3/44
セツナ
窓の外
雨粒がくるむ緑の匂いが
今日はすこし 気にかかる
庭の茶色い枝が空に打たれて さみしくうつむく
ぼくが小さい頃は あんなにしっかりと立ってたのに
この気持ちはどこから来て
どこへゆくのだろう
窓の外を見るのやめて 部屋の中
机の上に重ねた本がまた増えた
名前さえつかない おぼつかないこの想いを
心の引き出しに押し止めて 人は大人になるのかな
周りの友だちとは ぼくはもう目を合わせて喋らない
話したいこと いっぱいあって
伝えたいことも数え切れなかったはずなのに
誰かの出会いと別れも もう特別じゃなくなった
誰だって 同じさ
そういうふうに 生きてくんだろう
初恋のかけらも わすれて
誰かを好きになるよりもかんたんに 時は流れてく
庭に降る雨は ぼくを待ってはくれない
この気持ちに 名前つけたい
虚しさも寂しさも 見えないのに全部確かにここにあって
その気持ち全部抱えて 心だけはどこにも行けなくて
ぼくは大きくなった体もてあます