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冒険者ギルド

 

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ありがとうございます。

 

 現在、巻き戻し・修正・圧縮の

作業中です。修正前は現在、カクヨムで読めますが

この作業が終わり次第、カクヨムの方も修正予定です。

よろしくお願いします。

 

 大きな城門をくぐるとそこには大きな広場が広がり、カラフルな屋台のテントがずらりと軒を連ねていて、大きな市場を形成していた。よく見るとそのテントはただのツギハギだらけだったのだが、それが逆に遠目から見ると、とてもカラフルでキレイに見えた理由だったのだろう。


 そこで、記念に写真を取っておこうと思い、スマホを探そうとした瞬間、直ぐに無くした事を思い出して、また、ショックを受ける。まあ、スマホ依存症ぎみだったし、た、たまにはスマホを手放して健康的にね……。はははっ……。


 この市場は様々な物が売られているようで、果物や野菜のような食品の他にも古着や、食器などの雑貨も扱っているようだ。新品は無さそうだし、リサイクル店とかフリーマーケットみたいな感じ? あっ! 丁度いいからバッグが欲しいかも……。そう思い、しばらくバッグを売っているお店を巡り、良さげなショルダーバッグを見つける。ちょっと、くたびれているけど元の世界で買えば結構なお値段になりそうな本革のバッグで、今日中に買ってくれるなら大銀貨一枚で売ってくれるという。っていうか、大銀貨って何円? 多分、金貨を持っているから買えるとは思うけど……。


「お客さん! これだけの物を大銀貨でなんて、そうそう買えないよ!」


 ここの店主のおじさん、ちょっと胡散臭いんだよね。顔が怖いし……。それに金貨が大銀貨何枚分の価値があるかとかも分ってないし、聞いたら聞いたで知らないってバレるからお釣りを誤魔化されそうだし、ちゃんとした所でお金を崩してから来たほうがいいかも……。そうだ、ギルドで登録料を払って崩してから来よう!


「え~と……ちょっと、これから用があるので、帰りに寄ってまだ売ってたら買いにきます」


「ホントかい? じゃあ、信じて取って置くから、日暮れ前までには絶対に来てくれよ」


 えっ? お取り置きしてくれるんだ……。結構、良い人だったのかも……顔が怖かっただけ? ぶんぶん手を振って見送ってくれるおじさんに少し、罪悪感を覚えながらも冒険者ギルドに向かう事にした。





 ◆ ◆ ◆ ◆





「冒険者ギルドへ、ようこそ! ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


 私は初めて見る顔の魔術師の格好をした女の子(多分、年齢は成人したてぐらい?)にいつも通りの対応をする。


「え~と……登録をお願いしたいんですが……」


「……はい、ご登録ですね! それではお名前をお聞かせいただけますでしょうか?」


「はい、……エレコ・ベルウッドと申します。どうぞ、よろしくお願いします。あの……初めての街で何も分からないので、色々、教えて下さい」


 どうやら、この女の子は家名をお持ちのようだ。この身なりからすると、豪商か貴族のご息女といったところだろうか?


「なるほど、この街は初めてだったのですね。私が教えられる事であれば、いつでもお教しえ致しますので、気軽にお尋ね下さい」


「ありがとうございます」


「いえいえ……そういえば、お連れの方が見当たらないのですが、もしかして、エレコさまはお一人でこの街へいらしたのですか?」


「はい」


「そ、そうですか、なるほど…………あの~見た感じエレコさまは魔術師とお見受けしましたが ……エレコさまは貴族さまでいらっしゃるのでしょうか?」


「えっ! 違います違います。全然、貴族ではないです……はい」


「……でも魔術師ではあるのですよね……?」 


「う~ん……一応、魔術師なんでしょうか? 魔法は使えるとは言われましたけど……」 


「それは誰に……いえ、大体、理解いたしました。それではこちらの用紙にご記入をお願いします」


 リリーの勘が、これ以上は詳しく聞くなと告げている。家名を持っている者は商人も含めると平民の中にもそれなりにいるし、それだけで貴族とは断定できないが、明らかにこの女の子の話し方や服装は、貴族かそれに関係ある人物だと思われる。どんな理由で隠しているのかは分からないが、さっさと用件済ませてお帰りいただくのが、一番良いだろうと彼女は判断した。


「え~と、エレコさまは他の支部の登録もしては……なるほど、していないと……分かりました」


 読み書きも問題なく出来ると……。渡した用紙にすらすらと記入していくエレコをみて、さらにリリーは自分の考えの確かさを確信する。


「それでは、登録料として大銀貨三枚のお支払いをお願い致します」


 そう言って、小さな木の盆を前に差し出す。


「あの~……」


 そう言って言い淀む彼女をみて、気を利かせたつもりで分割払いがあることも伝える。しかし、その返答は予想とは違っているものだった。


「いえ、支払いは出来るんですが、金貨で支払いが出来るのか、お聞きしたくて」


「はい?」


「金貨しか持っていなくて……ダメだったら両替えしてからまた来ます」


 そう言って彼女は木の盆の上に金貨一枚を静かにのせる。


「……し、失礼いたしました。金貨でのお支払いも、もちろん問題ございません。そうしましたら、お釣りと登録プレートのご用意が出来ましたらお呼びいたしますので、ギルド内でお待ちください」


「…………あの、領収書とかって……?」


「りょうしゅ……?」


「いえ、何でもないです。それではお願いします」


 そう言って受付を後にする彼女の背中をみながら、リリーは困惑していた。従者もつけずに金貨を持ち歩いていて、危ない目にあったことがないのかしら? それだけの実力があるって事? でも、金貨しか持っていないような人間は間違いなく貴族よね……。





 ◆ ◆ ◆ ◆

 




 無事に受付が済み、お釣りと登録プレートの準備を待つ間、冒険者ギルド内を見て回る事にした。まず最初に掲示板を見に行くと、汗というか獣臭が漂ってきたので口呼吸に切り替える。そこには臭いの元である薄汚れた冒険者たちがいて、掲示板に打ち付けられた釘にぶら下げられている依頼の書かれた木札を眺めていた。どうやらここから受ける依頼の木札を外して、受付に持っていくようだ。


「あの、ちょっといいか?」


「えっ?」


 同い年ぐらいの男の子たち三人組に声を掛けられて、少し身構える。


「あんた、字が読めるんだろ。ちょっと銅級でも受けられる討伐の依頼があるか見てくれないか?」


 な、なるほど……そういう事ね。ナンパだと思った自意識過剰な自分に、恥ずかしさがこみ上げてくる。


「い、いいですよ! え~と、討伐は…………無いですね。魔物の素材の納品っていうのは、いくつかあるけど……」


「あっ! じゃあ、それで」


「それなら、これがゴブリンの魔石を五個納品するってやつで、こっちがボアっていう魔物の皮を三枚納品ってやつ……あとは常駐ていうのが――」


「――常駐はいいや、報酬はどんな感じ?」


「え~と、ゴブリンの方が魔石が五個で銀貨五枚で、そこから一個増えるごとに銀貨一枚プラスされるみたい。それとボアの方は皮が三枚で大銀貨一枚と銀貨二枚で、一枚増えるごとにプラス銀貨四枚だって」


「やっぱり、ゴブリンしかないか……」「そうだな、オレたち解体できないし」


「そうだな……あいつらの素材は魔石ぐらいしか売れないから、儲からないけど仕方ないか……。教えてくれてありがとう。ゴブリンにするよ。これ少ないけど……」


 そう言うと、その男の子が何故か硬貨を渡そうとしてきたので押し返す。


「えっ? いいよ! お金貰うような事はしてないし」


「えっ、いいのか、ありがとう。じゃあ、儲けたら今度おごるよ、本当にありがとな」


「「ありがとう」」


「いえいえ」


 お礼がちゃんと言えて偉い! ゴブリンの方の木札を外して、受付に走っていく男の子たちを見送る。思ったよりいい子たちだったな。ゴブリンの魔石が一個で銀貨一枚か……日本円で幾らぐらいなんだろう? 確か日本でも熊を駆除する報酬が、一万円以下で安すぎるってニュースになってたけど、多分、それよりも断然安いと思う。


 その後も一通り、掲示板を眺めてみたが、銅級で受けられる依頼で一番高額なのものは、さっきのボアの依頼だったようだ。という事は解体出来ないと儲からないって事だね……でも私にはちょっと無理かな。出来そうなのは採取とか掃除ぐらい? まあ、お金には困ってないし、今すぐにやる必要はないんだけど…………う~ん、やっぱり、依頼よりも先に回復魔法を覚えておくべき? 回復魔法が使えれば、人助けも捗りそうだし……。


 





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