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目の前に広がる光景


○○○○○○○○○○○○○○○○


「ふぁぁぁ、やっべぇ。がっつり寝てしまった。そろそろ起きないと日が暮れちまうn,ってなんかすげぇふかふかする。まるでベッドの上にいるような感覚・・・・ってここどこだ?」


眠りから覚めた俺の前に広がっていたのはさっきまでいた洞穴とは全く違う場所だった。

薄暗い、おそらく正方形の部屋だろう。

木材で構成された壁、太陽の光が差し込む窓、少しボロいベッドに、真横に置かれている小道具箱の上にはコップ一杯の水に花瓶のようなピッチャー、バスケットの中には様々な果物があった。


「まさか俺、洞穴で寝てる間に誰かに病院に担ぎ込まれたのか? 考えられる可能性はそれしか浮かばない。俺は夢遊病患者でもないし、ましてやこんな西洋的な部屋、一切見覚えがない。とりあえず水でも飲んで一息つくか。」


様々考えを巡らせながら、俺がコップに水を注ごうとピッチャーに触れた時、自分の明らかな身体の変化に気づかされることになった。


「......うわぁぁぁぁぁ、なんだこの手⁈ 腕から掌までびっしり毛に覆われてる!!」


例えるのなら柴犬のように赤茶色の毛が両腕全体を覆っていた。

とさっきの叫び声を聞いたのか部屋の外からドタバタとこちらに向かってくる足音が聞こえた。

それは誰か俺じゃない別の人間の名前を呼んでいた。


「トマちゃん! 良かったわ。ようやく目を覚ましたのね!急に高熱を出して倒れちゃうんだから、お母さん物凄く心配したんだから。大切な一人息子を無くしちゃうんじゃないかと思ったら、もう。でも良かった!!こうしてまた元気な姿を見られて! 」


その母親と名乗る自分に全くの認識は無かったし、まして俺の母親はこんなアニメのような容姿ではなかったはず、いや全く違う。

断じて違う。

金髪の少しカールがかかった長髪に、青い目、シルクのような透き通った柔らかそうな肌、そしてなにより魅力的すぎる象徴的な豊満な胸部。

まだ俺は長い夢を見ているか、はたまた美少女アニメの見過ぎかと自分を疑っていた。

そんなことはつゆ知らず、歓喜に沸く彼女は突然抱きついてきた。


「アレ?どうしたの?トマちゃん。きょとんとした顔をして。」


「.......あのぉ.....失礼なのですが.....ここは一体何処なのでしょうか?......それにどなたかと間違われたりしてませんでしょうか?」


「へっ?.....冗談だよね?私よ、貴女のお母さんのモニカよ。」


「えっ?.....お母さん?.....私の母親は貴女のような綺麗なお方じゃないのですが.....」


「トマちゃんたら、私をからかってるのかしら?それに『綺麗なお方』って//// そういうところは本当にお父さん譲りなんだから////」


「いやいや、本当に何方かと勘違いしてらっしゃいませんか?それに私の名前は一色義明です。貴女が仰る『トマさん』とは完全に別人ですよ。加えて言うならさっきまで私は洞穴の中で横になっていたはず。」


「.......何を言ってるの?トマちゃんは5日間の間ずっーーと酷い高熱でベッドの上で寝ていたのよ。それに『イシキ....ヨシ....アキ?』そんな名前世界中探しても聞いたことがない響きだわ。多分長い間眠っていたせいで記憶が曖昧になってるのよね。.....きっとそうよね。」


俺はこの母親と名乗る女性との問答ではっきりと分かった。

妙に噛み合わない会話。

見知らぬ空間や人物。

そしてなりよりピッチャーを握った際に見えた明らかな身体の異常。


つまり俺は・・・・・・


ーーー異世界へと別の人物に転移したーーー




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