友──2
「──でね、あそこの服は可愛くてね、また今度、一緒に行かない?」
「はい、今ちょっと下着類とか足りなくて困っていたんです。あのお店は下着類も……?」
「あぁ、可愛いやつ置いてあるよ。じゃあ今度、一緒に行こう!」
「はい」
「でさぁ、あっちのお店は──」
食事を終えたルラは、ニイナたちと共にギルドへ向かっていた。行き先が一緒だったため、ニイナたちがルラが食事を終えるのを、待っていてくれたのだ。
「──ギーダーの串焼きが美味しいの!」
「ギーダー……ですか?」
「あれ、知らない? 鮮やかなスカイブルーの羽の鳥なんだけど、……あぁ、ここらの特産物だったか。その肉がね──」
歩きながら、ニイナがこの街のことを色々と教えてくれる。彼女はこの街に何度も来たことがあるらしく、今回の滞在期間は今日を入れて二週間らしい。彼女曰く、「この街はおしゃれの街だよ!!」らしい。
服やブレスレットやピアスといった装飾品の類を扱う店が他の街に比べて遥かに多いそうだ。ルラが今歩いている辺りには、ギルドが近いからか武器屋や宿屋が多いのだが、街の西の方は服や装飾具の店が密集しているらしい。
商人の出入りが多いのも、服や装飾品に加工するための布や宝石を運んでくるためであるようだ。
ニイナと二人で──ヘインとロゼは会話に参加できず、黙ってついてきていた──話していると、あっという間にギルドへ到着し、ニイナはカードを受け取ろうと、依頼の掲示板に向かう二人とわかれる。
「おはようございます。カードの受け取りですね?」
昨日の美人さんの列が空いていたためにそちらに並ぶとすぐに順番が回ってきた。依頼書を手にしていないルラを見た受付嬢はすぐにルラが来た理由に気がついて、カードをルラに差し出す。
「内容があっているかどうか、確認してください」
──名前:ルラ、属性:風、水……
全てに目を通し、間違いがないことを確認する。
「はい、大丈夫です」
「カードの左上に書かれているのが今のルラさんのランクです。Gになっていますね?」
カードの左上に目を向けると、たしかにこちらの言語でG──英語のアルファベット順や日本語のあいうえお順のように、この国の文字を並べて七つ目──にあたる文字が、独特なフォントで書かれていた。……脳内和訳機能って素晴らしい。
しかし、なぜ日本語のあいうえお順の七つ目の文字──つまりは『き』と訳されないのだろうか。何か法則でもあるのだろうか。だが、ランクが『き』などと表されていたら、なんとも間抜けである。それ故になのかもしれない。
「はい、Gです」
「依頼を受けていってランクが上がりますと、この文字が変化をします。次のランクはFです。頑張って下さい」
「はい」
元気よく返事をして、その場を離れた。あまりのんびりしていると、ルラの後ろで待っている人に迷惑ががかかる。
Gランクの掲示板に向かい、自分の目線より大半が高い位置に貼られているそれを眺めた。
(さて今日は……)
買い物の荷物持ちの依頼は第五の月に入ってからでなければ受けられない──ニイナに聞いたところ、本日は第四の月二十七日であるそうで、昨日のルラの予想は当たっていた──ため、新たな依頼を探す必要があるのだ。
(しばらくは薬草採取かなぁ……)
草原での依頼でも受ければ、魔法の練習が可能だろう。宿では壁や床破壊しそうでできなかった魔法も使える。
ルラは報酬のよい、しかしその分目的物を見つけるのが困難そうな依頼を二つはがし、受付の列に並んだ。
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