第4章 – 噛まれた記憶
カエリラは昼食に集中し、獣のような食欲で鹿をむさぼっていた。カイルはアシナの横を通り過ぎてテーブルに近づいた。アシナはすかさず身をかがめて、遊び半分で彼の首に鼻を近づけて匂いを嗅いだ。
カイルは文句も言わず、離れようともしなかった。ただ諦めたように歩き続けた。
結局のところ……アシナはアルファだったのだ。
そして今日彼もアルファであっても……まだ彼女のオメガだった。
カイルは石のテーブルの左側、娘の隣に座った。アシナは右側を占め、その威厳ある存在感でカエリラにぴったりと寄り添った。三人は沈黙のまま食事を始めた――少なくともアシナが口を開くまでは。
アシナ:
「ああ…私のパートナー、すべてが始まった時のこと覚えてる?
遠くからあなたの匂いを感じて…ずっと追いかけていたのよね!
あなたはいつも逃げようとしてた、覚えてる?」
パキッ。
アシナは枝を折るように骨を口で砕いた。乾いた音がカエリラに軽い戦慄を与え……カイルの内側に震えが走った。
カイル(喉を鳴らしながら):
「そ、そうだね……覚えてるよ……」
アシナは獲物のような笑みを浮かべながら、肉を噛みしめ、血が唇の端からしたたり落ちていた。
アシナ:
「素晴らしかったわ。あなたは十五人のアルファの群れから長い間逃げ切ったものね…
でもその後、あなたと私はあの邪悪な存在と一緒に戦ったわよね?
力を合わせて…信じられなかった!
もちろん最後にヒロインだったのは私だけど。」
カイル:
「うん、わかってるよ…」
ゆっくりと食べるカエリラは二人を注意深く見つめ、好奇心の目を輝かせていた。
カイル(小声で):
「でも…俺は必要に迫られてあなたの印を受け入れた。君は…ほとんど無理やりだったけどね…」
アシナは咀嚼をやめた。ゆっくりと顔をカイルに向け、鋭い爪を見せながら、まだ血のついた指を舐めた。
アシナ(悪意ある笑みで):
「噛みつくのは本当に気持ちよかったわ。あなたの首に歯を立てて、私の印をつけるの。
そしてその後…私たちの娘が生まれたのよ。」
カイルは火のように顔を赤らめ、アシナとの激しく、少しトラウマ的な瞬間を思い出した。
カエリラ(無邪気に):
「何の話してるの?」
アシナは楽しそうに微笑んだ。カイルは肉でむせそうになった。
カイル(必死に):
「な、なんでもないよ、娘よ!ただ…昼食に集中してくれ!」
彼は座っていても足が震えていた。
カエリラは食べ続けたが、目が輝いた――あの会話の中に何か不思議な火花が彼女の内に灯ったのだ…
つづく