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20 ぬくもりの魔法

 




 ──その後、エリスは『魔導派』のメンバーに"冷気"の『神手魔符(カンピシャシ)』を用いた作戦を伝えた。


 一回戦から四回戦まで異なる戦い方で、それぞれで使うべき『神手魔符(カンピシャシ)』の枚数や種類、配置などを、実戦を交えて説いた。


『絶対に勝てる』。そう豪語するエリスの自信に感化されたのか、男たちの士気も高まっているようだ。

 今夜は近くの集会場に宿泊するらしく、明日も演習のために集まる約束をして、男たちは日暮れと共に去って行った。






「──ふぁーっ、つかれたーっ」



 ばふっと、エリスがベッドへダイブする。

 夕食を終え、ようやく寝室に戻って来たところである。



「本当にお疲れさまでした。昨日から寝不足でしょう? 今日は早めにお休みください」



 枕に顔を埋めるエリスに、クレアが労うように言う。

 しかしエリスは、徐ろに顔を上げ、



「……本当にいいの? 早めに寝ちゃって」



 と、伺うように言うので……

 クレアは、何故かキリッと表情を引き締める。



「それは、もしかしなくても誘っていますか?」

「ちっがうわよ!! 昼間の演習の件で、あたしに聞きたいことがあるんじゃないかって聞いてんの!!」

「なんだ、そういうことですか。残念です」

「あんたねぇ……!」



 睨み付けるエリスの視線を、クレアは笑顔で受け止める。



「ふふ、冗談です。お時間をいただけるなら、ぜひ教えてください。貴女が創った……()()()()神手魔符(カンピシャシ)』について」



 ……そう。

 独立反対派のメンバーには、"冷気"の『神手魔符(カンピシャシ)』の説明しかしなかったが……

 もう一つ。あの氷霧の中で、クレアだけが目の当たりにした札があった。

 エリスの声を発する、不思議な札だ。



「昨日、手紙を出した時、何かに気付いたように声を上げていましたが……あの時に、新種の開発に繋がる発見があったのでしょうか?」



 クレアが尋ねると、エリスはむくりと起き上がり……

 ベッドに腰掛け、彼に向き合い、



「……そうよ。結論から言えば…………ここに、"音の精霊"がいるの」



 苦笑いをしながら、そう言った。

 予想だにしなかったその言葉に、クレアは目を見開く。



「音の精霊……? 『竜殺(りゅうごろし)魔笛(まてき)』から解放した、あの精霊ですか?」

「そう。ディアナの元にいるはずなのに……どういうわけか、あたしたちのところへついてきた個体がいたみたい」



 はぁ、とため息をつくエリス。

 彼女の驚きと困惑を、クレアも理解する。


 "音の精霊"は、現代では存在を()られていない精霊だ。

 扱いの難しさ故か、"王との離別(ミッシング・ロード)"以降、人間に認識されることがなかったため、『竜殺(りゅうごろし)魔笛(まてき)』に封じられていた精霊以外はすでに消滅している。


 だから、ここに"音の精霊"がいるのであれば、それはメディアルナの元にいた個体のはずだった。



「『楽器を媒介して力を発揮したい』って言うから、笛と一緒にディアナに託してきたのに……ほんと、何考えてるんだか。精霊は、精霊同士で意識と記憶を共有しているから、行動理論に個体差はないと思っていたんだけど、"音の精霊"に関しては各々(おのおの)の自立性が高いのかもね」



 エリスは、肩を竦める。

 存在自体も希少だが、性質的に見ても"音の精霊"は稀有な存在と言えるようだった。


 そこまでの話を聞き、クレアの中で様々な疑問が一気に解決する。


 昨日、エリスが驚いたように声を上げていたのは、アクサナの指笛に反応する"音の精霊"に気付いたからだろう。

 そして、"音の精霊"を利用して生み出したのが、昼間の実戦演習で見せた"声を発する『神手魔符(カンピシャシ)』"……

 しかし、"音の精霊"の存在を広く識られるわけにはいかないため、エリスは氷霧を生み出し、クレア以外には見えないように使ったのだ。



「こんなところまでついて来たことにはびっくりしたけど……"音の精霊"が手を貸してくれたお陰で、『神手魔符(カンピシャシ)』の開発が一気に進んだから助かったわ。昨日からずっと、"冷気"の札を創るのに頭を悩ませていたからね」

「それって……"音の精霊"が、新種の『神手魔符(カンピシャシ)』の開発を手伝ってくれたということですか?」

「うん」

「……どうやって?」

「この笛を使ったのよ」



 エリスはベッドから立ち上がると、机の上に置かれた小さな笛を手に取り、クレアに見せる。



「この部屋の戸棚にあったの。たぶん、鷹を調教する時に使う笛だと思う。アクサナのお父さんが遺したものかもね」



 そのまま、エリスは机から古い織物──オゼルトン特有の模様が刺繍された布を取り、広げる。



「アクサナに『神手魔符(カンピシャシ)』の説明を聞いてからずっと、"冷気の精霊"の札を創りたいって考えていたの。既存の『神手魔符(カンピシャシ)』の紋様が、オゼルトンに古くから伝わる刺繍のデザインに似ていることに気付いたから、これを参考に新たな札を創ろうと思ったんだけど……当然ながら、"冷気の精霊"がどんな紋様を気に入るか、まったくわからなくて」



 それはそうだろうと、クレアは思う。

神手魔符(カンピシャシ)』が創り出されたのは、人と精霊が意思疎通できていた時代のことだ。精霊を目視することすらできない現代において、目印となる紋様を精霊と話し合うことなど不可能である。



「そこで、"音の精霊"に、"冷気の精霊"との仲介役を頼めないか聞いてみたの。刺繍の紋様を一つずつ指さして、"冷気の精霊"が気に入るものがあったらこの笛を鳴らしてって、お願いしてみた。ダメで元々だったけど……この紋様を指さした時に、笛を鳴らしてくれたのよ」



 そう言ってエリスが指さすのは、確かに"冷気"の『神手魔符(カンピシャシ)』に描かれていた紋様だった。



「紋様が決まったあとは、発動させる魔法の規模や形を指示する呪文を余白に書いた。この辺りは、"冷気(キューレ)"の魔法陣を創った時の経験が役に立ったわね。そうして、"冷気"の『神手魔符(カンピシャシ)』が完成した、ってわけ」



 軽い口調でエリスが締め括るが……一から十まで現実離れした話だった。

 "冷気の精霊"に好きな紋様を決めてもらうのに、"音の精霊"の協力を仰ぐだなんて……子どもが語るおとぎ話のようだ。精霊を認識できるエリスでなければ成し得なかった偉業と言えるだろう。



「それで、その経緯を応用し、あの"声を発する『神手魔符(カンピシャシ)』"も創ったのですか?」



 クレアが、最後にして最大の疑問を投げかける。

 エリスは頷き、例の"声を発する札"を取り出して見せる。



「そういうこと。せっかくだから、"音の精霊"の札も創ろうと思ってね」

「これには本当に驚かされました。一体どのような仕組みで、貴女の声を発していたのですか?」

「ふふん、気になる? それじゃあ、見せてあげる」



 得意げに言うと、エリスは手にした『神手魔符(カンピシャシ)』を目の前に掲げる。



「まず、札に描いた紋様を活性化させる。招詞(シンケ)音御霊(ピューイ)



 瞬間、エリスの手の中の『神手魔符(カンピシャシ)』が、淡い光を放つ。



「……その、『ピューイ』というのは?」

「あぁ、あたしが付けた"音の精霊"の呼び名よ。よく考えたら、名前付けていなかったでしょ?」



 さしずめ、指笛や笛の音の擬音語としてそのまま『ピューイ』なのだろうとクレアは推測するが……その命名の安直さについては、ひとまず指摘しないことにした。


 やがて、"音"の『神手魔符(カンピシャシ)』から光が消えた。

 エリスはその札を部屋の壁に貼り付けると、「ピュウッ」と小さく指笛を吹いた。すると……



『……その、「ピューイ」というのは?』

『あぁ、あたしが付けた"音の精霊"の呼び名よ。よく考えたら、名前付けていなかったでしょ?』



 札が再び光ったかと思うと、そんな声が発せられた。

 これは……今しがた、二人が交わした会話。

 それが、そっくりそのまま札から聞こえているのだ。



「記憶した音を、指笛や口笛で合図することでそのまま発する。これが、"音"の『神手魔符(カンピシャシ)』の能力よ。すごいでしょ?」



 えっへん、と言わんばかりに胸を反らすエリス。

 口で言うのは簡単だが、音を記憶させることも、それを放つことも、前代未聞すぎる技術だ。常人には発想すら浮かばないだろう。

 だからクレアは、暫しぽかんと放心した後……心底感心したように、こう答えた。



「本当に……超がいくつあっても足りないくらいに、天才ですね」

「ふふーん、でしょ?」

「ということは、昼間の演習の時も、あらかじめ声を記憶させていた札を使ったのですね?」

「その通り。『視界が悪い時は居場所を知らせるような声を出すべきじゃない』っていうあんたのアドバイスを逆手に取ったのよ」

「なるほど……実に見事な作戦でした。感動しすぎて、適切な言葉が見つかりません。あえて要約するなら……惚れ直しました」

「えへへー。そうでしょそうでしょ?」

「本当に、どこまで惚れさせれば気が済むのかと怖くなるくらいに好きです」

「う、うん……そう?」

「はい、大好きです」

「う……あ、ありがと」

「大大大好きです」

「わかった。わかったから、もう……」

「心の底から、愛していま」

「あぁぁもう、わかったって! 一回言えばじゅうぶんだから!!」



 真顔で繰り返すクレアを、エリスは顔を真っ赤にして止める。

 しかしクレアは引き下がるどころか、エリスに近付き、



「いいえ、まだまだ伝え足りないです。貴女は、"武闘神判(シドレンテ)"で勝利するための切り札だけでなく、オゼルトンの信仰と財政を守るための秘策まで生み出してくれました。私がどれだけ感謝と尊敬の念を抱いているか……まさに『女神』と呼ばれるに相応しい偉業です」

「や、やめてよ、あんたまで……あたしは何も、称賛されたくて研究していたわけじゃないんだから」

「えぇ、わかっています。貴女が何故、ここまで頑張っていたのか…………私を、食べるためですよね?」

「ふぇっ!?」



 言われた途端、エリスは湯気を噴き出さんばかりに顔を紅潮させる。



「あ、あああれは、お腹がめちゃくちゃ空いてたからであって、あんたを食べるつもりで頑張っていたわけでは……ほ、ほんとにごめん!!」

「あはは。すみません、冗談です。ああいう状態になった時のエリスも素敵ですよ? こう、剥き出しの欲望をぶつけられている感じがして」

「うぅ……恥ずかしいからやめて」

「私も興奮のあまり、このまま食べられても良いと本気で思ってしまいました」

「えっ……だ、だめだめ! もうあんな風にならないよう気をつけるから!!」



 慌てて手を振るエリスに、クレアはにこりと微笑み返す。



「……あんな風に、理性を失うまで頑張ってくれた理由を、私は知っています。だからこそ……貴女になら、食べられても良いと思ったのです」



 そして、クレアは、エリスの両肩にそっと手を置き、




「……本当に、ありがとうございます。貴女以上に頼れる相棒(パートナー)は、世界中の何処を探しても見つかりません。貴女が隣にいてくださることを、誇りに思います」




 彼女の瞳を見つめ、真っ直ぐに伝えた。

 エリスは、瞳を震わせると……きゅっと、下唇を噛み締めた。



『あんたの相棒(パートナー)として、ちゃんと隣にいられるように……あんたを倒せるくらいに、強くなるから』



 昨日聞かされた、エリスの言葉。


 恋人としてだけではない。

 任務を共にする戦力としても、背中を預けられるような存在になりたい。


 彼女のその気持ちを、クレアは痛い程に理解していた。

 だからこそ……同時に、強い罪悪感も抱いていた。



「それから……貴女に不要なプレッシャーを与えてしまったこと、深く反省しています。貴女は初めから、誰よりも強く聡明だったのに……貴女を大切に思うあまり、危険な目には遭わせたくないからと、実力を測るような真似をしてしまいました。本当に申し訳ありません」

「い、いいのよ。実際、あたしが頼りないのがいけなかったんだもん。あたしがあんたの立場でも、同じことをしていたと思う」

「ですが……」

「いいってば。謝らせたくてあんたを負かしたんじゃないわ」



 エリスはそう言うが、それでもクレアは申し訳なさが拭えず……

 エリスの顔をじっと見つめると、彼女は「はぁ」と息を吐き、



「……わかった。そんなに申し訳ないと思うなら…………あんたが昨日、暗い表情(かお)をしていた理由を教えて?」

「……え?」



 驚くクレアを、エリスは見つめ返し、言う。



「頼れる相棒だって、認めてくれたんでしょ? だったら、過去の辛いことも、現在(いま)の心配ごとも、未来への不安も、全部話してよ。あんたの最強の相棒が……全部、受け止めてあげるから」



 少しの照れと、緊張を映す瞳。

 それに見つめられ、クレアは……胸が締め付けられるような嬉しさと、後悔を覚える。


 きっと、もっと話すべきだったのだ。

 過去の自分が、どんな経験をしてきたのか。

 現在(いま)の自分が、どんなことを思い生きているのか。

 彼女に出会うまで、『自分の意志』というものがなかったから、今でも『自分』の感情の変化には戸惑うことも多いが……

 その戸惑いも引っくるめて、彼女にもっと話すべきだった。

 信頼の証として……彼女を、不安にさせないために。



「……私、そんなに難しい顔をしていましたか?」



 クレアは、昨日と同じように問いかける。

 それに、エリスは肩を竦める。



「そーよ。まるで、雪山で迷子になった子どもみたいな顔してた。だから、あたしがしっかりしなきゃって思ったんじゃない」

「そうですか……では、聞いていただけますか? 雪山で、迷子になった時の話」



 クレアは、エリスと並ぶようにベッドへ腰掛けると──

 十年前のオゼルトンでの任務の記憶を、語り始めた。



 何もない雪山で、何日間も標的を待ち伏せしたこと。

 結果的に見れば、孤児院の大人たちを見殺しにしてしまったこと。

 現れた犯罪組織の人間を五人、殺したこと。

 救い出した子どもに、『化け物』と呼ばれたこと。



 それを語る自分がどんな表情(かお)をしているのかは、わからなかった。

 しかし、隣で聞き終えたエリスが、切なそうな顔で自分を見つめてくるので、やはり難しい表情(かお)をしていたのだろうと、クレアは思う。



「……すみません、こんなつまらない話。ただ、当時は何も感じなかったのに、今振り返ると少し寒さのような……寂しさのようなものを感じて。その変化を、不思議に思っていたのです」



 心配させないようにと、笑ったつもりだった。

 だが、なおもエリスは、切なげに眉を顰める。

 そして、



「…………ん」



 彼女は、ベッドに仰向けに寝転ぶと……

 そのまま、両手を大きく広げた。

 いきなりのことに、クレアが「え?」と返すと、



「え? じゃないわよ。いつもなら飛び付いてくるクセに」



 そう、恥ずかしそうに言う。

 どうやら『抱き付いてこい』と言っているらしい。

 つまりは、慰めようとしているのだろう。


 その気持ちが堪らなく嬉しくなり、クレアはゆっくり彼女に近付くと……

 優しく、壊れ物を扱うように、彼女を抱き締めた。


 そのまま、エリスは横向きになって、クレアの頭を胸に抱く。

 そして、彼の髪をそっと撫でながら、




「……寒かったでしょ」




 ひどく優しい声で、囁く。




「……安心して。もう、そんな寒いところへ、あんたを独りで置いたりしないから」




 現在(いま)と、十年前の自分、どちらにも語りかけるような、エリスの言葉。

 それが、クレアの鼓膜を、心を震わせる。




「こんなにあったかくて、優しい匂いがするんだもん……あんたは"化け物"なんかじゃない。正真正銘、血の通った"人間"よ。このあたしが言うんだから、間違いないわ」




 髪を撫でる指先。

 包み込むような甘い匂いと、柔らかな体温。

 彼女の言葉と抱擁に、全ての緊張と警戒を溶かされ、全身の力がふわりと抜けていく。


 こんなこと、許されなかった。

 誰かの腕の中で甘え、無防備に脱力することなど。

 でも、本当は…………ずっと望んでいたことなのかもしれない。




「あたしがいるから、もう大丈夫。今度は、二人でオゼルトンを救うんだもん。怖くも寒くもないでしょう?」




 その魔法のような愛情に、クレアは胸がいっぱいになって。

 凍っていた感情が、温かいものに解かされるようで。




「……はい。貴女がいれば、もう…………寒くはありません」




 その温もりに縋るように。

 彼女の背中に、ぎゅっと手を回した。







 やがて、エリスは髪を撫でる手を止めた。

 そしてクレアを胸に抱いたまま、何も言わずにじっとしているので……クレアは、少し戸惑う。


 鼻腔に広がる、甘い匂い。

 顔面に押し当てられた、柔らかな胸の感触。

 ベッドに沈む、二人の身体。


 こんな体勢で密着し続けていると……どうしても、触れたくなってしまう。



(……もしかして、エリスもそれを待っている……? いや、まさかな)



 とりあえず、エリスがどんな顔をしているか見てみようと、彼女の胸元から頭を上げ、そうっと覗いてみると……



「……………………」



 エリスは、静かに瞼を閉じていた。

 呼吸が、規則正しく、穏やかに繰り返されている。

 ……つまりは、



(………………寝てる……)



 そのことに気付いた途端、クレアの身体から再び力が抜けた。



「…………」



 あどけない子どものような、エリスの寝顔。

 その愛おしさに、クレアの胸がまた、じわりと温かくなる。

 よほど疲れていたのだろう、ベッドに横になった途端に眠気を催したらしい。

 あるいは、クレアの話を聞くことができて、安心したのだろうか。


 自分の過去なんて、語ったところで意味はないと、そう思っていたが……存外、話してみると心が軽くなった。

 それに、エリスがこんな風に安心してくれるなら、時々は話してみようと思えた。



 もしもまた、過去の寒さや痛みが、思い出したように押し寄せることがあれば……その時は、この胸に甘えさせてもらうことにしよう。

 そして、彼女が寒さに震えることがあれば、ありったけの温かさを持ち寄って抱き締めよう。


 きっとそれが……"共に生きる"ということだから。




 クレアはベッドから離れ、部屋の灯りを消す。

 そして再び、寝息を立てるエリスの横に寝そべると、



「…………おやすみなさい、エリス」



 体温を重ねるように、そっと、胸の中へ抱き寄せた。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 好きな人に抱かれながら寝るのは凄くいいことを私は知っていました
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