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5センチ越しの恋  作者: 今福シノ
番外編
11/11

番外編 From ③ to ④

 翌朝。


 大好きなアイドルの寝息が聞こえてくる中、眠りになんてつけるはずもなくて。


「ふあ、あ……」


 私はぼやける目をこする。いつの間にか眠ってしまったというか、気を失ったというか。なんにせよ、意識が戻ったころには時計は午前7時をさしていた。


 通話も、知らない間に切れていた。たぶん、私よりも早く起きたモモちゃんが切ったんだろう。真っ暗になってるスマホの画面を見たら、昨晩のことは夢だったんじゃないか、なんて思えてきて、ちょっとだけさみしい。


 モモちゃんは今ごろ、次のライブ地に移動してるのかもしれない。

 やっぱり、自分が先に寝ちゃったって思ってるのかな。それとも私が先に寝落ちしたって思ってるんだろうか。どちらにしても、私が考えて答えが出るものじゃない。


 ……バイト、行かなきゃ。


 研究室(ラボ)に行くにはまだ早い時間。だけど、今日は朝番の人に交代を頼まれている。私は適当に準備を済ませて、部屋を出る。


 ん……?


 眠気と闘いながら、マンションのエントランスを出ようとしたところで、郵便受けが目に留まる。隙間から紙がはみ出てぱんぱんになった郵便受けが。そういえば、最近ぜんぜん中を見ていなかった。


「うわ」


 ばさばさばさ。ダイヤル式のフタを開けた途端、チラシや封筒があふれ出て辺りに散らばった。


 あーもー……。


 一気に床の色がカラフルになる。ピザのチラシに、よくわからない資産運用の案内。果てはキャバクラのクーポンまであった。私は女だっつーの。


 とりあえず、全部ゴミ箱行きかな。

 そう思って、散らばったものを集めようとする。


 と。


「……え?」


 私は1通の封筒を見つける。まるで、目が合ったかのように。それだけが光を放っているみたいに。

 ほかの封筒には目もくれず、私はそれを拾い上げる。


「これ……!」


 瞬間、眠気が一気に吹き飛んだ。まるで全身から水を浴びたような衝撃。雷にうたれたみたいに、身体中に電流が走る。


 そこには、こう印字されていた。


『佐倉桃華 Super Liveツアー チケット在中』

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