第二十三話 練習
本当はライトの家に毎日通ってギターを教えて貰いたかったが、さすがに毎日通い詰めると迷惑だろうと思い、週に五日ぐらいの頻度で通っていた
今日はグリード家にいる時はほとんど部屋に引き篭もりずっとギターの練習をしていた
今日も自室でギターの練習をしていると
コンコンッ
「ルナ。会いにきたよ。」
アーマーが扉をノックしてきた
私は扉を開ける
「どうしたの?」
「最近構ってくれないから会いに来た。」
「アーマーも忙しそうじゃん。」
「誰かさんが脱走しようとするからね。大変なんだよ。」
「脱走じゃありませんー。私は元々この家から出ていく契約でしたー。」
「部屋に篭ってギターを練習しているだけなんだろ?」
「そうだよ。」
「じゃあ俺の部屋で練習しろ。」
「えぇ…。まぁいいけど…。」
私はギターを持ってアーマーの部屋に移動する
アーマーの部屋にはたくさんの魔法陣の紙や魔法スクロールの紙が散乱している
「俺は作業をするから。」
そう言って机に座り、アーマーは作業をする
私は気にせず、アーマーの部屋でもギターの練習を始めた
特に会話もなく一時間程経った頃に
「少し休憩しないか?」
「私はいいや。」
「そんなに楽しい?ギター。」
「めちゃくちゃ楽しいよ!!」
「ふーん…。」
「アーマーもやる?」
「俺はギターで遊んでる場合じゃないからな。無事にルナと一緒にこの屋敷から出てかけたらその時にルナに教えて貰おうかな。」
「えぇ…。私と一緒に出ていくつもりなの?」
「そうだよ。ルナだけ自由に生きるなんて許さない。」
「学校だって自由じゃない?」
「知らないのか?学校は同調圧力の団体だ。自由とはかけ離れているんだよ。」
「アーマーも音楽で生きていきたいの?」
「俺はルナと生きていきたいんだよ。」
「束縛しないって言ったくせに。」
「束縛なんてしていないだろう?契約通り自由になれるんだから。契約には一人で出て行くなんて記載はなかった。」
「うーん…。まぁそうだけど…。」
「俺から逃げられると思うな。今回の脱走が成功しても必ず見つけ出してやるから。絶対に。ルナだけ自由になって幸せに生きていくなんて許さないからな。」
なんか怖いこと言ってる
めちゃくちゃ執着してるじゃん
これで本気で束縛してないって言い張ってるのが怖いよ
何故私なんだろうな
学校に行けば私より可愛い子も
美人な子も
たくさんいるのに
視野が狭いなぁ
「そっちこそ。私のことを見つけられたとして。私が手に入るなんて思わないことね。私はアーマーのものにはならないよ。一生ね。」
「じゃあ誰のものになるんだ?あのライトとか言う何も取り柄のなさそうな凡人がいいのか?」
「私のギターの師匠を貶すなら本気で怒るわよ。ライトとはただの師弟関係よ。」
「週に五日も会いに行ってるじゃないか。」
「ギターを教えて貰ってるだけよ。」
「とても楽しそうじゃないか。」
「楽しいもん。今まで生きてきて今が一番楽しいよ。」
「俺と過ごした時間は?」
「もちろん楽しかったよ。グリード家には感謝しかない。幸せに暮らせてしかもお金をたくさん頂けた。これから生活にも困ることなく音楽活動が出来る。ただ…私は自由に生きる方が性に合ってるからってだけだよ。アーマーだってそうでしょう?」
「そうだね。俺達ずっと一緒に自由に旅して生きていけるように頑張るね。」
「そんな話してないけど…。」
「ルナと一緒に自由になりたい。こんな屋敷に俺を置いて行くなんて許さない。もしも俺を置いて行ったなら俺は大暴れしてこの国ごと滅ぼす。」
「ねぇ!!冗談でもそんな怖いこと言わないでよ!!」
「俺は本気だ!!」
「余計怖いわ!!」
「こんなに辛い思いをして必死に脱走計画を潰しているのに当の本人はよく知らない男とイチャイチャと…腹が立つに決まっているだろう!?」
「そんな如何わしい言い方しないでよ!!イチャイチャなんてしてないから!!」
「かっこいいとか天才とか言って口説いているとガリバーから報告を聞いている!」
「ギターの話だから!!」
「でも…ルナが楽しそうにしているから…妬ましいけどやめさせることは出来なくて…苦しい気持ちだけが募って…。」
「…。」
私はギターを用意する
「そんな貴方に。心を込めて歌います。聴いてください。」
私は拙いギターを弾きながら今練習している曲を弾き語りする
私がいなくても
自由に幸せに暮らせることを願って
「どうだった?」
私は演奏を終えて感想を促す
「下手くそだった。」
「二週間でここまで弾けるようになったんだから!」
「でも…ありがとう。俺の為に歌ってくれて。」
「どういたしまして。」
なんとなくの仲直りを経て私達はまたお互いに黙々と作業と練習を始めた




