第二十六話 初ステージ
今日はルナの無料ライブ初ステージだ
ライトがルナの為に作曲をしてその歌をルナが歌う
さすがにギターはまだ上手くないのでルナは一曲歌うだけらしい
ライブは三曲あり、最後の曲にルナが出る予定だ
ルナは俺を驚かせたいからと頑なに俺に練習する所を見せなかった
ライブには必ず来て!!と念押しをして
ルナの晴れ舞台を俺が見逃すわけにもいかないので
俺はマリーン噴水広場のVIP席で観覧する
後方に二階観覧席があり、その真ん中がVIP席だ
観客からVIP席の姿を見ることは出来ず
ステージからはよく見える構造だ
ライトのバンドは人気らしく大勢の観客が集まっていた
ライト達が舞台に上がり観客は大盛りだ
一曲…二曲と演奏が始まりライトが歌う
…。
なるほど。こうやって人を惑わせているんだな
確かにかっこよくみえる
音楽が出来るだけで
かっこよく見えるんだから
卑怯だ
俺だってヴァイオリンの演奏はプロ並みだし
練習すればギターだってあいつより上手くなれるはずなんだ
こんなやつに俺は負けてない
大丈夫…大丈夫だ
三曲目になる時、ルナが舞台に上がる
「初めまして。ルナと申します。十一歳です。今回、ライトさんに誘われて歌わせて貰うことになりました。まだまだ未熟者ですが、心を込めて皆さんに…」
「ダメダメ!!ルナ!!」
ライトが言う
「え?」
「そんな畏まった挨拶しなくていいんだよ!!観客を沸かせることを言えばいい!!」
「…私の歌声で世界を染めてみせる!!私の伝説の初ステージ!!一生忘れられないステージにするから!!一瞬たりとも見逃すなーーーー!!!!」
「うおおおおおおおおおお!!!」
「ルナあああああああああああああ!!!」
ルナの笑顔が弾ける
誰よりも自由で
やりたいことをやりたい放題して
誰よりも輝いている
演奏が始まり、ルナが歌う
あぁ…
頭が痛い
割れそうだ
ルナが今まで見た中で一番幸せそうにしている
俺達が出逢った日に街へ遊びに行った時より
ルナは輝いている
ルナは俺がいなくても
ルナは俺がいない方が
幸せに生きていけるのだろう
気持ち悪い
気持ち悪い
気持ち悪い
そんな現実を受け入れたくない
この曲はルナの為に作った曲だ…
こんなに完璧にルナの魅力を引き出せる曲を作ることが
俺に出来るだろうか?
…経験の問題じゃない
たぶん一生
この曲に俺は敵うことはないだろう
誰にも負けない自信があったのに
勝てる気がしない才能を目の当たりにして
初めて味わう敗北感
誰よりもルナを輝かせることができ出来るのは
俺ではなく
あのライトとかいう男だということに
その現実に
頭と胸が張り裂けるほど苦しい
それでも…
誰よりも輝いて歌うルナの姿を
愛おしくみてしまう
ルナは俺がいなくても
あんなに笑顔で明るく生きていけるのだろう
俺は無理だ
ルナがいなくちゃ
ルナと一緒に生きていかないと
幸せなんて感じることが出来ない
お願いだから
俺からルナを取らないで
お願い
お願い
お願いします…
苦しさと愛おしさでぐちゃぐちゃの感情になり泣きながら俺はステージを見る
ルナお前の言ったとおり
一生忘れられないステージになったよ




