第二十四話 独り言
TOEFLの試験を終え、帰宅した。
試験中はかなり集中力を使ったので、さすがに疲れが出ていた。自室に入り、音楽を聴きながらしばらくゆっくりとした時間を過ごす。
少し休んだ後、スマホでスピーキング対策について調べる。
「英語を話せるようになるには、独学の場合、独り言がオススメ……」
いくつかのサイトを読んでみたが、どうやら一人で英語を喋り続けるのが効果的らしい。
確かに、喋らないと喋れるようにはならないし、独り言なら相手がいないから文法や発音のミスを気にせずに試せる。
「とはいえ、外出中に英語で独り言をぶつぶつ言うのは、さすがに恥ずかしいな……気分転換に人通りの少ない道を散歩しながら、独り言を言ってみるか?」
――翌日。
昨日は疲れすぎて、夜9時に寝落ちしてしまった。そのおかげで、今朝は早朝に目が覚めた。
「……散歩に行こう」
そう思い、家を出て歩き始める。
早朝の静かな道路。少し歩いていった先にある大きな公園へ向かう途中で、独り言を言ってみようと思った。
しかし、何を喋ればいいのか全く分からない。
「最近の大学生活について振り返ってみようか」
そう思いながら、英語で最近の出来事をつぶやいてみる。
「Okay, let me think…… What happened yesterday? Ah, I took the TOEFL exam yesterday. It was tough…… but I think I did my best. Now, I really need to focus on improving my speaking skills(よし、考えてみよう……昨日はTOEFLの試験を受けたんだ。大変だったけど……でも、最善を尽くしたと思う。今は、スピーキング力をもっと強化しないといけないな)」
そんなふうに、頭に浮かぶことを英語でつぶやいてみる。
公園に着くと、ウォーキングやジョギングをしている人、犬を散歩させている人たちがいた。でも、誰も独り言なんて言っていない。
(小声で話すか……)
「It’s really quiet here. I’ve never come to the park this early before. The air is so fresh, it feels good(ここは本当に静かだな。こんなに早く公園に来るのは初めてだ。空気が新鮮で気持ちがいい)」
早朝の公園なんて、今まで来たことがなかったけど、空気が清々しくて気持ちがいい。
こうして、毎日少しずつ英語で独り言を言う習慣がついていった。




