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煙
煙
小雨の降る中
ふわっと焚き火から生まれた薄縹色の煙が
濡れた枝と雫の落ちる葉っぱを動かすこともなく
天へ昇っていく
古い古い手紙の束が
葬られる日
懐かしさと思い出が胸の奥でキリリと痛む
わたしと共に逝くのが良いが
見送ってあげたくて
束になった言葉の数々が紐解かれ
煙となった言葉が逝く
話さなくなった言葉
返事を待つことがなくなった言葉
言葉のぬくもりに愛を感じ
慰められ、夢をみて
命をもらった
昇っていく煙が空の青さに溶けるのを
見守り、見送り
私はとても静かで穏やかだ




