ゲームシステム
こちらの作品はのんびり書く予定です。
よろしければお暇なときにお読みください!
この異世界の神を自称するネコガミさまの話からすると、どうやら今から行く世界は魔物がいて魔法も存在する世界のようだ。でも元の世界に戻れる方法が他にはないので、とにかくやってみようと決意したのだが……ネコが急に歩みを止め、話し始める。
「今のままだと向こうに行っても一日も、もたないかもな……。こっちに来たのは私が巻き込んでしまったという事もあるから、何か力を与えてあげよう」
「えっ! いいんですか? ありがとうございます」
「何か望む力はあるかな?」
「え~と……魔法とかもある世界なんですよね? 出来れば魔法とかを使ってみたいです。って言っても映画や小説の知識しかないんですけど……あっ! あと好きな実況者さんがやってたゲームでちょっと見たかな……」
「……ふむ、よく分からないが何やら面白そうだな。そのゲームというものを少し知りたくなったぞ。頭に浮かべてくれるか?」
「えっ? 頭に浮かべる? こんな感じですかね?」
好きな女性実況者さんが、キャラクターの外見を作り始めていた所をぼんやりと思い浮かべる。たいして憶えてはいないけど、これで伝わるのかな……?
「ほ~これは良いな! 次に作る世界の参考にしよう。今から行ってもらう予定の世界は、地球の知識を取り入れて作ってはみたんだが、どうも上手くいかなくてね。文明も中々発展しないから料理のレベルも低いし、お供え物もおいしくないんだよね……」
えっ! もしかしてそれが目的で世界を作ってるって事……?
「……ゴホンゴホン! で、では魔法を使えるようにしてあげよう。それと今のゲームを参考にしたスキルも付けてやろう!」
ネコは空中に赤く輝く正八面体の宝石を出現させ、それを私の胸の前に移動させる。
「きゃっ!」
すると結構な大きさのその宝石が身体の中に吸収されるように消えていく。
「君は魔力のない世界から来たから持っていなかったけれど、それが魔力の源なんだ。ちょうど良い大きさの物がなかったから少し大きすぎたけど、どうやら上手く体内で分解されて吸収できたようだ。これで魔法が使えるようになるだろう。では次はスキルだな!」
今度はそう言うと私の頭に肉球をのせ何やら唱える。すると体全体が薄っすらと輝き始める。
「よし、上手くいった! それではそこが私の作った世界への入口だから準備が出来たら向かいなさい。わたしは急用が出来たから行かなくてはいけなくなった! 分からない事は画面にある説明を読むように! では達者でな あっ! 本当の名は使わないように!」
ネコはそう言うと光に包まれ、あっという間に消えてしまった。
「あっ! 行っちゃった! 絶対、次の世界を作りに行ったよね……」
ネコが指し示した方向に目を向けると、白い空間にいつの間にか楕円形の鏡のようなものが浮かんでいて、それを覗くと草原と城壁のようなものが見える。どうやら街の近くに入口を作ってくれたようだ。
「え~と、それでどうすればいいんだっけ? 画面がどうとか言ってたけど……」
そう思った瞬間、目の前にステータス画面が浮かび上がる。
「わっ! 本当にゲームみたい! え~と、まず名前か……本名は使うなって言ってたし……」
しばらく考えた結果、名前はエレコ・ベルウッドに決めた。エレコは昔からのあだ名である。これは奥二重の目と古武道という習い事により、『お前のどこがエレンなんだよ! 一重だし顔も習い事も滅茶苦茶、日本人じゃん! お前は今日からえれ子な!』という理不尽な理由から命名されたものである。私は奥二重だし関係ないと無視していたのだが、いつの間にかそんなに親しくない女子からもエレ子ちゃんと呼ばれるようになり定着したのだった。そしてベルウッドの方は鈴=ベル、木=ウッドを足したもので、これが戻るまでの私の名前となった。
「次はステータスか……魔力はとりあえず上げといた方がいいのかな?」
どうやら手持ちのステータスポイントを、好きな項目に振り分けてプラスしていけば良いらしい。
「十六ポイントか……MPを上げるには知力を上げればいいのか……でも結構、知力の数値は高いと思うんだけど、もう少しプラスした方が良いのかな?」
ステータス画面は頭で考えれば操作出来るようなので、イメージして数値を上げていく。
「あ~っ! 一気に上がりすぎ! 全部プラスしちゃったよ。え~と、元に戻してと……えっ!」
しかし、戻すようにイメージしてもポイントは元には戻せなかった。焦って今度はステータス画面を、指で押してみても同じようにポイントは戻せない……。
「えっ? あれ? 何で? あっ!」
そういえば配信中に、ゲーム側の不具合でプラスした数値が戻せないって話をしていたかも……。その記憶を基に、作られたこのシステムも同じく戻せないという事なの……? 一旦落ち着いてステータスを見てみる事にする。
Name:エレコ・ベルウッド
Race:人間
LV(霊格):1
HP:45/45
MP:490/490
STR:10
VIT:9
INT:98
DEX:45
AGI:7
REG:50
LUK:34
ステータスポイント:0
ユニークスキル 【ゲームシステム】:調整中
エキストラスキル 【薙刀術】【杖術】【合気柔術】
スキルポイント:16
何か自分の能力が数値化してるって変な感じ! え~っ! 私の筋肉ってそんなもんなのかな……? やっぱりこうしてみると、知力に足す必要はなかった気がする。どうせなら命に係わる生命力とかにプラスしておけばよかったのかも……。そこから下の方の表示にも目を向けるとスキルの項目があり、ユニークスキルに【ゲームシステム】:調整中とある。きっとこれがさっき言っていた、ゲームを参考にするという事なのだろう。そしてさらにその下にはエキストラスキルというものがあり、おじいちゃんに習っていた古武道の名前が並んでいた。こんなスキルはあのゲームにはなかったはずだけど、どんな効果があるのだろう? まあ、ここで考えていても答えは出てこないので、次の選択画面に移動する。
今度はスキルポイントを使って新たなスキルを取得するようだ。ずらりと並ぶスキルは良いスキルほど取得ポイントが高い。何故かスキルポイントも十六ポイントなのだが、今度は無駄なく使いたいので慎重に表示されているスキルを見ていく。
「やっぱりポイントが低いスキルはあんまり良いのがないみたい。魔力を使いオナラを好きな時に出せ、街で道をふさいでる住民を移動させることが出来る。これってポイントを使ってまで必要かな……? あっ! おすすめもあるんだね……」
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初心者おすすめスキルセット
今回に限りおすすめの三点セットを15ポイントで取得可能
・クラフト 魔力を使い、道具や武器などを材料があれば瞬時に作れる。
・ゲート 魔力を使い、一度行った場所に移動できる。
・鑑定 魔力を使い、見たものを鑑定できる。
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おすすめのスキルは取得ポイントを今回に限りだが、かなり低く設定されているらしい。
「十五ポイントか~これは本当におすすめかも! 一応、とれるけどどうしよう……」
結局、おすすめという言葉に負けて取ることに決める。一ポイント余っちゃったな……またポイントがもらえて使う機会があれば良いけど、今回限りだったら使わなきゃ勿体ないな……。そう思い一ポイントで取れる一番マシそうなスキルを取ることにする。取得後、そのスキルとおすすめのスキルはユニークスキルの欄に表示される。
「えっ! 何か嫌だ……初心者おすすめスキルセットって表示されるの……」