第三十七話 合格
翌週、交換留学の学内選考の面接を受けた。
面接官は教授二人と国際部の職員。志望動機や将来の目標、英語での質疑応答など、緊張する質問が次々と飛んできたが、なんとか乗り切ることができた。
「ロンドン大学を志望した理由を教えてください」
そう聞かれたとき、自分でも驚くほど冷静に答えられた。
「ロンドン大学は非常に国際的な環境が整っており、多様な価値観の中で学ぶことができます。私は国際学部で学んでおり、異文化理解や国際関係をより実践的に深めたいと考えています。現地の学生や世界中の留学生と交流することで、多角的な視点を養い、グローバルな課題に対する理解を深めたいです」
教授たちは時折頷きながらメモを取っていたが、表情から合否の判断を読み取ることはできなかった。
「それでは、英語で自己紹介をお願いします」
そう言われ、少しだけ深呼吸をしてから話し始めた。
「My name is Shun. I'm currently a first-year student majoring in international relations. Ever since I started studying English seriously, I’ve been fascinated by how language connects people across cultures. That’s one of the reasons why I’m eager to study abroad(私の名前は駿です。現在、国際関係学を専攻している一年生です。英語を本格的に学び始めてから、言語がどのように異なる文化を持つ人々をつなげるのかに魅了されています。それが、私が留学に強い関心を持つ理由の一つです)」
言葉に詰まることなく話し終えると、面接官の一人が小さく頷いたのが見えた。
――もしかして、悪くない手応えかもしれない。
そう思いながらも、結果が出るまでは安心できなかった。
◇◇◇
数日後。
合格者の発表が、学内の掲示板に張り出された。
昼休み、掲示板の前にはすでに多くの学生が集まり、ざわざわとした空気が広がっていた。
俺も少し緊張しながら、その人だかりの中に入っていく。
「……あった」
ロンドン大学の合格者リストの中に、自分の名前を見つけた。
「俺、受かった……!」
ホッとしたのと同時に、じわじわと実感が湧いてくる。来年の秋から、俺は本当にロンドン大学へ留学するんだ。
周りを見渡すと、同じように自分の名前を見つけた学生たちが、友達と喜び合っていたり、写真を撮ったりしている。
「……ん?」
ふと気になって、合格者の学年を確認してみる。
2年生、3年生……あれ、1年生は?
よく見てみると、英語圏の合格者リストの中で、1年生の名前は俺しかなかった。
「……マジか」
思わず小さく呟く。
学内選考は当然、学年に関係なく受けられるものだったが、実際には2年生が大半だった。
……やっぱり、俺はちょっと早い段階で踏み出しているんだな。
嬉しさと同時に、改めて気が引き締まる思いがした。
目標はここで終わりじゃない。
交換留学の先にある、イギリスの大学院進学を見据えて、さらに努力していかなければならない。
掲示板をもう一度見上げ、そっと拳を握った。
――ロンドンでの留学生活、絶対に充実したものにしてやる。




