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偏差値45からオックスフォード大学に進学した話  作者: 希羽
第一章 留学準備編

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第四十二話 ロンドンへの道標

 今日は、ロンドン大学への留学に向けた必要書類の提出で大学の国際部にやってきた。受付の窓口には、中年の男性職員が穏やかな笑顔で座っていた。


「ロンドン大学へ交換留学予定の柳駿です。書類の提出をしたいんですけど」

「ああ、柳さんね、はいはい」


 男性は手際よく書類を受け取り、一枚一枚丁寧に確認していく。時折、書類に目を凝らし、何かをチェックしているようだったが、やがて顔を上げ、にこやかに微笑んだ。


「うん。オッケー。書類は全部揃ってるね。柳さんは、帰国子女?」

「あ、いえ、違いますけど」

「違うの? 一年生でしょ?」

「はい、まだ海外に行ったことはなくて……」

「ほんと? すごいね。隼田さんみたいじゃん」

「隼田さん?」

「うちの優秀な卒業生ね。彼もロンドン大学の交換留学に行ったんだけど、うちの大学ではちょっとした有名人だったよ」

「そうなんですか……」


 思いがけない言葉に、少しだけ誇らしい気持ちになった。同時に、隼田さんという先輩への興味が湧いてきた。


「あ、そうだ。去年の秋から英語圏に交換留学へ行っていた先輩たちが、皆就活も終わって時間があるみたいだから、今度座談会をやろうと思うんだけど、参加する?」

「え、ぜひ参加したいです!」

「オッケー。来年の秋からの留学予定者全員に参加してもらうつもりだから、他の留学予定者とも繋がれると良いね」

「はい! ありがとうございます!」


 先輩たちの話を聞ける貴重な機会。留学への不安が、期待へと変わっていくのを感じた。



 ◇◇◇



 そして、二週間後。


 座談会当日。会場には、留学を終えた先輩たちと、これから留学を控えた学生たちが集まっていた。


 俺は少し緊張しながら、自己紹介を済ませ、先輩たちの話に耳を傾けた。


「ロンドン大学は、本当に刺激的だったよ。色んな国の人がいて、価値観も様々で……」

「授業は課題が本当に多くて大変だったけど、それ以上に得るものが多かったよね」

「生活面では、最初は戸惑うことも多かったけど、慣れれば何とかなるよ」


 特に、ロンドン大学へ交換留学へ行っていた先輩たちの話は、俺にとって非常に参考になった。現地の大学の様子、生活、文化、注意すべきことなど、留学前に知っておきたかった情報ばかりだった。


 先輩たちの話に熱心に耳を傾けていると、ふと、隣に座っていた女の子が話しかけてきた。


「もしかして、柳くん?」

「あ、はい」

「私、二年の小林珠里。来年の秋からロンドン大学に留学予定で……珠里って呼んでね」

「珠里さん、よろしくお願いします!」


 小林珠里さん、そうか、珠里さん。明るく、はきはきとした話し方をする人だ。


「同じ時期にロンドン大学に行く人がいて、心強いです」

「うん、向こうで色々情報交換とか出来たら嬉しいね」


 珠里さんは、留学への期待に胸を膨らませているようだった。


「先輩たちの話、すごく参考になりますね」

「そうだね。私はロンドンには行ったことがあるんだけど、実際に住むのは初めてだから、すごく楽しみだなあ」


 珠里さんは、目を輝かせながらそう言った。その姿を見て、俺もまた、留学への意欲を新たにした。


 座談会が終わった後、俺は珠里さんに話しかけた。


「珠里さん、連絡先を交換しませんか? 留学前に、色々情報交換できたら嬉しいんですが」

「もちろん!」


 俺たちは、連絡先を交換し、留学に向けて協力していくことを約束した。同じ目標を持つ仲間ができたことは、俺にとって大きな励みになった。


 ロンドン大学への留学は、俺にとって大きな挑戦だ。


 しかし、今日の座談会で得た知識と、珠里さんのような仲間たちがいれば、きっと乗り越えられる。

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― 新着の感想 ―
はじめまして。 今日、偶然の話から投稿小説を紹介され、第1話から一気に読み切り、次回がとても愉しみです。  目標を定めて、論理的に弱点を埋めて行く話の進行は、とても心地よく感じました。 実話が元になっ…
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