第129話 交渉
次の日になり、朝食を食べにいつもの食堂に移動しようとすると
「あ…もう王様も王妃様も自室で食事を取っているので…食堂には誰もいませんが…」
とガリバーに説明された
「え?そうなの?家族の団欒を楽しもうと思ってたのに。」
「ルナ様とアーマー様が旅に出られてからはお2人とも自室で食事されています。」
「そっか…寂しいな。」
「今からまた4人で食事すればいいじゃないですか。マナ様とアーマー様がいればまた仲良く食事出来ますよ。」
「…どうかな。もう4人で仲良く団欒は…難しいだろうね。」
「当時から喧嘩するほど仲がいいって感じでしたから…」
「それでもさ。やっぱり修復不可能なぐらいに仲が悪くなってしまったからさ…。」
「ルナ様のせいではありません!ルナ様がいなければ一緒に食事なんて一生しなかったですよ!ルナ様のおかげで会話が出来るようになったんですから!」
「そうかもしれないけど…」
「大丈夫ですよ!また仲良く団欒出来るようにルナ様が橋渡しをしてくれたら平和になりますよ!」
「いや…もう無理でしょ。私は王家からすれば反逆者の一味だし。友好的にはなれないよ。」
「ルナ様は王家を反逆するなんてことしないです!その力で我が国を守ったと聞きましたよ?王家の利益になるのなら仲良く協力すればいいじゃないですか!」
「ここではもう暮らさない。みんなの家族仲を取り持つ理由もない。…寂しい気持ちはあるけれどね。」
「ルナ様が王家の為に力を貢献して頂けるなら、また幸せに暮らすことが出来るのに!」
「幸せになんてなりたくない。私は自由になりたいんだ。」
「知ってますよ。旅に出る時に何回も言われましたからね。」
「自由に生きると決めたから。後悔なんてしない。」
「死ぬかもしれないのに?」
「思い残すものは何もないから。」
「まだ14歳のくせに。」
「1度目と合わせるともう30年生きてますから。」
「30歳なんてまだまだですよ。まだまだ人生長いのにそんな選択しなくても…」
「最善の選択だと思ってる。…じゃあ朝食は自室で食べよっか。」
「…はい。メイドに頼んでおきます。」
部屋に運ばれた朝食を食べ終えて、私は今日の挨拶周りを開始する
「お忙しそうですね。クラウドお兄ちゃん。」
私はクラウドお兄ちゃんに声を掛ける
「戦争が勃発したからね。外交が忙しいんだよ。」
「噂では王家の参謀まで上りつめたとか。おめでとうございます。」
「ありがとう。」
「サテライト様とも随分仲良くなられたようで。」
「あぁ。今は恋人だよ。」
「ファ!?ほ…本当ですか!?」
「ルナの言う通り諦めずに頑張った結果だよ。ありがとう。」
「いや…お似合いだとは思っていたし、応援していましたが、まさかもうお付き合いされているなんて…身分差もあるのに凄いですね。」
「スチュード家から許して貰って付き合っているわけではないからね。戦争が起こることを知っていたサテライト様の話を聞いているうちに恋人関係になったまでさ。」
「秘密の関係なんですね。」
「いや?別に秘密にはしていないさ。許されていないだけで。」
「許される日は来るんですか?」
「それは今から腕の見せ所だよ。この戦争の外交が成功すれば俺の有能さを認めざるを得ないだろうからね。」
「有能なのはわかっていますよ。血筋的に許されていないのでしょう?」
「戦争を止めた功績まで出して認められないなら駆け落ちすると決めていますから。」
「サテライト様も了承されているのですか?」
「当たり前だろう?俺達は一生共に過ごすことを誓ったんだから。」
「相変わらず重いね…。」
「愛はおもければ重いほど尊いんだよ。」
「2人が幸せなら、私からは何も言いませんが。」
「ルナだってアーマーと一生共に生きるんだろう?」
「私はここから出て行きますよ。」
「え?不可能だよ。」
「お父様と話し合って決まりましたから。」
「ルナがここから出ることを?ありえない。」
私は自分の刑罰をクラウドお兄ちゃんにも説明する
「ルナらしいけれど…残念だな。」
「お世話になったクラウドお兄ちゃんにはお礼を言っておかないとと思って。」
「ルナのおかげでサテライトと恋人になれたからさ。こちらこそお礼を言わないとね。ありがとうルナ。」
「1つ教えて欲しいことがあるんだけど。」
「何?」
「アーマーの居場所が敵国にバレていたんです。」
「敵国の情報網も侮れないね。」
「クラウドお兄ちゃんが教えた?」
「俺が?どうして?」
「サテライト様と結婚する為に。戦争の抗争を収めるという功績が欲しいからとか。」
「フフッ。よくわかったね。ルナはもういなくなるから特別に正直に答えてあげるよ。」
「アーマーは1回死んだのよ?」
「でもやり直せた。ルナの力で。」
「私の力が発動したのはたまたまよ!私達死ぬところだったのよ!?」
「危険な賭けではあったけど…でも成功した。戦争は準備されていてどこかに爆撃は必ず来るようになっていた。最小限に被害を抑えるにはアーマー様と…ルナの力が1番よかったからね。」
「…。」
私は睨みつける
「ルナとアーマー様のおかげで1番いい結果になったよ。ありがとう。」
「お陰様で一生消えないトラウマになったわよ。」
「ごめんね。ルナの刑執行までにルナの手助けぐらいはするからさ。許してよ。」
「許せるか!刑執行まで奴隷のように私の為に無条件で働いてもらうから!!」
「俺は今忙しいのに…」
「私の為に働けないならサテライト様に全て話してやるから。いいの?めちゃくちゃ嫌われるわよ?」
「仕方ない。協力しよう。」