛り上げたのではないだろうか
毎日飽きもせず悪評を流し続けたかいがあって
今回の最後のライブにはほとんどの街の人間が見に来てくれていた
もちろんわざとではないのだが…
歌を聴くよりもヤジを飛ばすことが目的なんじゃないかと
ヤジを飛ばす観客はみんなイキイキしていて
楽しそうだった
どうせいなくなる私達アース音楽団は
思いっきり批判してもいいのだから
それはそうと…
私の味方がこんなにもたくさんいるなんて
「やっぱり!!!みんなもそう思うよね!?よかったあ〜。私ね!アース音楽団のみんなにすっごく怒られたんだよ?ルナが大人しくしないからアーマーが暴走するんだって!!絶対私悪くないよね!?」
「ルナは悪くないいいいいいいいい!!!」
「ルナが正義だああああああああああああ!!」
「愛してるぞおおおおおルナああああああああああ!!」
「ほら!聞いた!?ジャッカル!!私悪くないって!」
「わかったから…。早く歌えよ。」
「いやぁ!よかった!!こんなにみんなが味方になってくれるなんて!!ありがとう!!嬉しい!!」
「ルナしか勝たんんんんんんんんん!!!」
「俺は何があってもルナを推す!!!」
「ルナが一番だああああああああああ!!!」
「今日がこの街で歌う最後のライブになるんですけれど、
私が歌う最後の曲は私が師匠から貰った大事な大事な私の為の曲です。この曲のおかげで私は一生音楽でやっていく決意ができたと思います。自分で作曲した歌は恥ずかしくて人前で歌うなんてやっぱり怯んじゃうんだけど。でもこの曲は自信を持って歌えます!!みんなにも私の師匠の素晴らしさを知ってほしいです。私の大好きな曲。聴いてください!!」
「いいぞおおおおおお!!ルナああああああ!!」
「愛してるぞおおおおおおおおお!!!」
「私もみんながだーいすき!!愛してる!!!」
「うおおおおおおおおおおおお!!」
「ルナああああああああああああああ!!!」
「ふざけるな!!浮気だ!!浮気!!!」
そう言ってステージに乱入してきたのは鬼の形相で激怒しているアーマーだった
アーマーの出番は私のステージの後なのに
怒りでステージに上がってきてしまった
「な…なんで上がってきたの!?」
「ルナが大好きとか言って浮気してるからだろ!?しかもまたライトの曲を歌おうとしやがって!!」
「浮気の意味がわからない!私達は付き合ってもないのに!!それにライトの曲は私の代表曲だから一生歌うに決まってるじゃない!!」
「ルナは俺のものだ!!誰にも渡さない!!!」
こいつ…!!
神聖なステージまでこんなくだらないことで乱入してきやがって…!!
誰がお前のものになるか
グリード国に早く帰れよ
私の自由を奪うやつはぶっ殺す!!!
私は怒りに身を任せて手を振り上げる
「ルナ!!!ダメ!!!」
ステージ袖でリリーがそう叫ぶ声がして私の手は止まった“二人が揉めるとみんなが困る”
“一緒にやっていくなら”
“お互いに思いやりをもって行動しないとダメだよ”
リリーに言われた言葉が木霊する
「ルナああああああ!!やっちまええええええ!!」
「アーマーは引っ込んでろ!!この暴力男!!!」
アーマーが乱入したことにより観客のボルテージはMAXになっている
アーマーに非難轟轟の言葉が投げられていた
この状況で穏便に事態を収める方法なんて…
“とっておきの喧嘩を止める方法を教えてあげる”
ねぇリリー
これで本当にこの混乱がが収まるのかな
もし嘘だったら
ケーキ奢るぐらいはしてよね
私はアーマーのネクタイをぐいっと引っ張り自分の方に寄せて
アーマーの頬にキスをした
騒いでいたアーマーも観客も一気に静まり返る
「喧嘩するほど仲がいいってね。」
私はイタズラっぽくニコッと微笑む
放心状態のアーマーをステージの袖にドンっと突き放してステージから降ろした
「みなさーん!お待たせしました!夫婦漫才はこれでおしまい!!それでは私の私の為のステージの幕開けです!!」
「一瞬も見逃せないほど釘付けにしてやるよ!!」
静まり返ったステージは
ライトの曲で全員が夢中になって釘付けになった
リリーも圧巻の歌声で観客達を虜にして
私達のラストライブは大盛況で終わった




