第十六話 お金
バスケの授業を終え、颯太たちと別れて帰路につく。
バスケサークルとバスケ部の体験に行くと言ってしまったが、そろそろアルバイトも探さないといけない。
うちは母子家庭。母さんはお金のことについて何も言わないけど、留学の費用も多少は自分で稼ぎたい。
スマホを取り出し、自宅付近でできるアルバイトを検索する。
(コンビニ、飲食、倉庫……夜遅くまでの仕事は避けたいな)
いくつかの募集を見ていると、塾講師のアルバイトが目に入った。
(小学生から高校生までの個別指導、か……英語だけ教えるのもアリなのか)
時給も悪くないし、これなら自分の強みを活かせそうだ。
俺はTOEICのスコアも持っているし、受験英語の勉強もかなりやった。指導するなら英語が一番自信がある。
(これ、意外といけるかも)
そう思い、応募フォームを開く。
名前や学歴、希望教科などを入力し、送信ボタンを押した。
(受かるといいけど……)
バスケサークルや部活の体験、授業、それにバイト。
思っていた以上に忙しくなりそうだな、と思いながら、自宅へと歩き出した。




