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SS 「間章のティータイム」
午後の光が窓から差し込む。
広場の評議もなく、戦もなく、今日はただの休日。
アレンが湯を注ぎながら言った。
「殿下。“間章”って制度になったじゃないですか」
「うん」
「評議のときだけじゃなくて……生活にも取り入れていいと思うんです」
「生活に?」
彼は真剣にうなずく。
「ご飯の前に一拍の“間章”。――味わう余白」
「なるほど」
「寝る前に一拍の“間章”。――今日を振り返る余白」
「……それ、すごくいいな」
私はカップを置き、少し考える。
「じゃあ、いまは?」
「もちろん“ティータイムの間章”です」
「それって、ただの休憩じゃ……」
「そうです。――隣で一緒にいる休憩です」
彼は穏やかに笑い、カップを傾けた。
“最終章”なんて札がなくても、この一拍があれば十分。
声は重なり、余白に日常が染みこんでいく。
――物語はまだ続く。