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第十九話 ネガティブ

「駿、バスケ部の体験どうだった?」


 教室で颯太が興味津々に尋ねてきた。


「楽しかったけど、いろいろ忙しいし、入部はやめとこうかなって思ってる」

「マジで!? もったいなー!」

「まあ、バイトも始めたいしな」

「そっか。サークルに入りたくなったら、いつでも言ってくれよな!」

「サンキュー」


 そんな会話をしていると、外国人の先生が教室に入ってきた。


 今日は英語の授業で、クラス全員が一人ずつプレゼンをすることになっている。


 テーマは、この大学に入学した理由と、四年間でやりたいこと。


「じゃあ、早速ですが、今日は皆さんのプレゼンから始めましょうか」


 先生の言葉を合図に、最初の学生が前に出て発表を始める。


「I enrolled in this university because I failed to get into my first-choice university. Here, I want to study international studies and also challenge myself with studying abroad in the United States――(私がこの大学に入学したのは、第一志望の大学に落ちたからです。この大学では国際学を学びつつ、アメリカ留学にも挑戦したいと思っています――)」


(……なんか、出だしがだいぶネガティブだな)


 そんなことを思っていると、次の学生が続いた。


「I couldn't get into the university I wanted, and I couldn't afford to take a gap year, so I entered this university. During my college life, I want to study not only English but also Chinese――(行きたかった大学に落ちて、浪人するお金がなかったので、この大学に入りました。大学生活では英語だけでなく、中国語の勉強も頑張りたいと思っています――)」


(いや、またネガティブ……!)


 気になって周りの反応を伺うと、クラスメイトも微妙な表情をしている。


 結局、ほとんどの人の入学理由は「本当は別の大学に行きたかったけど、仕方なく」だった。


 そして、ついに俺の番が来る。


 人前で話すのは正直、かなり緊張する。


 深呼吸をして、前に立った。


「I entered this university because I wanted to study abroad. Since the study abroad program here is well-developed, I’m looking forward to actually going overseas――(俺は海外留学に行ってみたくて、この大学に入学しました。留学制度が充実しているので、実際に海外に行けるのを楽しみにしています――)」


 なんとか噛まずに言い切る。


 席に戻ると、心臓がドクドクしていた。


 その後、先生から英語のフィードバックをもらう。


 文法的には問題なかったらしいが、もっと自信を持って話すと良いとのことだった。


(自信を持って、か……)


 ぼんやりと、昨晩見た「世界大学ランキング」のサイトを思い出した。

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