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巨大地下施設 その3

近道 保志

 


 ウンウンと自動車の唸る音。それと同時に、道路を激しく熱せられた真っ赤な鉄鋼が走ってきた。


 超高温の鉄鋼は東の方の真っ暗な洞窟へと向かっている。

 暗闇の洞窟内が焼けた走る鋼鉄によって、内部がここからもわかった。産業機械が所狭しと立ち並ぶ。何かの工場のようだ。


「ヘッ、へッ、ゼエ……」


 おれは走っていた。

 脇腹を抑えて。

 不気味な洞窟へと。

 こんなところ一秒だっていられない。


 後ろから電気自動車が追いかけてくるようだった。


「おれを轢く気かーー!! この野郎ーーー!!」


 取り敢えず後ろで運転している奴に唾を吐いて、怒鳴った。

 

 ここは、どこだ? 


 どうなってる? 何がどうなってる?


 一体? ここは地球のどこなんだ?


 おれは何故こんなところにいる?


 それになんだか、わざとらしい。


 何か嫌な予感がする。


 機械でおれを轢き殺したり、ミンチにしようとか、バラバラにしよとか……要するに殺したいんだろう。


 冗談じゃねえーーー!!


 もはや、ここがどんな場所なのかわかってきた。

 様々な機械で人殺しをして、何かの研究とか実験とかをしようとしている。そんな感じだろう。


 後方から電気自動車が派手に鋼鉄にぶつかる音がした。

 

「なんだ?! 事故りやがったのか……?」


 振り向くと、電気自動車は線路を走る燃え盛る鋼鉄の一つにぶつかり煙が大量に遥か上に昇っていた。


 モウモウと黒煙を吐き続ける電気自動車は、灼熱の炎によって溶解し壊滅状態となっていた。


「ありゃ? 生存者か? それとも誘拐でもされたのか?」


 こちらに小学生くらいの子が走って来た。

 手にはおれがさっき捨てたはずのパイプクリーナーを持っていた。


「ああ! 良かったー! おじさんがいた!!」


 小学生くらいの子が走りながら手を振った。


「ああ、良かったな。坊主どこから来た?」


 おれも安堵感からかニコリと笑っていた。


「学校帰りに友達とゴミ屋敷を探検して、そしたら部屋が降りだして」

「そうか。おれもだよ。ゴミ屋敷からここへ来たんだよ」


 坊主の顔を見ると、血色が良くすこぶる元気そうだった。

 可愛げのある顔で、背は少し低い方かなと思った。


「ぼく大久保 とおる!」

「おれは近道こんどう 保志やすしだ。お互い無事で良かったな」


「あの車は? 徹くんは乗っていたのかい?」


 一瞬、徹はブルッと体中で震えた。


「ち……違う! あの車はぼくを轢こうとした! だからこのパイプクリーナーでタイヤを滑らせて……」


 おれは内心よくやったと思った。

 感心して、徹の頭を撫でた。


「よくやったぞ! 徹くん! あのパイプクリーナーはおれのだ!」

「うん! おじさんもありがと!」

「ところで、徹くん……ここの出口を知らないかい?」

「え? おじさんも知らないんだ……」

「ああ……」

「そっか……」


 そこで、おれは震えだした。

 誰が言ったんだ!!

 車は一台じゃないんだ!!


「徹くん! 逃げるぞ!」

「へ?!」


 さっきと同じ電気自動車だった。

 もう一台の電気自動車が観覧車の下からおれたちを目指して、走ってくる!


 産業機械に明かりがつき全てが稼働し始めた。



 それぞれの機械音を発して動く産業機械は、特殊な超高感度センサーなども備わっている。


「あそこに逃げるの!!」

 徹くんが叫ぶ。

「ああ! 電気自動車に乗った奴がおれたちをあそこへ追い込んでいるんだ。ここは一旦、洞窟の中に入るしかない!」

「あそこに逃げるの!!」

 徹くんが叫ぶ。

「ああ! 電気自動車に乗った奴がおれたちをあそこへ追い込んでいるんだ。ここは一旦、洞窟の中に入るしかない!」


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