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第6章 – 嵐の前に

カエリラとアシナは立ち上がった。

空気に張り詰めた緊張感が満ちていた。

洞窟の入り口からは雨粒が流れ落ち、まるで空の涙のようだった。


しかし突然、カイルの青い瞳が氷のように冷たく輝いた。


カイル:

「待て、アシナ。」


アシナは即座に立ち止まった。

彼女の鋭い視線がカイルを射抜く。


アシナ:

「何だ、パートナー?言いなさい。」


カイルは深く息を吸った。

外見は冷静だったが、カエリラはその瞬間の重みを感じ取った。


カイル:

「まずは俺たち二人で戦おう。

娘に見せたいんだ…

彼女の母親が誰なのか。

そして、本物のアルファに立ち向かうとはどういうことかを理解させたい。」


カエリラはほっと息をついた。

胸のつかえがようやく解けた。

父はまだ声を持っていた。

まだ彼女を守りたいと思っていた — たとえそれが、母との恐怖の戦いを意味しても。


アシナは牙を見せて微笑んだ。


アシナ:

「ならば行きましょう、カイル。

私のパートナー…私の宝物。

戦うことをとても望んでいるわ。」


カイルは立ち上がった。

立ち去る前に娘に目を向け、右目を細めて小さく笑った。


カエリラは微笑み返した。

母を恐れながらも、父が自分の気持ちを理解していることが嬉しかった。


三人は洞窟を出た。

雨は激しく降り注ぎ、彼らの身体を輝く、ほとんど神聖な層で覆った。


彼らは岩場を歩き、部族の門へと向かった。


アシナは低く唸った。


それは鳥やさまよう霊すら遠ざけることができる、古代からの獰猛な唸り声だった。

その音は森に響き渡り、まるで古の者たちの宣告のようだった。


部族の番犬の狼たちが素早く門を開けた。

アシナが待つことを嫌うのを知っていた。

そして彼女が怒るとき…誰も無傷では済まなかった。


こうして三人は門をくぐった。

びしょ濡れのカエリラは胸が高鳴り、その瞬間が永遠に魂に刻まれることを感じていた。


戦いは…まさに始まろうとしていた。



---


続く…

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