表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小短編

父と娘

作者: 瀧音 静香

昔、父親に言われた言葉の数々が未だに私の胸に残っている。それが、トラウマになって時々頭をかすめるのだ。

 その言葉とは、ずばり、お前なんかいらない、だ。

 気にしないように、それなりに頑張ってみたところで、もうすぐ辞める会社の上司にも同様のことを言われた。

 おいおい。そこまで自分は価値のない人間なのだろうか。少なくとも、父親と勤めていた会社からは、価値のない人間だと判断されていたようである。

ようである、と表現したのは、離婚した母親と連絡を取るために父親は私を連絡役に据えたのだ。父親にしてみれば、妻との唯一の接点。窓口なのだ。私自身にはなんの関心もないのだろう。

会社の総務の人も、君に合う仕事が見つかるといいねと言うが、私を会社から切り捨てた関係者に言われたくないと、心の中で憤慨したものである。合うのを見つけるには、努力と根気と情報収集がいるのだ。簡単に言ってほしくない。

 そんなこんなで、会社がくれた猶予の間に職を探すべく転職活動中なわけだが。なかなかうまくいかない。不況であるからだ。

だが、家族は何も言ってこない。なぜなら、母親も妹も就職活動中だからである。つまり、家族全体で就職活動中なのだ。なかなかいないと思う。こんな母子家庭。

 捨てる神あれば、拾う神もある。なんと、世の中には「転職支援サービス」を行う会社があるのだ。素晴らしいサービスだと、私は思う。自分で情報収集すると、時間と労力がかかるのだが、担当者が希望に合った求人を探してきてくれるのだ。このサービスを知って、私は思わず転職活動中の友達に広めた。

 他にも友達、知人が探すのを手伝うと声をかけてくれたのだ。ありがたい話である。

父親にいらないやつと言い渡された女に対し、

助けようとしてくれる友達がいるのだ。

 私もまだまだ捨てたものじゃない。ゆっくりだが、上を向いて、働ける場を探して歩いて行こうと思う。

いつか、君がいてくれてよかったと言われるような職場に落ち着きたい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ