第31章 – 太陽の残響
黄金の光が古代の洞窟に差し込む中、アシナとカイルは暗闇から現れた。二人の目はまるで灯された熾火のように輝いていた。その真剣な眼差しは、空気に漂う緊張感を物語っていた。
風は木々の梢を切り裂き、まるで運命のささやきのようだった。
アシナは唸り声をあげ、拳を固めた。
「私は奴を倒したのに…どうしてこんなことが?」
カイルは地面から目を離さずに答えた。
「わからない…でも、これは人間たちと関係がある気がする。」
アシナの瞳はさらに強く輝いた。満月の下で流された血のように、深紅に染まっていた。そこには、憎しみではなく、疑念から生まれた古の感情が芽吹いていた。
「意味がわからない…」と彼女は呟いた。
「原初狩りと戦ったとき、人間の都市を破壊した…けど、私は無実の人々を襲うつもりなんてなかった。
私たち獣人は、ずっと離れて平和に暮らしていたのに。
ただ…あいつら…狩人たちは違う。
人間たちは私たちを戦利品としか見ていない。
もしかしたら…生き延びたのかもしれない。
もしかしたら…戻ってきたのかもしれない。」
カイルは空を見上げ、太陽を強く見据えた。
「確かなことは言えない…でも、何かが来ている。そんな気がする。」
アシナは静かに息を吐いた。
その瞬間、彼女の硬い表情には、かすかな脆さが垣間見えた。
彼女はカイルに近づき、かすれた声で囁いた。
「何かあったら…私は――」
その言葉の続きを、風がさらっていった。
カイルはゆっくりと距離を取った。
その瞳には確かな決意が宿っていた。
「わかった。俺は理解した。約束する。」
アシナはわずかに微笑み、そして二人は空を見上げた。
鋭い瞳。
緊張する心。
迫り来る運命に備える魂。
そして、森は再び沈黙に包まれた――
嵐の到来を待ちながら。




