第四十四話 クレープ事件
「ずるい。」
「え?」
「ずるいずるいずるいずるい!!!」
「何ですか?リリー。急にそんなこと言って。私のなにがずるいんですか?」
「ジャッカルがルナのことばっっっかり!!!」
「えぇ…?」
「今日だって一緒にお出かけしてたし!!私とデートなんてしてくれたことないのに!!」
「アーマーも一緒にね。監視でジャッカルはついてきただけけど…」
「一緒にクレープ食べたって聞いたわ!!そんなデートみたいなことして!!ずるい!!」
「あー…いい思い出ないからあまり掘り起こさないでくれる?」
「クレープ食べるだけで何の事件が起きるのよ!」
「事件というか…」
「何?」
「アーマーにね。クレープ一口ちょうだいってお願いして食べたの。それでね。ジャッカルのクレープも一口食べたらね。」
「うん。」
「アーマーが間接キスだって騒いで私の口に手を突っ込んでクレープを吐き出させて。」
「…。」
「それで私が怒って鼻フックをアーマーにしたらさ。」
「…。」
「アーマーが私の首筋噛んできたんだよ!!!」
「…。」
「それから殴り合いの喧嘩をジャッカルが止めて散々だったよ。」
「…。」
「ひどくない?」
「勝手にジャッカルのクレープを食べたのが悪いんじゃないでしょうか…。」
「えぇ?たった一口食べただけなのに!!」
「なんで勝手に食べたの?」
「だって聞いたら断られそうだったし。」
「うん。こういうことになるからね。」
「美味しそうだったし。」
「あのねぇ。アーマーのルナに対しての愛情は異常な程重いんだから。もっと考えて行動しないと…」
「私は行動を制限されることが大嫌いです。」
「それでも一緒に楽団やっていくんだからさ…お互いに思いやりを持って問題を起こさないようにしようよ。」
「うぅ…。」
「私のジャッカルをあまり困らさないでくれます?」
「私のことなんてほっとけばいいのに。」
「ほっといたら問題ばかり起こすから監視されてるんでしょう?」
「私じゃなくてアーマーがだもん。」
「二人がだよ。」
「えぇ?」
「たしかにルナ一人なら騒ぎにならない。でもね、アーマーが,一人でも騒ぎになるようなことは起きないのよ。二人が揉めるからみんなが困ってるの。」
「だって勝手について来たくせに文句ばっかり言うんだもん!!そんなに気に食わないなら家に帰ればいいのに!!」
「ルナが好きだから独り占めしたくて怒るんでしょう?アーマーは。家に帰るわけないじゃん。」
「納得いかない!!私に厳しいよ!!アース楽団のみんなは!!どうしてみんなしてアーマーの味方するの!?」
「一途でイケメンで有能でいい男じゃない。あんなに愛されて大事にされているのに…」
「好きな女の口に手を突っんだり、首筋を噛むような男に大事にされてるとは思わない!!」
「怒らせるからでしょう?私達はアーマーと話していても落ち着いててそんなことするような子じゃないもの。」
「ぜっっっっったい!!みんな騙されてるから!!怒っても好きな女の口に手を突っ込むような男はおかしいだろ!!」
「まぁやりすぎだとは思うけど…」
「どう考えてもやりすぎだよ!!」
「ルナが大人しくすれば問題は起こらないわけで…」
「そんなに悪いことしてないもん!ちょっとしたイタズラだもん!!」
「うーん…仲良くしなよ…。」
「仲はいいとは思いますよ。」
「仲良いのに毎日喧嘩しないでよ…」
「私だって喧嘩したくないですよ!!」
「うーん…じゃあとっておきの喧嘩を止める方法を教えてあげよう。」
「どうすればいいんですか?」
「簡単よ?本当にわからない?」
「全然わからないですね。勿体ぶらないで教えてくださいよ。」
「キスして黙らせたらイチコロよ。」
「真面目に聞いた私が馬鹿でした。」
「真面目に言ってるわよ!!」
「そんなことしたら私はどうなるかわかりませんよ…。恐ろしい。一回キスしたら毎日キス地獄になりそうですよ。」
「別にいいじゃない。何か問題でも?」
「大アリですよ!!」
「じゃあほっぺたならいいんじゃない?」
「頬にキスですか?」
「そう。平和に解決できるわよ?」
「うーん…。じゃあ今度一回だけ試してみます。」
「殴り合いの喧嘩よりはいいはずよ!」
「わかりましたよ…。」




