表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/321

シャーリィ村へ花通信

「アスク・レイエンダー殿、この度は誠に助かった。貴殿の協力のお陰であの娘を救う事が出来た。」


 王様はアスクに礼を言った。左手の魔王の事については触れない様に王妃に言われたのだろう、何も言われなかった。


「それと、褒美に関しては後日改めて相談しよう。それまで城内でゆっくり過ごすと良い。」


 そう言い残し、後を王妃に託し、部屋を出て行った。先程までオロオロしていた王の姿はどこへやら、落ち着きを取り戻した様子だった。


「取り敢えず、部屋を用意しましたのでそちらでお休み下さい。夜には簡単にですが宴の席を用意いたします。」


 王妃も安堵したのか優しい表情でそう告げた。


「ウェリアスもこの1月間ずっと張り詰めていたのですから、少しお休みなさい。」


 と言われたウェリアスは王妃の言葉に頷くと、


「アスク、じゃあ少し休ませて貰うよ。また夜に会おう。」


 そう言いながら部屋を後にした。


 落ち着いた雰囲気の中で一先ず解散という雰囲気だったので、その前にシャーリィ村に連絡を入れる事にした。


「あの、シャーリィ村に連絡を入れたいのですが、花通信をお借りする事は出来ますか?」


 と王妃様に願い出ると、


「ええ、どうぞ。後で部屋まで案内の者を向かわせますので、ご自由にお使い下さい。」


 と返事が返ってきた。


 ヘルザさんは用事があると言い残すと、再び居なくなった。


 部屋を出た俺達が案内されたのは結構な広い部屋だった。すぐに従者の人達がお茶とお菓子を用意してくれたので、それらを楽しみながら寛いでいるとドアがノックされた。


「どうぞ。」


 と返事をすると、部屋に入って来たのは従者の格好をした鳥人族の女性であった。


「アスク・レイエンダー様、花通信の部屋までご案内いたします。」


 全員で花通信の部屋へ移動した。


 小さな部屋のテーブルの上に花が活けてある花瓶があり、花の頭をちょんと指で触れると、


「花ある場所ならどこにでも~。花通信サービスですよ~!」


 といいながら、元気な花の精霊が現れた。どこから掛けても同じセリフの様だ。


 そして花の精霊に向かって


「シャーリィ村の屋敷にある花までお願いします。」


 と言いながら、花の精霊にテーブルの上に置いてあるお菓子を渡す。精霊はいそいそと首から下げている『がま口財布』にお菓子を収納し、


「もしも~し?誰か出て~?アスクさんからの連絡だよ」


 と花に話しかけると、少し間があった後で花から声が聞こえて来た。


「お待たせ~。シャーリィさんが今から出ますよ~。」


 花の向こうから慌てた足音が聞こえた。この時間だと、畑に居たのかな? 花通信は見える範囲なら呼びに行ってくれる様だ。


「は~い、シャーリィですよ~!アスクさんですか?」


「ああ、アスクだけど、そっちで何か変わった事は無いかな?」


「変わった事?・・・う~ん・・・ああ! リャーオさん達が持って来てくれた野菜の苗とか、お酒用の苗木がどんどん大きくなってるですよ。リャーオさんも『あの森の腐葉土は何かおかしい』って言ってたですけどね。」


「うん・・・? まあ、順調に育ってるのなら安心だ。皆も元気にしてるみたいだな。 リーズは・・・まあ相変わらずだろうけどな。」


「あ、ご主人様はレイオールの女王様?から花通信があって、しばらく出掛けるって、ヘルザさんが乗ってきた馬車に乗って行っちゃったですよ。それからまだ帰って来てないですよ。」


 リスティア陛下からリーズに花通信? 何かの用事でレイオールに呼ばれたのかな。・・・まあ、相手が陛下なら問題は無いだろ。


「じゃあ、皆に代わるよ。」


 と言ってシルフィール達に花通信を譲った。皆しばらくの間、ワイワイと楽しそうに会話を続けた。

よろしければ、ブックマークと評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ