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第107話 世界一かっこいいロックバンド

僕はルナがアーマーのことをどう思っているか

心の声で聞き出すことが出来て

無事にミッションをクリアしたのだが…

いつか別れるつもりなんて正直に言っていいのだろうか

あんなにもルナに執着しているアーマーがそんなことを知れば

暴走してしまうのではないだろうか

僕でさえショックで取り乱したのに

「どうだ?聞けたか?」

とアーマーに聞かれる

「…知らない方がいいかもしれません。」

「なんだ?気持ち悪い最低男とでも言ってたか?」

「そんなことは言ってません!ただ…いずれは別れるつもりだと…」

「…ハハ。そうだよな。」

「知っていたんですか?」

「予想はしていた。」

「正直ショックです。ルナお母様はアーマーお父様のこと大事にしているはずなのに…どうして…」

「まぁ戦争が始まるかららしいけれど。」

「それ…ルナお母様も言ってました。戦争があるから〜って…どうしてそんなことを知ってるのですか?スパイなんですか?」

「違うよ。ルナも魔法使いなんだ。時間回帰のね。」

「…え?ルナお母様は時間を操れるんですか?」

「そう。発動条件はまだわかっていないし確定しているわけではないけれど。ルナは10年時を戻して人生のやり直しをしているんだよ。」

「冗談ですよね?」

「本当だ。1度目の人生ではあと1年で戦争が始まるらしい。だからこの世界も戦争が始まると信じている。」

「どうしてルナお母様は時間を10年も戻したんでしょうか。」

「偶然らしい。ルナは自分で時間を戻したことに気づいていなかったのだからね。」

「どうやって発動したのですか?僕のようになんとなく魔法が発動したのですか?」

「なんとなくで10年も時間は戻らないよ。たまたま魔法の発動の条件が一致したんだろう。」

「そんなことがあるんですね…。」

「“やり直したい”」

「え?」

「ルナの目を見て“やり直したい”と叫ぶと時間が戻るかもしれない。」

「他人が発動条件なんですか?」

「確定ではないけれどね。ルナが時間を戻したのは1度だけ。もしかしたら1度だけ使える制限のある魔法なのかもしれないし。」

「戦争はアーマーお父様が参加しないと負けるから別れるつもりなんですね。」

「そうらしいな。」

「ルナお母様もついて行って側で支えるぐらいしてあげればいいのに…」

「ルナは非情な人間だぞ。盲信していると天国から地獄に叩き落とされるぞ。俺は何度も経験している。」

「それでも好きなんですね。」

「当たり前だ。ルナがいるなら地獄でも本望だ。お前に同じ覚悟が出来るか?いつか突然裏切られるぞ。お前を引き取る時に言った言葉覚えているか?“グレイを引き取れないならアース音楽団を脱退する”と宣言したんだぞ?こんなに良くしてくれている音楽仲間をあっさり捨てようとしたんだ。この意味がわかるよな?明日は我が身だぞ。」

「…。」

「自分だけは違うと思ってるのか?そんなわけないだろう?ルナは自分勝手だ。側にいるなら振り回されると思え。」

「そうですね。肝に銘じておきます…。」

「じゃあ約束通り魔法の特訓するか。」

「よろしくお願いします。」

僕はアーマーに魔法の制御の方法を教えて貰う

そして魔法の使い方も教わった

今は触れても心の声が流れて聞こえることはない

こちらから魔力を抑えれば聞こえなくなった

そして…離れていても少しなら心の声を拾うことができるようになった

僕はアース音楽団のみんな相手に心の声を拾って少し魔法の練習をした

わかったことはリリーはほとんど表の声と心の声が同じであり、思ったことをそのまま発言していることがわかった

ホリーも頭で考えずにそのまま発言している

この2人は本当に素直で好感が持てた

ジャッカルとナイルはやはり大人だから本音と建前を使い分けて発言している

でも嫌な嘘のつき方はしない

あくまで社会的に上手くいくように

物事が円滑に進むように発言している

カイは…心の声が酷かった

心の声の男尊女卑の思想の強さが強すぎて

ドン引きするレベルだった

表で発言している男尊女卑発言が可愛いレベルで

暴言のオンパレードだった

アーマーは…驚くほどずっとルナのことしか考えていない

ルナルナルナルナルナルナとうるさいので何度も心の声を聞く気にはなれなかった

ルナは…意外と闇が深かった

僕の前では底抜けに明るくてとびきりの笑顔で話してくれるから

愛されて充実した人生を送ってきて

心に余裕がある人だと思っていたが

全然違った

異常な程の権力者に対しての嫌悪感

支配される恐怖

ルナはずっと闇を抱えて生きている

だからこそ…ルナは曲を作る

ルナが作曲する時の心の声は

世の中の理不尽さに辟易としている気持ちと

それでもこの世界を愛したいと願う

気持ちが交錯していた


今日はヤーラン街でアース音楽団が2度目のライブを行う

僕は今回は舞台袖ではなくステージの最前列で見守る

「みんなー!!久しぶりー!!」

とルナが前座で話を始めてステージを盛り上げる

「今日はなんと!!私の新曲を演奏しまーす!」

「前回の曲は私の師匠の曲だったんですけど。」

「今日は私が作詞作曲した曲です。」

「あ!こんな女子供が書く曲なんて期待してないでしょう!?」

「お遊戯会みたいだとバカにしてるでしょう!?」

「ふふーん!舐めてもらっては困りますよお客さん。」

「私が書く曲は超ロックなんだから。」

「ジャッカルとカイは私の作曲する曲めっちゃ気に入ってくれてるんだよー。」

「ねぇ?ほら!最高だって!」

「え?身内贔屓だって?」

「あははは!!たぶんそう!!あははは!!」

「でもさ。私の音楽が1番だって言ってくれる仲間と私は演奏出来て幸せものだって思うんだよね。」

「2人が私の音楽を愛してくれるから。」

「私はここで堂々とかっこいいロックだぞーって歌うことが出来るんだし。」

「今回の曲は色々あって特に自信なかったけど…」

「2人が最高にロックでかっこいいって大絶賛してくれたから。」

「え。そっかな?って…えへへ。」

「だからみなさんも私の新曲を聞いてみて後でこっそり教えてくださいね。」

「身内贔屓なのか。」

「最高のロックなのか。」

ルナが歌う直前、ルナは最前列にいる僕を見つめる

「世界で1番かっこいいロックバンド魅せてあげる。」

そう僕に言い放ち

ルナは歌う

僕に

観客に

魅せつける

世界一かっこいいロックバンドを

魅せつけないでよね

僕の為のこの曲の

ベースを弾くことが出来ないなんて

悔しくて仕方がないから

早く追いつきたいよ

ルナ

ルナの音楽を1番愛しているのは

ジャッカルでも

カイでもなくて

僕だと思う




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