第39章 – 鋼の影に潜む衝突
地下のハイテク基地の奥深くで、ロボットアームの金属音が冷たい鋼の壁に響いていた。
ヴェクトルはメインパネルに身を乗り出し、回路を調整しながら、メカ・ウェアウルフの動きをテストしていた。
それは工学、金属、そして憎しみが融合した恐るべき怪物だった。
隣ではルイーザが端末に向かって必死にタイピングしており、機体の感知システムを改良していた。
その動体検知能力は限界まで高められ、戦場で逃れるものなど、もう何もない。
ヴェクトル(興奮して):
「すごいな…このメカ、俺は本当に気に入ってる。」
ルイーザは軽く笑ったが、その表情はすぐに曇った。
ルイーザ:
「ふふ…確かに強いわね。私たちで作ったんだから。でも…それでも、アシナやカイルに勝てるかどうか、私はまだ疑ってる。」
ヴェクトルはため息をつきながら、さらにコマンドをパネルに打ち込んだ。
ヴェクトル(ぼそりと):
「疑うのはやめろ、ルイーザ。メカ・ウェアウルフは負けない。操るのは俺たちだ。」
ルイーザは手を止めた。視線がわずかに揺れ、声が震えていた。
ルイーザ:
「…でも、操縦するのは将軍よ。あなたも分かってるでしょ…?」
ヴェクトルは沈黙した。その沈黙は、谷間のように二人の間に広がっていった。
それでも彼はしっかりと答えた。
ヴェクトル:
「分かってる。でもそれがどうした。この機体は俺たちの最高傑作だ。失敗は許されない。」
突然、ルイーザは端末の電源を乱暴に切った。
怒りに満ちた目で彼を睨みつけながら、彼女は言い放った。
ルイーザ(怒鳴って):
「私の家族は、原初の者たちに皆殺しにされたのよ!その意味が分かる!?
それなのに今ここで、“これは私たちの誇りの創造物だ”って…!?私は全部失ったのよ!
家族も、友人も…信じる心すらも!」
彼女は一歩前に出た。両拳を強く握り締めながら。
ルイーザ:
「あなたは…分かってないのよ。いつだってそう。命よりも、歯車や機械ばかりを気にしてる!
まるでそれが、目の前で流された血よりも大切みたいに!」
返事を待たずに、ルイーザはラボを出て行った。
鋼鉄のドアが閉まる音は、ヴェクトルの心を殴るように響いた。
静まり返った部屋に一人残されたヴェクトルは、
巨大なメカ・ウェアウルフの赤い目を見上げていた。
その中に、何かが痛んだ。
ヴェクトル(小声で自分に):
「もしかして…俺は本当に、大切なものを忘れてしまっていたのかもしれない。」
機械は沈黙を保ったままだった。
だが今、その存在は…どこか重く感じられた。
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次回へ続く…




