第6話 日常→対応
第6話目です。
徐々に物語が進みそうです。
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街道のような土が剥き出しの道を歩いて数分、目的地であった街へ到着した。
シャルの話だと街の名前は『キジカ』といって『フィスタリア国』の一部だという。
人口はこの世界ではそこそこらしく、活気もあり賑わいをみせる良い街とまで説明をしてもらえた。
もう少し移動するとフィスタリア城があり、そこには王族や王侯貴族、富裕層が住んでいるという。
城下町もあり、たまに催し事もあるとの事。
遥は異世界から来たことを隠すために、魔法はあるもののそれ以外の情報は知らないという事で話を続けた結果、様々な事を聞くことができた。
例えば、冒険者向けのギルドがある事。
例えば、貴族や平民以外にも奴隷という身分がある事。
例えば、王族との謁見はまず出来ないとの事。
そう言った事を整理しながら聞いていくうちに、遥はひとつの疑問を持ち始めた。
(なぜ、平凡な俺が異世界に?)
この世界には貴族を除き大きく分けて三つの職がある。
冒険者、商人、農民。
これら全てのことに関して、遥は何一つ得意としていない。
冒険者なんてもってのほか、商人や農民のような事なんて少しも触れたことがないのだ。
となると、ファンタジーで考えるならば自分になにか特殊な力があるのかと思いきや、特にそんなことはなさそうな予感しかしない。
情報も少ない中、早々に結論づけるのは悪手と考えつつも、どうしても答えがみえてしまってるような気がしてならない。
そう、街の門の近くまできて考えていた。
「ハルカ?大丈夫?」
中に入るための検問所で待つシャルが不安そうに遥の顔を眺める。
遥はシャルに対し、普段の笑顔で返す。
「あぁ、問題ないよ。それで、この街の通貨とかはどんなの?俺はこっちの方のお金は持ってないからさ」
「お金はねー、これ!」
そう言ってシャルは腰袋の中に入ってた銀貨を1枚取り出して見せた。
「これはね、銅貨100枚の価値があるんだよ!」
ふふーん、と鼻を鳴らすシャルに対し、遥はその言葉からそれは100円位なのかと安易な考えをしてしまったのは言うまでもない。
「となると、銅貨の下はない感じなのか?」
「そうだよ!それと、銀貨100枚で金貨1枚になるんだよ」
「金貨100枚だと?」
「……そんなに持って歩けないよ……重いもん」
遥はツッコミどころはそこじゃないと考えながらも、金貨は日本円で一万円と同じ価値がある、と自分の常識をベースに覚えていった。
そんな常識的な内容の考え事をしている遥に対し、シャルは別の事を考えていた。
(ハルカって、本当に何も知らないんだ……)
シャルは考えていた。
遥の存在について。
果たして、本当に遠い所から来たということだけで済まして良いのだろうか。
検問を通過するためには少なくとも遥は理由もなしに通れる訳が無い。
となると、遥は何者なのかという事が一番問題になってくる。
まず見た目が普通の人のそれとはまるで違う、貴族やそう言った裕福な人達の着るような材質の服。
遥は『どこもこんな感じだよ』とは言うものの、この世界でそれだけの材質の服を着ていられる国なんて聞いたこともない。
シャル自身、皮を鞣した防具に淡い色の鎧下を着ている。
しかし遥はそもそも防具すら身に着けていない。
(絶対に……止められる……ううん、わたしがちゃんと説明しなきゃ……)
そんな様子のシャルを見て、遥は一つの提案をしてみようと考えた。
「シャル、ひとつだけ、頼んでいい?」
「え、なになに?」
「フィスタリア城の場所ってわかる?」
「検問所を超えてまっすぐ歩けば一日くらいだけど……それがどうしたの?」
不思議そうな顔をしてシャルは遥に問い掛けた。
それもそのはず、何も知らない人が突然城の場所を訊いてきたのだ。
その意図がわかるわけが無い。
「……歩いて、か」
その時、遥は周りを見渡した。
目の前には検問所の小さな門。
検問を通るための数人の列。
左右を見て一目でわかる大きな塀。
中に入るにはここか、もしくは別の検問所。
「それなら……」
いかがでしたでしょうか?
遥さん、なにか悪巧みしてるようにしか見えないですな…
またよろしければ見てください。