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45. 提案4

 

 カメリアはケーキスタンドに置かれた小さなクッキーを一つ摘まんでポイっと口に入れてサクサクと食べると突然増えた彼女の為に慌てて侍女が用意した紅茶をさも、当然のことのように手にして口をつける。


「カメリア、エルカイル様は今少しだけ……」

「その様ですね。記憶が混乱されているようですわね。……それでなぜか私に求婚してきた。」


 アメリアが説明をしようと口を開いたとたん被せるようにカメリアが話し始めた。

 エルアトスは何を思っているのか黙って自分に出されたカップに口をつけている。


「お姉様は『今、少しだけ』」とおっしゃいましたが本当に少しだけで治るのですか?治らなかったらこのまま『カメリアに求婚した』エルカイル様と結婚式を挙げるんですか?」


 相手が拒んでいるのに結婚式など挙げられるわけがない。

 アメリアは何も言い返せなかった。


「一番初め、婚約のお話を頂いた時には初めての事で気が動転してそれも野蛮国家の王子殿下なんてとお姉様に押し付けてしまいましたが、いざお会いしてみれば噂なんかあてにならないものですね。お姉様にメロメロな時には対象外だったんですが。あの顔はとっても私の好みです。……そう、このままお姉様の身代わりで結婚しても良いくらい。」


「カメリア?」


 ニコニコと話す妹が何を考えているのか全く分からない。


「きっと隣にいらっしゃるエルアトス様との事はエルカイル様の気を引く為の演技なのでしょう?……演技以上にも見えますけど。」

「?」


 カメリアはチラリとエルアトスを見た。


「姉妹で同じ王家に嫁ぐのはよくある事だと聞きました。まあ。このままだと妹の私が王太子妃になっちゃいますけど。」

「それは……」


 それは違う。


 アメリアが口を開こうとすると向かいに座るエルアトスがそっと発言を止めるよう

 首を振った。彼に何か考えがあるらしい。


「カメリア姫。今日の所はお引き取りください。それと私たちが『演技』をしていることは内緒ですよ?」

「わかったわ。」


 カメリアは丁度迎えに来た侍女と共に去っていった。




「エルアトス様……。」


 妹が完全に姿を消した事を確認してアメリアは口を開いた。


「予想はしていたんですが、少々話がややこしくなってきましたね。」


 エルカイルがカメリアに求婚すると言う事は予想が出来ていた。


 父からの条件も有ったので流石にもう少し彼なりに考えて行動すると思っていたのだがまさかこんなに早くとは。まずはそれが一つ目の予想外。


 二つ目はカメリア姫が予想以上に乗り気だと言う事。


 これもある程度想定はしていた。

 王太子であるエルカイルに真剣に迫られれば意識していなかった相手だとしても少しは心が揺れるだろうと思っていたし、上手くいけば同情して協力してくれると甘い考えもあった。まさか姉に面と向かって顔が好みだから代わりに結婚すると言ってくるとは。


「妹さんは可愛い顔に似合わず野心家さんですね。」

「……お恥ずかしい。」


 エルアトスが面白そうに言うのは妹が口にした『王太子妃』発言だ。あれではカメリアがエルカイル自身よりも王太子妃を望んでいると捉えられても仕方がない。


「だからあの時、否定しようとするアメリア様を止めました。」

「?」

「あそこで、兄上が王太子ではなくなるという仮説を話してしまえば恐らく彼女は何としてでも兄に王太子に留まる様に進言したはずです。そうなると色々と話が面倒です。」


 例えば王太子に留まる為にいったんアメリアと結婚し、その後離婚し、カメリアと結婚をやり直せば良いと言う事を考えてもおかしくはない。アメリアの事を考えれば最悪のシナリオだ。



「そうなのですね……?」


 エルカイル本人を愛しているアメリアにとっては信じがたい事なのだが、王太子でなくなった彼に価値はないと思う人もいるのだとエルアトスは教えてくれた。



「まあ、妹のカメリア姫についてはおいおい何とかするとして……。アメリア様、実はちょっと困りました。」

「どうされました?」


 そろそろ日が傾いてきた。

 顎の下で手を組み合わせ彼はアメリアの顔を見つめて申し訳なさそうに微笑む。


「このままだと、僕とアメ様の婚姻話が進んでしまいます。」

「え?」

「幾つか道筋を考えてはいたんですがここまで予想が外れてくれるとは思いませんでした。」


 一番の問題は、兄の記憶が依然戻らない事なのだが。


「結婚式は後五日後、準備を考えても明日にはここを出立しなくてはなりません。結婚式が出来ないとしても、父の計画はその場で僕とアメ様の婚約披露宴をすると言っていました。」


 アメリア本人の意思を無視をしていると思われる計画だが彼女の名誉を守るのにはそれが最善の事であることは間違いない。


「アメ様の意思を最大限に尊重したいと思っていたのですが、時間がそれを許してくれそうもありません。兄が貴方に会えば全て思い出すと思っていた……僕が一番浅はかでした」




 エルアトスは立ち上がるとアメリア座る位置へと移動し片膝をついた。





「アメリア・ヴァイアス・クリーク様、貴方の事を生涯守ると誓います。私エルアトス・ルイタスと結婚していただけますか?」









9月突入ですね。

最近秋のフルーツがおいしいです♪


ブックマーク、☆評価などありがとうございます。


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