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雪の降る道

 シルフィールの家も見に行ったが、4年も放置してあった為に一部倒壊や雨漏りなどでかなり損傷していた。当時シルフィールが裸で泳いでいたという家の裏の川だけは当時のままのようだった。暗くなって来たので、ゲートの所に停めてある馬車で一泊した。夜は結構冷えるので城下街で買って置いた冬装備を着用してから寝た。


 翌朝、全員で朝食を摂った俺達は予定通りに『神樹マティアラ』と、その麓にある『エダノハ村』に向かって出発する事にした。ヴァレンシュさんはこのまま里に残って、崩れている建物の下にある石像などを移動させたりするそうだ。石化が解けた時に危なくない様にする為らしい。


 それを聞いたシルフィールが、


「それなら私も残って手伝うよ。ここだって安全じゃないかも知れないし。」


 と言ったのだが、ヴァレンシュさんは首を横に振ると、


「私なら大丈夫だよ。山で私の足に追いつける人なんてまず居ないでしょ。それよりあんたは、エダノハ村や、この周辺で今、何が起こっているのかをその目で見て来て欲しい。」


「・・・分かった。私、行ってくるよ。」


「いつか、みんなの石化を解く事が出来たら、その時は・・・・里のみんなと一緒に盛大に宴会をしよう。」


 シルフィールとヴァレンシュさんは抱き合って別れの挨拶をした。


 その後ヴァレンシュさんに寝具や数日分の食料等を渡し、彼女の家を取り敢えず寝られるように簡易修理してからフレイミアの里を後にした。次にここへ来る時には里の人達が笑って過ごして居るのを見たいものだ。



    *    *    *



 ヴァレンシュさんが降りた馬車は、いつものメンバーだけとなった。


「神樹マティアラが近づくにつれ、どんどん気温が下がって来たな。・・・フィルツ、お前それで寒くないのか?」


「ワシは精霊だから全く寒くないな。後ろの馬車の馬も毛足の長い奴だからある程度は大丈夫だろ。」


 目的地がエダノハと分かってたから、スレイ達の馬車も寒さ対策はしてある様だ。


 マティアラに近づくとフィルツが、


「おい、あのデカい木も王都にあったのと同じように凄い魔力を感じるぞ!」


「しかし、何であそこまで大きくなったんだろうな?」


「神樹というのは、大地の魔力を吸い上げて、ずっと成長し続けているって昔聞いたわ。」


 この国には神樹といわれる巨木が3本あり、そられは『神樹レノウルド』『神樹マティアラ』『神樹シュタナス』と呼ばれている。その巨大さはフレイミアからでも神樹マティアラを十分近くに見る事が出来る程である。


 そのまましばらく1本道を進んで行くと、更に気温が下がってきた。


「あっ、雪だ。今、雪が降ったよ。」


 気が付けば雪が少し舞っていた。


「この先に大きな岩が張り出てる場所があるから、そこで昼休憩したらどうかな?」


「そうか。雪も降ってるから、そうしよう。」


 丁度お昼時なので、そこで昼食を摂る事にした。


 大きな岩が張り出ている場所に着くと、すぐに焚き火を起こした。


「アスク~、空から白いのがいっぱい降ってるよ。」


 ティアは初めて見る雪に驚いている様だ。彼女の小さな手のひらに白い雪が舞い降りて、すぐに消えて無くなると不思議そうな顔をする。


「ううっ。結構寒くなりましたね~。」


 フィーラはどうやら寒さは余り得意では無いらしい。昼食の準備が終わるとすぐに焚き火で温まり、体を丸くした。彼女には追加でもう1枚服を着させる事にした。

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