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5月24日

作者: 希死念慮

"5月24日"。

私の人生において今までで、そしてきっとこれからも1番大切な日。


中学生最後の夏を迎えた私は君と出会った。一目惚れだった。


遠征先の駅の向かいのホームで電車を待っていた君。


名前も年も何も知らなかった。


でも運命的な何かを感じた。


だけどその後すぐ君が待っていた電車は来て

当たり前だが君はその電車に乗って、

話しかける暇などなかった。


何せ向かいのホームなら話しかけることも難しかっただろうな。


そんな事を考えているうちに私の待っていた電車は来て私はそれに乗り、音楽を聴いて家に帰った。


それからと言うもの君の事を思い出すのは次第に減っていき、しばらく月日が経ち、私は高校に入学した。


そして高校生活に慣れてしばらくした頃、

見覚えのある顔の人が転校してきた。


私はすぐに思い出した。あの夏に見かけた向かいの駅のホームの君だと。


これは運命だと私は確信した。

むしろこれを運命と呼ばないのなら何と言うのかそんな次元のものを感じた。


私はそれから君に話しかけ続けた。

今思えば鬱陶しく思われても仕方ないほどに話かけ続けた。


だけど君はそんな私に嫌な顔1つせず全ての質問に答えてくれて私のくだらない冗談にも笑ってくれた。


そんな君に私はどんどん心惹かれていった。


それから私達は2人で遊びに行ったり寝落ち電話をしたりしてどんどん仲を深めていった。


そして1年ほど経った時、私は君に告白された。


私は二つ返事ではいと答えた。


私達が付き合った日。


 "5月24日"


それから私達は色々な時間を共にした。


家は真逆だったからあまり一緒に帰る事は無かったけれど、


夏の花火大会、秋祭り、クリスマス、お花見。


そして桜が散り始めた4月頃。


私達の高校生活最後の1年が始まった。


お互い進路の事も考え始め、勉強に専念し始めた時期だった。


やはり受験生ともなると今までみたいに遊びに行く事は厳しくて。


会える時間も段々減って来ていた。


だけどお互い相手の事を好きな気持ちは変わらず、1年記念日ぐらいは1日中2人で過ごす事にした。


 "5月24日"。

1年記念日当日。


遠出をしようと話していた私達は電車で2年前私達が出会った駅のホームで降り、そこから行ける場所に行こうかと予定を立てていた。


私は朝から鼓動が高まっていて予定よりも10分早く集合場所に着いた。


けれど君はそれより先に着いていたみたいで私より先に待っていた。


それから私達はその駅のホームで降り、近くにあった水族館へ行って、ご飯を食べた。

凄く幸せな時間だった。


最近一緒にいた時間が少なかったからなのか

1年記念日という特別な日だったからなのかは分からないが確実に今までで1番幸せだった。


「このまま死んでも悔い無いかも」


君は帰りの電車でそんな事を言ってた。



いつもだったら君は次の駅で乗り換える為に降りるのに何故か君は降りなくて、


「どうしたの?」と聞くと君は

「今日ぐらいはまだ一緒にいたいなって」


そんな事を言って私と一緒に降りて私を家まで送ってくれた。


いつもは迷惑だからといって断る私も君のそんな顔を見たら断れなかった。


そして私は玄関の前で家に入る瞬間まで見守ってもらい、家の中に入った。


本当に人生で1番幸せな日だったなと噛み締めながらお風呂に入った。


私がお風呂から上がった頃には君はとっくに家に着いてるはずだ。


「今日はわざわざ家まで送ってくれてほんとありがとう、また来年も今日みたいな最高の1日にしようね」


私はそうメールを送り眠りについた。


翌朝。

君からの返事はない。

その代わり君のお母さんからメールが来ていた。


君のお母さんとは何度か君のお家に行った時、連絡先を交換させてもらっていた。

だが今まで向こうから連絡が来た事は無かった。


嫌な予感がした。


鼓動が早くなっているのがよく分かる。


私が恐る恐る開いてみるとそこには


「夜遅くにごめんなさいね。昨日中々帰ってこないなと思いながら帰りを待ってたの、

そしたら警察から電話がかかってきてね、

通り魔に刺されたんだって。

いつもの帰り道では通らないような道の場所を聞かされて何でそんな道通ったのよって思ったけど貴方の家の近くだった。

でも貴方のせいだなんて思ってないわ。

私は貴方を恨んでないから、自分を責めないでね。」


信じられない。


私があの時断っていたら、家まで送って貰わなかったら、自分に腹が立ったし悔いしか残らなかった。


でも君のお母さんは自分を責めないでといってくれた。


君の優しさはお母さん譲りなのかなと、君を重ね、より涙が溢れる。


私と君が赤い糸で結ばれた日であり私と君の赤い糸が引き離された日。


"5月24日"。

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