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偏差値45からオックスフォード大学に進学した話  作者: 希羽
第一章 留学準備編

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第三十三話 学内選考

 翌月、大学一年の九月。


 短かった夏休みが終わり、今日から新学期が始まる。


 通い慣れたキャンパスを歩きながら、俺はまっすぐ国際部へ向かっていた。


(ついに始まる——交換留学の学内選考)


 IELTSの結果を受け取ってから、自分の中で何かが変わった。


 イギリスの大学院に行く。


 交換留学は、その第一歩に過ぎない。


 そう決めたからこそ、新学期初日、迷わず国際部の扉を開けた。


 ガラス張りのオフィスの中では、数人の学生が相談をしている。俺も受付で職員に声をかけた。


「すみません、交換留学の申込用紙をいただきたいんですが」

「はい、こちらですね」


 職員が差し出した数枚の用紙を受け取る。


 思っていた以上に項目が多い。個人情報、現在の成績、希望する大学のリスト——そして、志望動機。


 受け取った紙束を手に、俺はそのまま大学のカフェへ向かった。


 朝早いせいか、店内はまだ静かだった。窓際の席に座り、カバンからペンを取り出す。


 目の前の白い紙を見つめた。


 ——なぜ、留学したいのか?


(なぜ、か……)


 ペンを握ったまま、一瞬手が止まる。


 理由なら、たくさんある。英語をもっと使えるようになりたい。海外の文化に触れたい。


 でも、それ以上に——


(俺は、本当に挑戦したいんだ)


 深く息を吸い、ペンを走らせる。


 「世界を広げたい。もっと多くの価値観に触れ、自分の可能性を試したい」


 書きながら、胸の奥で少しずつ覚悟が固まっていくのを感じた。


(やるしかない)


 希望する交換留学先のリストには、イギリスの大学、そしてアメリカの大学も記入した。


 必要書類をそろえるため、IELTSの結果のコピーを印刷し、申請書類を手に再び国際部へ向かう。


 カウンターで書類を提出すると、スタッフが一つずつ不備がないか確認し始めた。


 すると——


「一年生ですよね?」


 スタッフが顔を上げて、少し驚いたような表情で俺を見る。


「えっと、はい……」

「わかりました」


 それだけ言うと、スタッフはまた書類に視線を戻し、チェックを続けた。


(ん!? もしかして、学年も選考に関係あるのか……?)


 選考基準について詳しく調べたつもりだったが、もしかして一年生の応募は珍しいのかもしれない。


 少し不安になりながらも、無事に書類の提出を終える。


 提出が完了したことで、ようやく一歩前進した実感が湧いてきた。


(これで、あとは面接を受けるだけ……)


 国際部を出て、深く息をつく。


 しかし、この瞬間、ふと気づいた。


(もし、選考で落ちたらどうする……?)


 今まで考えないようにしていたが、可能性はゼロではない。


 胸の奥がざわつく。それでも——


(いや、考えても仕方ない。やれることをやるだけだ)


 少しでも可能性を上げるために、できる準備をしよう。


 交換留学のための情報収集、英語力のさらなる向上、そして何より……


(俺は、絶対に諦めない)


 次のステップへ進むため、再び足を踏み出した。

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