表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/22

18 もうすぐ婚約……これで俺が国王だ(※シュヴァルツ視点)

 よし! マリアンヌのお花畑がいいように働きやがった! よくやったバカ女!


 今日、デオン侯爵から直々に、父上に進言があった。娘が早く婚約したいと、リディア嬢との思い出と死を悼む気持ちはふたりとも同じだから一緒に乗り越えたい、と。


 はっはぁ、バカ女も使いようだぜ。マルセル侯爵もこれには頷くしかなかったようだ。


 娘を亡くしたからといって、一国の王子を縛ることはできない、むしろ娘を思ってくれるふたりならばと……、っぶはははは!! わりぃな!! その娘を殺したのはこの俺なんだわ!!


 その場で笑い出さなかった俺を褒めてやりてぇよ。こうも頭の中がおめでてぇとはな。善人ってやつがより集まるとこうなっちまうのかね?


 善意だけじゃ国は動かせねぇと知ってる父上まで、これには同意してやがる。そして俺は、計画通り宰相の娘、マリアンヌと婚約する日取りが決まった。


 あぁ、早くその日がこねぇかな、時間がもっと早く進めばいいのによ。


 貴族の中立派が俺の背についたら後はどうとでもなる。保守派も引き摺り込んで、兄上を蹴落とすだけ。


 まぁその蹴落とすのが面倒だが、貴族の大半が俺の味方についたとしたら、兄上には国政能力が欠如してるとでも言えばいいだろう。


 リディアを殺したこと以外はちゃぁんと綺麗に進めてやるぜ。リディアはただただ存在が邪魔だった。どかすことのできねぇ障害、殺すしかなかった。


 かわいそうな女だ、リディア。欠点が無いばかりに俺に殺されたリディア。親に愛されたばかりに、本当にお前を思う兄上と結ばれなかったリディア。


 ほんっとうに殺しておいてよかったよ! 死んでくれてありがとうな! おかげで国王まであと少しだぜ! ぎゃはは!!


 はぁ、それにしても、淑女として欠点がねぇリディアに家庭教師をしてもらっておきながら、あのマリアンヌって女はひでぇやつだなぁ? ほんと、同情するぜリディア。


 生きてるうちに俺に惚れて気持ちを伝えてくるわ、リディアが死んでからも喪が明けるのを待てねぇわ。


 リディアも大概お花畑だと思っちゃいたが、節度、ってもんは弁えてたぜ? お前は何を教わってたんだよマリアンヌ。本物のお花畑ってのはこんなにも自分本位なもんなのかね? いやぁ、女ってのは怖い生き物だぜ。結婚する前に色々と誓約書に同意させて、さっさと突き放さねぇとな。


 ま、一番節度がねぇのは俺だけどな!


 婚約してからも下町で遊ぶのはやめなかったし、女も抱いた。リディアに手を出さなかったのは王子としてその方が好感度がたけぇからだ! そしてリディアを殺した! 俺が殺したんだぜ! 節度なんてもんが俺に備わってたら、そんなこたぁしなかったんだが、おあいにく俺にもそんなものはねぇ!


 が、表向きは節度のある王子だからな。リディアの死にかこつけて、誓約書には相当拘ってやろう。立ち直ったら破棄して新しく作り直すとでも言ってよ!


 どこまでも利用価値がある女だなぁ、リディア。死んでからの方が役に立つとは皮肉な話だがよ。


 マリアンヌとの結婚に関する誓約書は、婚約の場で、マルセル侯爵にも立ち会って貰って決めようじゃねぇか。


 そしたらよ? ほら、亡くなった自分の娘をこんなに思ってくれている王子だ、って保守派の奴らも取り込みやすいだろ? なんせ、亡くなった元婚約者をおもんばかった内容の誓約書だ。


 俺はマリアンヌを遠ざけられる。その上マルセル侯爵を取り込める。


 はっはぁ、本当にお前には感謝してるよ!


 死んでくれてありがとうな、リディア!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] この王子、本当に生きているんだろうか… 生命神の加護があるという事は 加護を持っている人が生命の危機に晒された時に、再生の力が発動されるなら、 生命神はその事を気づいているはず? そして、…
[一言] 王子、貴方のおっしゃっている言葉は全てブーメランです笑。 ※作者へ、王子の自問自答が繰り返しな感じがします。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ