第九話 TOEIC本番
入学式の翌日。
今日は、英語のレベル別クラス分けのための学内TOEIC本番の日だ。
試験会場に入り、指定された席につく。
新入生全員が受験するこの試験には、国際学部以外の学生も多くいる。
(緊張する……)
深呼吸しながら試験官の合図を待つ。
だが、この数ヶ月間、俺は毎日数時間、長いときは一日十時間以上英語に触れてきた。
電車移動中は洋楽や海外ドラマを繰り返し聴き、英語記事も読んだ。
さらに、前回のTOEICでの時間配分の反省を活かし、リーディングを制限時間内に解き終える練習も何度もした。
単語帳はボロボロになるまで繰り返しめくった。
(きっと大丈夫)
そう自分に言い聞かせた瞬間、試験官の声が響く。
「では、試験を開始します」
ついに、TOEICの試験が始まった――。
まずはリスニングセクション。
スピーカーから流れる英語を聞いた瞬間、俺は驚いた。
(前回より……聞き取れる!)
海外ドラマやポッドキャストで耳を鍛えた成果が、確実に出ている。
ナレーターの発音も、以前よりクリアに感じる。
会話問題も、話の流れを予測しながら答えられるようになっていた。
リスニングは終了し、次のセクションに移る。
リーディングセクション開始。
前回は時間が足りなかったリーディング。
だが、今回は違った。
(いける……!)
焦らず、しかしテンポよく解いていく。
パラグラフごとに要点を素早く掴み、選択肢をスムーズに選ぶ。
一つひとつの問題を、落ち着いて確実に解いていく。
そして――
最後の問題を解き終えた。
腕時計を見ると、まだ五分も余っている。
(ついに、時間が余るまでになった……!)
俺は残りの時間で、慎重に見直しをする。
「試験終了です!」
試験官の声が響き、俺はペンを置いた。
(やれることは、やった……!)
確かな手応えを感じながら、俺は席を立った。
後日――。
学生サイトにログインし、TOEICスコアの確認ページを開く。
スコアを確認すると、そこには――
TOEIC 850点。
「おおっ……!」
思わず小さくガッツポーズをした。
(前回の630点から、一気に200点以上アップ……!)
リーディングのスコアも、リスニングのスコアも、目に見えて向上している。
この結果なら――
最上級クラスに入れる可能性が高い。
(でも、まだ満足するわけにはいかない)
目標は、もっと先にある。
(次は、900点台に乗せる……!)
俺は、さらなるレベルアップを誓った。
「英語を武器にするなら、まだまだ上を目指せるはずだ」
次の挑戦に向けて、俺は新たな目標を胸に刻んだ――。