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偏差値45からオックスフォード大学に進学した話  作者: 希羽
第一章 留学準備編

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第五十五話 ライティング

 花蓮が紹介してくれるという先輩には期待するとして、リーディングは一旦、その連絡待ちだ。


 だが、問題はそれだけじゃない。


 もう一つの大きな壁、ライティング6.5からの脱却。こっちは完全に自力でなんとかするしかない。オックスフォードを目指すなら、ライティングだって最低でも7.0、できればそれ以上が必要になる。


 その日の夜、俺は自室の机に向かい、ノートパソコンを開いた。


 まずは敵を知ることからだ。目標とするライティング7.0ってのは、具体的にどんなレベルのエッセイなんだ? そう思い、検索エンジンに英語で「IELTS writing task 2 band 7 sample essay」と打ち込んでみた。


「……やっぱりこういうのは英語で直接調べた方が、いろいろと出てくるな」


 日本語の解説サイトももちろん参考になるけど、本場の採点官が評価したリアルなサンプルや詳しい解説に触れるなら、やっぱり英語で情報を探すのが一番だ。


 検索結果の上位に出てきたページをいくつか適当に開いて、7.0と公式に評価されているエッセイのサンプルを注意深く読んでみる。


 画面に表示されたエッセイを読み進めていくうちに、俺はいくつかの重要なことに気づかされた。


 まず、与えられた議題に対する議論の掘り下げ方が、俺の書くものとは明らかに違う。単に自分の意見を述べるだけじゃなくて、かなり具体的な事例や証拠を挙げながら、主張をしっかりと論理的に展開している。


 環境問題のエッセイなら、特定の国際的な取り組みや具体的な汚染物質の名前に触れていたり、教育に関するトピックなら、特定の教育システムや研究結果にまで言及していたりする。時には、その分野の専門用語と思われるような語彙も、的確に使われていた。


 自分の前回のライティングを思い返してみる。構成や基本的な文法のミスには気をつけていたつもりだが、議論の深さや具体性、説得力という点では、これらのサンプルエッセイに比べて明らかに劣っている。どうしても抽象的な一般論に終始してしまって、説得力に欠けていたのかもしれない。


「なるほど……。IELTSのライティングで出される議題って、社会問題、教育、健康、環境、テクノロジー……みたいに、トピック自体はそこまで奇抜なものばかりじゃない。抽象的に見れば、ある程度の傾向はあるんだよな」


 ということは、これらの頻出トピックについて、普段からもっと意識的に知識をインプットしておく必要があるってことだ。エッセイで使えそうな、ちょっと気の利いた言い回しとか、主張を裏付ける説得力のある具体例とか、そういう「武器」となる引き出しを、もっと増やさないとダメなんだ。


「英語のニュース記事とか、ドキュメンタリーとか、そういうのを積極的に見聞きしながら、使えそうなフレーズとか具体例を意識的にストックしていく……地道だけど、そうするしかない」


 ライティングで7.0以上を取得する。簡単なことじゃないのは百も承知だ。でも、こうして具体的な課題とやるべきことが見えてきたことで、漠然とした不安が少し輪郭を帯びてきた気がする。目標達成までの道筋が、ぼんやりとだが照らされたような感覚だ。


 よし、決めた。地道に、コツコツと。ライティング力を底上げするために、今日からできることを始めよう。俺は改めて、自分にそう強く言い聞かせた。

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