第二十八話 ラストステージ
初ライブが終わってからも私の毎日は音楽漬けだった
毎日ライトの屋敷に行ってギターと歌の指導をしてもらっていた
私がギターの練習をしている間、ライトは時々私の目の前で作曲をしていた
私の為の曲を半年の間でもう一曲作ってくれるようだ
ライトの作曲している姿はめちゃくちゃかっこよかった
私もこんな風に作曲してみたいと
強く憧れるあまり
グリード家に帰ってから私は隠れて作曲活動をしていた
めちゃくちゃ下手くそなんだけど
それでも…どうしてもライトに聴いて欲しかったから
作曲って本当にしんどい
ライトはスラスラ作っているのに
私はもう何がなんだかわからない
これでいいのか?
本当に大丈夫なんだろうかと
不安が募りすぎて
何度も何度も作り直すことの繰り返し
正解がわからない
こんなのライト師匠に聞かせられないよ…と何度も諦めかけたけれど
なんとか私の旅立ちの日に間に合わせて作りあげることが出来た
約半年間
あっという間に過ぎてしまった
明日は私のグリード王国で行うラストステージだ
私はギターで演奏できるまで成長した
一曲と二曲は私が歌って
三曲目はライトが歌う
私が歌う曲は前回歌った曲と新曲のニ曲だ
「いよいよラストステージだね。緊張してる?ルナ。」
「してない。楽しみで仕方がない。」
「ルナの度胸強さは凄いね。」
「初ステージはブルブルだったよ?」
「今回はギターもやるじゃないか。」
「うーん…。まぁ何か失敗してもライトもトラもサムもいるし大丈夫でしょう?」
「ハハッ。そうだね。何も気にしなくていい。ルナは精一杯ラストステージを楽しんで。」
「ありがとう。私はこのバンドに入れて幸せ者だよ。」
「それ終わってから言うセリフだよ。」
「たしかに。」
「じゃあ行こうか。最高のステージにしよう。」
私達はステージに立つ
初めて立った時の緊張はなく
感じるのは高揚感だけ
「後悔も!!苦しみも!!全て吹っ飛ばしてやるから!!このバンドを聴いているやつは!!今!!世界で一番幸せにしてやる!!!」
私がそう叫ぶのと同時にバンドの演奏が始まり
観客は湧き上がっている
私は魂を込めて歌う
グリード王国にたしかに私の存在があったこと
観客の脳裏に焼き付けるように
忘れないで
覚えていて
孤児院のみんな
シスター
サテライト様
グリード家のみんな
…アーマー
私は本当に幸せでした
ありがとう
ありがとう
ありがとう
さようなら
涙を堪えて私は最後まで歌った
最後にライトが歌う
私はギターを鳴らしてこたえる
この音が
ライトから授かった宝物だから
ライブは大盛況で終わった
私は舞台から降りて泣きじゃくる
「わ…私を…このバンドに入れてくれてありがとう…。」
私がそう言うと三人とも私を抱きしめてくれた
私は大泣きしながらライトの屋敷にみんなで戻り
打ち上げをする
トラとサムは疲れてしまい先に寝てしまった
「あの…ライト」
「何?」
「実は私曲を作ったの…。」
「え!?本当に!?」
「うん…全然上手く出来なかったんだけど聴いてくれる?」
「勿論さ。」
私は意を決してギターを弾きながら歌った
演奏が終わり空気は静寂に包まれる
「…やっぱりまだまだ未熟だよね。」
「…そんなことないよ。凄いよかった。」
終わった後に黙り込んだ時点で良くなかったのはわかった
お世辞でライトは言ってくれているんだろう
「ありがとう。本当に。」
「ルナ。これあげる。」
ライトの手には大量の楽譜があった
「これ…」
「俺の曲。全部あげる。」
「そんな…いいの?」
「うん。ルナの歌声で俺の曲を世界中に広げてね。」
「…大役だなぁ。」
「任せたよ。」
「じゃあ私もこれ。一応作った曲の楽譜あげる。」
「ありがとう。今度のライブで歌うよ。」
「いやいや!!やめて!!恥ずかしいから!!」
「そう?じゃあ俺だけの秘密の曲になっちゃうよ?」
「うん。それでいい。それがいい。」
「そっか…ルナ約束して。」
「何を?」
「絶対に死んではいけないよ。」
「…。」
「ルナはいつも刹那的なことを言う。いつ死んでも構わない。やりたいことをやれば満足だって。」
「うん…。」
「ダメだよ。やりたいことまだまだあるだろう?すぐに死のうとしないで。人生何があるかわからないよ。もしかしたらルナがお婆ちゃんになる頃にはグリード王国に来れるかもしれないだろ?」
「プッ。たしかに。」
「待ってるから。いつまでも。だから必ず生きて帰ってきて。」
「…うん。約束する。またいつか会えるように。死なないよ私。」
こうして私達のラストステージは終わった
もうすぐ運命の日
旅立ちの日が来る




