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第130話 王妃様

この世界で最も気高く美しく強い

こんな女性になりたいと心から憧れる

王妃という立場が強くしたのか

王妃という立場が美しくしたのか

元々の才能なのかわからないけれど

王妃になる為に生まれてきたんじゃないかと思えるほど

彼女ほど完璧な王妃はいない

「お久しぶりです。お母様。」

私は柔らかい笑顔で2年ぶりに会うお母様に挨拶をする

お母様は私をギュッと優しく抱きしめてくれた

「…どうして帰ってきてしまったの?ここに帰らずに旅を続けてくれるなら見逃してあげれたのに。」

「アーマーだけこの城に帰すのは可哀想でしたから。私の為に死んで、私の為に殺人鬼になったアーマーを見捨てるなんてこと出来ませんよ。」

「アーマーは国の為に働く運命だからルナは関係ないわよ。」

「それでも…アーマーは国の為じゃなくて私の為にやってくれたから。それに私アーマーのこと好きになっちゃったんです。アーマーを見捨てて私だけ自由に生きるなんて出来ませんでしたから。」

「…でも結局アーマーを残してここを去ることにしたのでしょう?」

「お父様に私の刑罰聞いたんですね。」

「ここに住む気はないのね。」

「はい。」

「何が不満なの?何故ここに住めないの?」

「自由に旅が出来ないのが嫌。アーマーと結婚出来ないのが嫌。アース音楽団のみんなと会えないのが嫌。好きな服を着れないのが嫌。死ぬまで監視されるのが嫌。私の力を国の為に乱用させられそうで嫌。不自由なく、裕福な生活をして幸せだろう?と言われるのが嫌。このままここに住んでいると王家を憎んで反逆しそうで嫌。」

「死ぬよりも?」

「絶対に嫌ですね。」

「私は国の為に働いてきた。それは私の誇りであり、後悔なんてない。」

「はい。」

「でも…子ども達にはつらいことしかさせてあげられなかったかな。」

「いえ。十分幸せに愛情深く育てて頂きました。ここが王家ではなく、国を守る為に生きる場所ではなかったら…いえこれはたらればの話ですね。」

「ごめんなさい。ルナを追い詰めたのは私達よ。謝ってすむ問題ではないけど。」

「謝らないでください。お母様は国の為にいつも働いていたことはわかっています。国民の幸せを優先するのは当たり前です。それに私はそんなことわかっていてここに住むことを決めたんです。お金につられて。私達は家族であり、ビジネス関係でもあった。それだけですよ。」

「普通に…1人の娘として愛してあげられなくてごめんなさい。」

「私は王家を本当の家族だなんて思ったこと1度もなかったですよ。私の中ではビジネス関係の意識の方が圧倒的に強かった。だから…そんなに気に病まないでください。私はお母様の娘なんかじゃなく、反逆の血筋の末裔です。心置きなく処罰してください。それが私の本望です。」

「無理よ…私はルナを愛している。そんなことできない。」

「私に殺されたくないでしょう?」

「え?」

「このままここに住めば国の為に働くお父様とお母様を恨んで反逆しますよ。アーマーと一緒にならひとたまりもないでしょうね。」

「…。」

「そんなことしたくないんですよ。私は。この国を守る為に処罰してください。」

「…さようならルナ。」

「はい。大好きですよお母様。ちゃんとお母様を大好きな私のままで…私を罰してくださいね。」

「最期に私に伝えることはある?」

「私の大事な息子をよろしくお願いします。」

「グレイという心が読める少年のことかしら。」

「はい。私の願いはただ1つ彼の望むように生きさせてください。ここに住みたいと願えばここに住ませてあげてください。アース音楽団に戻りたいと言われたら…大人しく戻してあげてください。」

「グレイも監視対象よ。」

「わかっています。でもそれは国家の機密事項で限られた人間しか知らない。お父様とお母様が見逃してあげれば問題ないはずです。」

「…危険な能力者を野放しにしろと?」

「心を読む能力は危険じゃない。国家に有益だから近くに能力者を置きたいだけでしょう?グレイはイレギュラーで能力が発動した。本家血筋の執事のポールは王家に忠誠を誓って働いているんだからグレイは必要ないはず。」

「ポールが心を読む能力者だと何故わかったの?」

「灰色の瞳は心を読む能力者の証なんでしょう?ポールの瞳は灰色だから。ポールの家系は王家の為に働く執事の家系として働いている。王家の人間が心を読む力が利用できるようにね。」

「…。」

「グレイが決めた人生を生かせてあげてください。」

「旅に出るなら監視がつくわ。」

「本当は認めたくないですが…最大限譲歩します。わかりましたよ。監視ありでいいので自由にさせてあげてください。監視があることは伏せてくださいよ。」

「いいわよ。可愛い娘の最期の願いぐらい聞いてあげるわ。」

「ありがとうございます。お母様。」

大好きでしたよ…本当に

ビジネス家族だって

確かに私達は家族だったから

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