父と娘
昔、父親に言われた言葉の数々が未だに私の胸に残っている。それが、トラウマになって時々頭をかすめるのだ。
その言葉とは、ずばり、お前なんかいらない、だ。
気にしないように、それなりに頑張ってみたところで、もうすぐ辞める会社の上司にも同様のことを言われた。
おいおい。そこまで自分は価値のない人間なのだろうか。少なくとも、父親と勤めていた会社からは、価値のない人間だと判断されていたようである。
ようである、と表現したのは、離婚した母親と連絡を取るために父親は私を連絡役に据えたのだ。父親にしてみれば、妻との唯一の接点。窓口なのだ。私自身にはなんの関心もないのだろう。
会社の総務の人も、君に合う仕事が見つかるといいねと言うが、私を会社から切り捨てた関係者に言われたくないと、心の中で憤慨したものである。合うのを見つけるには、努力と根気と情報収集がいるのだ。簡単に言ってほしくない。
そんなこんなで、会社がくれた猶予の間に職を探すべく転職活動中なわけだが。なかなかうまくいかない。不況であるからだ。
だが、家族は何も言ってこない。なぜなら、母親も妹も就職活動中だからである。つまり、家族全体で就職活動中なのだ。なかなかいないと思う。こんな母子家庭。
捨てる神あれば、拾う神もある。なんと、世の中には「転職支援サービス」を行う会社があるのだ。素晴らしいサービスだと、私は思う。自分で情報収集すると、時間と労力がかかるのだが、担当者が希望に合った求人を探してきてくれるのだ。このサービスを知って、私は思わず転職活動中の友達に広めた。
他にも友達、知人が探すのを手伝うと声をかけてくれたのだ。ありがたい話である。
父親にいらないやつと言い渡された女に対し、
助けようとしてくれる友達がいるのだ。
私もまだまだ捨てたものじゃない。ゆっくりだが、上を向いて、働ける場を探して歩いて行こうと思う。
いつか、君がいてくれてよかったと言われるような職場に落ち着きたい。