第二話 TOEICってなんだ?
大学に合格した俺は、さっそく進学先の大学のホームページで留学制度について調べた。
「長期留学は……一年間の交換留学制度で学部留学ができるのか」
留学といっても、どうやら色んな種類があるらしい。
例えば、語学留学は、英語そのものを学ぶための留学。お金を払えば誰でも行ける。
学部留学は、海外の大学で、現地の学生と一緒に授業を受ける留学。
学部留学には、当然ながら一定以上の英語力が必要で、TOEFLやIELTSという試験でスコアを取らないといけないらしい。
「どうせ行くなら、学部留学のほうが絶対いいよな……」
せっかく海外に行くなら、ただ英語を勉強するだけじゃなくて、現地の大学生と肩を並べて学びたい。
でも、それにはまず英語力を上げなきゃ話にならない。
「というか、俺、英語ほとんど喋れないんだけど……大丈夫か?」
海外どころか、俺はまだパスポートすら持ったことがない。
そもそも、飛行機に乗ったことすらない。
「……まあ、でも今から頑張ればなんとかなるか」
ふと、大学の入学案内を読み返してみる。
「そういえば、大学に入学したら、すぐにレベル分けのための英語の試験があるって書いてあったな……」
ページをめくると、そこには見慣れない単語があった。
「TOEIC試験を実施します」
TOEICってなんだ?
一瞬、頭の中に「?」が浮かぶ。
聞いたことはある気がする。でも、どんな試験なのかは全然知らない。
慌ててスマホで検索してみる。
「TOEIC……主にリスニングとリーディングの試験……990点満点……」
「990点!? そんなに高得点取る人いるのかよ……」
どうやら、TOEICの点数が高いほど、英語力が評価されるらしい。
俺の入学する国際学部では、TOEICのスコアでクラス分けされると書いてあった。
つまり、点数が低いと、英語が苦手な人向けのクラスに振り分けられるってことか。
「……せっかくなら、上のクラスに入りたいよな」
英語力を上げるのは、結局留学のためにも必要なことだ。
どうせやるなら、徹底的にやってみるか。
まずはTOEICの勉強を始めてみよう。
そして、交換留学のための本格的な試験対策は、大学のクラス分け試験が終わってから始める。
「よし、まずはTOEICだな」
俺はスマホを手に取り、TOEICの参考書を調べ始めた。
まだ何もわからないけど、とりあえず、今できることから始めるしかない。




