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第124話 時間回帰

一気に色んなことが起こりすぎて放心状態だ

思い出すのは血塗れになったアーマーが冷たくなっていく姿

アーマーは魔法が全部使えるし最強だから

絶対に死ぬわけないと思っていた

急な爆撃で即死しそうだった私とグレイを

必死に守ろうとしてくれたのだろう

自分の命を犠牲にしてまで

前触れもなくいきなりの爆撃なんてアーマーが最強でも無理だ

時間が戻っただけならば

もう一度あの悪夢を再現することになる

こわい

震えと涙が止まらずに私はアーマーの腕にしがみつく

「大丈夫だよ。俺がなんとかするから。何も心配しなくていい。」

しがみつく私を抱き寄せて安心させるようにアーマーは言う

「まだ…混乱してて…色んなこと説明しないといけないことわかってるけど…今日はこのまま一緒に添い寝してくれる?」

「いいよ。おいで。」

私はアーマーの部屋に連れていかれてそのまま一緒にベッドに入った

アーマーのぬくもりを感じてそのまま眠りについた



ルナが眠りについてから1時間後にジャッカルが部屋に入ってきた

「おい。ルナ。明日のライブの練習の時間だぞ。」

ジャッカルはルナが俺のベッドで涙の跡を残しながら眠っている姿を見て俺に言う

「…何があった?」

「俺にもよくわからないです。」

「こんなに衰弱しているルナはみたことない。過酷な旅でも元気だったのに。」

「戦争が始まって俺が死ぬ悪夢を見たらしいですよ。」

「あと2ヶ月後に始まる戦争の話か?ルナは戦争に怯えていたしナーバスになっているのか…。」

「明日のライブも出来るかどうか…」

「爆弾が降ってもライブをやると豪語していたやつがナーバスになったぐらいでやめるとは思えないけどな。」

俺達が話しているとうるさかったのかルナが目を覚ました

「ごめん。起こしちゃった?ルナ。」

「何やってんだよルナ。明日のライブ練習の時間だぞ。早く起きろ。」

「ジャッカル…ルナは今精神的に辛い状態なんだよ。そんなことで…」

「そんなこと?練習は本番よりも重要だぞ。プロならわかるだろ?ナーバスになってるのか知らねぇけど出来ないなんてありえないよな?」

「…そう。明日ライブなんだ…。寝坊しちゃった。ごめんジャッカル。」

「ほら。さっさと行くぞ。」

ルナは起き上がりジャッカルについていこうとするので

「ちょっ…ちょっとルナ!!大丈夫なの!?」

「うん。眠ったから平気。」

「無理しなくても…」

「最後のライブになるかもしれない。下手な演奏はしたくないから。」

そう言ってルナはジャッカルと一緒に去って行った


次の日になり、アース音楽団のライブが開催された

ルナのステージは圧巻だった

戦争が始まると知っているからだろうか

このステージが最後かもしれないという覚悟が詰まったステージだった

興奮冷めやまないまま宿へと帰り

俺の部屋でルナと話をする

「…待たせてごめんね。私の知っている全てを話します。」

ルナは1度目の人生の話から話してくれた

サテライトと一緒に時間回帰をしたこと

そして…1か月後に起こる戦争の話を

急に空から爆弾が降ってきて爆撃にあったこと

体調が悪く寝込んでいたルナを看病していたグレイと共に瓦礫の山に埋もれて死にそうになったところを

俺が命懸けで助けたらしい

グレイがルナを抱えてその場を離れて

俺は瓦礫の山に呑まれて死んだようだ

その後…グレイのやり直したいと言った瞬間に

時間が回帰してその日の朝までタイムリープしたようだ

ここからは俺も知っている話

俺が時間回帰させて今になる

「…1度目の人生では戦争が始まるのは2か月だったし、戦争の被害に遭う街はサーキュラー街じゃなかった。どうして…」

「戦争が始まることを知っている人間はルナだけではない。」

「サテライト様…」

「おそらくサテライトが誰かと手を組んで戦争を阻止しようと動いたのだろう。それがどこからか情報が漏れて時期も襲撃場所も狂ったのだろう。」

「どうしたらいいの…?王家に連絡…?」

「いや…王家に連絡するのはリスキーだ。情報がどこで漏れるかわからない。襲撃場所や時間がわかっている今の方が対処しやすい。」

「まさか…アーマー1人で戦争に向かうつもりなの…?」

「そうだよ。」

「ダメだよ!!危険すぎるよ!!いくらアーマーでも…」

「前回は不意打ちだったから死んでしまったけれど今回は身構えて迎え撃つことが出来るからな。絶対に負けないよ。」

「絶対に負けないって…応戦するということは敵国の戦士を殺すことになるのよ!?あんな大量にいるのに1人で戦えるわけ…」

「何人束になってこようが負ける気がしないよ。」

「ダメ!!失敗したら死んじゃうし…成功したら…大量殺人をすることになる。そんなの…」

「戦争ってそういうものだろう?」

「そうかもしれないけど…で…でも!!アーマーがやらなくたって…」

「誰かがやらなくてはいけない。俺にはその力がある。俺しか適任はいないよ。」

「やっぱり王家に連絡して騎士団に来てもらった方が…!!」

「ルナ。俺は大丈夫。絶対に死んだりしない。もしも死んでも…またグレイが時間回帰してくれる。」

「あんな地獄を何度も見ろって言うの?」

「ごめん。そうじゃない。絶対死なない。約束するから。」

「…アーマーに全てを背負わせない。実行犯はアーマーで、主犯は私。私がアーマーに命令する。」


ルナは覚悟した顔で俺に命令する

「襲撃する敵国の戦士を全員殺して。戦争が出来なくなるぐらい皆殺しにして。」

「言われなくてもそうするよ。ルナが背負うべき業ではない。」

「私が背負いたいの。」

「そんなの背負わなくても俺は気にしないのに。」

「私が気にする。アーマー1人でやらせない。やらせたくない。」

「…ルナがそう言うなら。2人で戦争を終わらせよう。」





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