第十八話 選択肢
大学からの帰り道。
(イギリスの大学院……そんな選択肢もあるのか……)
バスケ部のキャプテンの話を思い出しながら、考え事をしつつ歩く。
ふと足を止めた。
(俺も頑張れば、イギリスの大学院に行けるってことか?)
そう思うと、胸が少し高鳴る。遠い世界の話だと思っていたけど、もしかしたら手が届くかもしれない。
(けど、まずは来年の秋からの学部留学だな。とりあえず行ってみよう。イギリスに)
自宅に着くと、いつものように自室でTOEFLの問題集を開く。
しかし――。
「……やっぱり気になる」
問題集を閉じ、ノートパソコンを取り出す。
ふと思い立ち、「世界大学ランキング」と英語で検索した。
(ランキングって色々あるんだな……)
検索結果のトップに出てきたサイトを開く。
世界大学ランキング第1位、オックスフォード大学。
(オックスフォード……聞いたことある。っていうか、一位なんだ……)
ランキング上位には、海外経験のない俺でも知っている大学名がずらりと並ぶ。
東京大学を探し、下へスクロールするとようやく見つかった。
「あっ……」
バスケ部のキャプテンが話していた隼田さんの行くマンチェスターの大学もすぐに見つかった。
「すごい……こんな上位の大学の大学院に進学するなんて……」
画面を見つめながら、俺は静かに息をのんだ。
今まで漠然と「留学」としか考えていなかったが、本気で目指せば、俺にもこういう道が開けるんだろうか――。
そう思った瞬間、ふと、手のひらが少しだけ熱くなるのを感じた。