4時間目
「はい、今日は足場の組み立ての実習をやります。まず学年委員の人の指示を聞いてください。先生は横で学年委員の二人にアドバイスしていきます。ま副艦長みたいなあれね。それでは、スタート。」
作業開始だ。足場というのは建設現場の工事などで見かける建築物をかっこている鉄のジァングルジムのようもの。鉄パイプをくみ上げ、職人さんが2階3階と高所作業しやすいように作られるものだ。クラるンプとよばれる固定金具とパイプ足場の板を一つ一つ持ってきてはくみ上げる。この繰り返し。
「はいまずそれとそれ。次にそれとそれね。そうそう。ちょっとー学年委員どこ行ったの」
おい呼ばれてるぞ。しっかりしろよ。ホントに。もっと積極性をみせろ。
「これどうするんすか。えっとあっち?いやその、どこですかそこ。知らねーよ」
お前はヤンキーか。越前さんかよ。
「こっここここここkkkkれおどこですかー、これは使わない?戻して来いって言われちゃった~。」
なでこちゃんキタ――(゜∀゜)――!!落ち着け。
まじかよ。人に指示出すどころか自分が間違えるレベル。ドジキャラの方がまだ愛嬌あってかわいいぞ。
「もう、先生がやります。二人はみんなの支援にまわって」
「「はっはい」」
「はい、じゃあまずぞてとそれを。次にこれね。あーそれはこっち。そうそう。よし、じぁあ二人一組になって枠組みをもってきて。はい、スタート」すげえ。晴れ風並みの艦長レベルで有能。どんどん組みあがっていく。あれだ。先生が指揮官になっちゃってる。もう艦長いらないじゃん。ジョンソンいらない。
「はい、授業終了。残りはまた来週。そうだ、委員長の丑島さんは残ったパイプを片しておくこと。福委員長あなたはてつだってもいいしどちらでもいいわ。よろしく頼んだわよ」
容赦ないな工業科。先生ってもっと愛がある生き物だと思ってた!
「疲れたー教室もどるか。あと頼んだわ、丑島よろしくー」
そう言い残すとクラスのもう一人の女子と教室へと帰っていく。ちなみにうちのクラスの女子は3人。おい三和音とは真逆だな。しかし、建築とあってやはり男子、否獣率が高い。休み時間の建築科イコール動物園の様子が伺える。もう少し静かだったら…。
「はー。私これ一人でやるのかー」
女子の声がぼくの鼓膜を潤す。まるで小鳥が囀るソロシンガー。すまない話を戻す。クラス奴はそそくさと行ってしまった。ぽつんと委員長と否、ぽぽつつんんと委員長と僕だけになっていた。さすがに委員の奴がかわいそうに思えたので慰めにはいる。女子と話すのは緊張するが、なんか話しかけたい気分だった。だってかわいそうじゃん。
「大丈夫か。丑島さん」
「えっーと、誰?」
「…。」
ですよねー。ぼくの心配してあげた気持とその行動に使ったエネルギーをかえしてくれ。
「戌飼だよ。だいじょうぶ?僕も一緒にそれ運ぶから」
「あっありがとう。」
畜生、素直でかわいいなおい。
「これはこっちでー、これはこっち⁉」
「そうそう。」
何年ぶりだろうか。せっかくの女子との二人きりタイムだというのに5分間で終わった。
「手伝ってくれてありがとう。」
うんいいよ、うん。
「いや別に、これくらいれからもそのよろしくね、丑島さん」
ほんとこれくらいしか僕にもできないし、まずもう女子と話すきっかけは無いだろうな。
「そっその、あの」
「どうした」
なんだよ、もじもじして。もしかして、くるのか、この僕に、ぼくにぼくにぼくにぼくに……
「ライン交換してくだひゃい!」
神が降臨した瞬間であった。




