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偏差値45からオックスフォード大学に進学した話  作者: 希羽
第一章 留学準備編

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第三十話 英語漬けの夏

 夏休みの間、友人に誘われてご飯に行くこともあったし、バイトも続けている。けれど、基本的に俺は英語漬けの日々を送った。


 朝起きたら、まず英語。


 洋楽を流しながら軽く身支度を整え、公園へと散歩に出かける。


 歩きながら、独り言を英語でひたすら続ける。


「Today’s weather is pretty nice. Not too hot, not too cold…(今日はいい天気だな。暑すぎず、寒すぎず……)」


「What should I do today? Oh, I have to review my essays…(今日は何をしよう? ああ、エッセイを見直さないと……)」


 最初はつっかえながら話していたけど、最近はスムーズに英語が出てくるようになった気がする。


 公園を一周したら帰宅。朝ごはんを食べ、コーヒーを淹れて、机に向かう。


 IELTSの問題集を開き、勉強開始。


 特に重点を置いたのは、スピーキングとライティング。


 スピーキングは、英語でニュースを読み、さまざまな話題について意見を考える練習をした。


「Some people believe that artificial intelligence will replace many jobs in the future. What do you think?(将来的に人工知能が多くの仕事を奪うと考える人もいます。あなたはどう思いますか?)」


「Well… I believe that AI will definitely change the job market, but it doesn’t necessarily mean it will take away all jobs. Humans have creativity, empathy, and critical thinking, which AI lacks…(ええと……AIは確かに労働市場を変えると思うけど、すべての仕事を奪うわけではないと思います。人間には創造力や共感力、批判的思考があって、それはAIにはないものだから……)」


 IELTSでは、こうした社会的なテーマについて意見を述べる必要がある。最初はうまく話せなかったが、最近は少しずつスムーズに言葉が出るようになってきた。


 ライティングも、ひたすら練習。


 問題集の課題に沿って論文を書いた後、似たテーマの英語ニュースを読んで、使えそうなフレーズを覚える。


「The government should invest more in renewable energy. Discuss both views and give your opinion(政府は再生可能エネルギーへの投資を増やすべきか。両方の意見を述べ、自分の考えを述べなさい)」


「While some argue that investing in renewable energy is too costly, I believe it is necessary for sustainable development.(再生可能エネルギーへの投資はコストがかかりすぎると主張する人もいますが、私は持続可能な発展のために必要だと考えます)」


 こうして書いたエッセイや学んだ表現をルーズリーフにまとめていく。


 気づけば、そのルーズリーフの束は分厚くなっていた。最初の頃に書いた拙い英文と比べると、自分の成長がはっきりと分かる。


 そして——。


 いよいよ、明日は初めてのIELTS本番。


 緊張もあるけれど、これまで積み上げてきた努力が無駄になることはない。


 「やるだけやった。あとは全力を出すだけだ」


 そう自分に言い聞かせながら、静かに目を閉じた。

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