第4話 日常→異常
さて、第4話です。
今回は遥視点です。
見づらいところはご了承ください。
世界が、揺らいでいるのが分かる。
意識と無意識の狭間で漂っている自分。
自分に関しては理解している。
でも、いま何が起きているかは理解が追いつかない。
記憶にあるのは足元からの不思議な光と、足元から消えてゆく感覚。
不思議と、恐怖は無かった。
目の前にいた少女……茜を巻き込まずにすんだから。
これは、すくなくとも自分におきた不思議な現象。
巻き込むわけにはいかない。
唯一気がかりなのは、いま何が起きているのか分からないところ。
多分、ゲームや小説などで見たことがあるような事象が起きているのだろう……とまでは推測は出来る、が。
(……なぜ、自分に?)
そこだ。
そもそも、自分が生きてきていた世界では魔法や魔術などそういった類の非科学的なものは存在していない。
それなのに、なぜこのようなことが起きているのだろうか。
……理解が、追いつかない。
といいつつも冷静に判断できている自分に笑ってしまう。
時間にして30秒、短い時間だが考えるには十分すぎた時間。
同時に、何か起きてもおかしくない時間でもある。
「ちょっ……な、痛っ!!」
身体がばらばらになりそうな痛みが全身を襲う。
いや、正確には痛みが襲っているがそれ以外何も起きてはいない。
「ぐっ……なっ、いっ……あぁ!!」
直後、まず自分の手に変化が訪れた。
左手が黒く染まり始め、右手が白く光り始めた。
相反する正反対の現象。
同時に心臓を中心に身体全体に広がる焼きつくような痛み。
冷静な思考は痛みによって遮られ、左右の手の変化でパニックになる。
そして極め付けにその両手は逆方向へ引っ張られ始めた。
無理やり引っ張られ始め、痛みで表情がゆがむ。
「ああぁぁあぁああああぁああぁぁ!!!!!」
容赦なく引っ張ってくる謎の力に対し、頭の中で何かがきれた。
「痛いんだよちくしょう!!なんだか知らんがやめろっ!!」
怒鳴った。
普段こんなことは怒ってもしないのだが、今回は別。
何か分からない謎の力に通用するかは分からないが、思い切り声を荒げる。
すると、謎の力は消え、そのまま左右の手は元に戻った。
「な……なんなんだったんだ……?いまのは……」
そのままなぜか急に睡魔が身体を襲ってきた。
(先日はちゃんと睡眠をとっていたはずなのに……なんで……)
思考が止まる。
何も考えられない。
先ほどまでの痛みは消え、意識も同時に薄れていく。
(……なにが……なんなんだ……もう……無理)
そのまま、意識を手放す。
薄れ行く意識の中で、ひとつだけ願った。
「できたら……生きて……」
そこで
遥の意識は
途切れた
…………
………
……
…
いかがでしたでしょうか?
次は、ついに異世界編へ突入です。
よろしくお願いします。