第二十五話 作曲
今日はライトに呼ばれてライトの屋敷へ行く
私が歌う曲を作曲する為に
「ルナが得意な歌を歌ってみてくれる?」
「難しいこと言うね…。」
「歌いやすい音域を確認するだけだから。」
「歌いやすい歌でいいの?」
「そうだね。」
私は歌いやすい歌を歌う
歌いやすい歌のはずなのに
こんな風に人前で評価を受けながら歌うことは初めてなので
緊張してめちゃくちゃ下手くそになってしまった
うう…
本当はもうちょっと上手く歌えるんです!!
と思わず言い訳してしまいたくなる
こんなんであんなに大勢の前で上手に歌えるようになるだかろうか
私の為に曲を作ってくれるというから
嬉しくて思わず勢いでお願いしたけれど
こんな下手でがっかりされてないだろうか
「じゃあ次は童謡を歌ってくれる?」
「え?は…はい…。」
何故童謡を?とは怖くて聞けなかった
聴くに耐えない程酷かったか?
私はリクエスト通りに好きな童謡を歌う
さっきよりはマシな気がする
チラッとライトの顔色を窺うが
なんだか難しい顔をしていた
終わったかもしれない
やっぱり想像と違ってダメダメだからなかった話にしてくれとか言われそうな雰囲気だった
「じゃあ次は俺がライブで歌った曲を歌って。」
「え?」
「俺が手本で一回歌ってあげるから。」
「は…はい。」
私は歌詞と楽譜を渡されて目の前で演奏しながら歌うライトを見る
やっぱり凄いかっこいい
何度聴いても心が揺さぶられる
演奏が終わり私は拍手喝采する
「かっこいい〜!!!」
「ありがとう。じゃあルナも歌ってみて。」
「うん!!」
ライトの演奏に合わせて私は歌う
ライトのようにかっこよくは無理だけれど
魂を込めて私なりに歌った
「フフフッ。」
「え?へ…変だった?」
「いや。違うよ。とても良かった。ルナこの曲好き?」
「うん!!めっちゃ好き!!かっこいいよね!!」
「ありがとう。ごめんね。笑っちゃって。ルナがあまりにも俺の曲を歌う時だけ楽しそうにするからさ。嬉しくて。」
「あ…あれ?そうだった…?」
「うん。結構リズム取るの難しい曲だったのに一番上手に歌うんだから。びっくりしたよ。」
「えへへ…。」
「俺も人の為に曲を作るの初めてだからさ。こんな曲歌いたくないなとか思われたらどうしようとか不安に思ってたけれど…」
「えぇ!?そんなこと思うわけないじゃん!!」
「うん。ありがとう。ルナが俺の曲を歌ってる姿を見たらそんな不安吹き飛んだよ。」
「私ライトの大ファンだよ!?」
「ありがとう。嬉しいよ。」
「こちらこそありがとうだよ!私の為に曲を作ってくれてありがとう!!本当に本当に楽しみにしてるから!!」
「期待値高すぎても緊張するな…。」
私はその後も何回か歌ってその後グリード家に帰った
ライトが私の曲を作ってくれる
本当に本当に楽しみでしかない
帰ったらギターの練習と歌の練習もしよう
ルナが帰った後に俺の屋敷に一人の人物が訪ねてきた
「こんにちは。近くに来たから寄ってみたんだけれど、突然来て迷惑だったかな?」
「いえ…こんな所に立ち寄って頂けるなんて光栄です。グリード・アーマー様。」
突然この国の王子様が来訪してきた
俺は挨拶程度しか関わりのない底辺貴族なのにこんな所まで来るなんて…
心当たりは一つしかない
ルナのことだろう
ルナは孤児院出身であと数ヶ月で平民に戻ると聞いてから
王族と意識せずフランクに接していたが
どんな事情があれ今はルナも王族
あまりにも馴れ馴れしくしすぎたのかもしれない
無礼で罪を問われるのだろうか…
俺は緊張して客間に通す
「どうぞお掛けください。」
「ありがとう。」
「今、お茶を用意しますので…」
「あぁ。お構いなく。少し話をしたらすぐに帰るから。ライトも座って。」
「畏まりました…。」
俺は向かいのソファーに座った
「随分とルナと仲良くしているみたいだね。」
「ロックバンドをお気に召されたようで…」
「よくわからないマイナーな文化の音楽を武器にルナを誘惑するなんてね。ライブ行った後にさ。ライトがかっこよかった!!ってうるさくてね。本当にルナの無神経さには嫌になるよ。」
「えっと…アーマー様はルナ様が好きなんですかね…?」
「そうだよ。ルナは俺の女だ。絶対に渡さないからな。」
「そ…そうだったんですね…。そうとは知らず無礼を働いてしまい申し訳ございません…。」
「あぁ。ハンカチ貰っていただろう?それを貰いに来たんだよ。今日は。」
「ルナがサインをしてくれたハンカチですか?」
「そう。返して貰おうか。」
「…畏まりました。」
大事に保管していたルナとの思い出のハンカチだったが
ここで断って王族と敵対するわけにもいかない
俺は平穏を求めているんだ
ルナには悪いけれどハンカチはアーマー様に渡した
「ルナの為に曲を作るんだって?」
「えぇ…。」
「俺にできないことをして喜ばせるなんて…大抵のことは人より上手く出来るから俺が一番かっこよくみせれるのに。俺がわからないことをして気を引くなんて卑怯者だ。」
「アーマー様なら勉強すればらすぐにできるようになりますよ…。」
「まぁそうだけど?今は忙しくて出来ないだけだからな!!」
「仰る通りで御座います。」
「いいか。ルナと恋人になろうなんて考えているなら今すぐここで殺す。」
「まさか…数ヶ月後に旅に出る女の子を恋人になんてしませんよ…。」
「ここにいたら口説いていたと?」
「いえいえいえ!!そういう意味ではなく!!」
「俺のルナに劣情を抱いたその瞬間、お前の心臓を貫く。覚えておけ。」
「…肝に銘じておきます。」
「ルナがお前を気に入って楽しそうにしているから今回は見逃す。」
「寛大な心遣い感謝致します。」
そう言ってアーマー様は去って行った
恐ろしい
首が飛ぶかと思った




